彼女にとっての男尊女卑
あたしは嬢ちゃんと別れた後、先代のご隠居と酌み交わしていた。酌み交わす、と言ってもご隠居は茶を飲んでいるため、意味に語弊が生じるが。
「どうだい、うちの娘は?」
焼酎を瓶から口に注いでいる時に声をかけられた。目配せで合図をした後、小さく頷いた。喉が焼け落ちる感覚が気持ちいい。全身に熱が回る。だから酒が好きだ。この感じが堪らない。庭の枯山水が良い肴になる。よって、酒が止まることはない。
「悪く無いと思うよ」
二回目に顎掴もうとした時、相手は真っ直ぐ私の方を見ていた。驚きも恐怖もない。肝が座ってる証拠だ。宵闇を呼んで自信が着いたのかも知れない。
二本目の焼酎に手をかけて、上に着いてる王冠を引きちぎる。ん~いい匂い。それを咎めるように鋭い眼光が一心に注がれている。まぁ気にせんけど。
「ほぅ」
「でもどんな実力確認しようと思ったら、宵闇に邪魔されてさ」
二度目、あの子の顎に手が回ることが叶ったなら、霊圧を流し込むつもりだった。ちょっと過敏そうだったから、限界はどんなもんかと思って。まぁ、宵闇に叩き落とされたんだけど。
「そうか」
「ん、だから彼奴の男尊女卑思考から脱却したら、契約の儀を結んでやっても良いなって」
守ってやりたい。と言う崇高な精神は、時に人を舐めている。身も蓋もない言い方すると、お前は弱いんだから、前に出るな。下がってろって事だ。現にご隠居の前ではそんな真似しなかった。平気で一緒に戦場を駆け抜けてたし、怪我してもこの職辞めろなんて言わなかった。
私はそんな崇高な精神ありません。
守って下さるならそれに全力で甘えるし、厳しい現場には行きたくない人間です。
何より自分が大事!!! 全人類、それで良いと思ってます。
自分の人生、人になんか捧げちゃ行けません。全力で愛し、自分の事を守ってあげて下さい。




