明昼
あれから何度宵闇と契約の儀を結んでも結果は同じだった。午前は全力で契約の儀に当て、午後は四神を呼ぶことに時間を費やした。霊力の消耗を日々感じながら、今日はこれで仕舞いにしようと思ったその時。空気を引き裂くようなハイトーンが聞こえた。
「LuuuuuuuA!! 君が今代の主だねー。あたしは、明昼。宜しくぅ」
腰まである、波打った橙の長髪。ややつり目がちの大きな瞳をもった女が現れた。でもそれ以上に印象的だったのはその体躯。宵闇より少しばかり背丈が低い程度の身長。女性の規格を超えて背が高い。体つきは格闘家のように筋肉質で、戦うことを知っている身なりだった。ただ唯一膨らんだ胸と臀が彼女が女性であると主張していた。
明昼は座り込んだ私に手を伸ばす。伸ばした先は手でも頭上でもなく、首の辺り。彼女の大きな手を持ってしたら、簡単に首のなど折れてしまうだろう。そのときだった。
「まだ、なぁんもしてないよ?」
気配を消していた宵闇が現れた。彼は触れるか触れないかギリギリのラインまで迫った明昼の腕を握っていた。宵闇の指が白くなってる事からも、相当な力で掴んでいることが伺える。
「何かあってからでは遅い」
「過保護よなぁ。で、何時まで手ぇ掴んでんの?」
目の前のお菓子を取り上げられた子供のように、酷く不機嫌。橙の瞳が焔のように燃え上がる。宵闇と見詰め合うこと数秒。先に折れたのは彼の方だった。開放された手は躊躇う事無くそっと私の顎の下を掴むと、顔を近づけてきた。四方八方から視線を投げかけられる。その様は骨董品の目利きをしているようにも見える。
初めて会った時から奇声発するヤベー奴です。
男前な性格の裏にはちゃんと設定あります。
でもこの物語で解説はしないかなぁ。




