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花が咲いたら  作者: 仲山和美
1/5

1輪目 相川まい

初めての投稿作品です。誤字脱字あればすいません。

花が咲いたら

誰かに笑われるかも


花が咲いたら

あの子に軽蔑されるかも


花が咲いたら

私は自分を嫌うかも



この世界は思春期に自分の気持ちや感情が花となって咲いてしまう。

私はそれがとても怖い。


咲いた花が私の心を全部さらしてしまうから。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


中学2年。夏。『相川まい』


ホームルームが終わり下校のチャイムなる。

帰宅部の私は帰りしたくをする。


「お前なんでオトメツバキなんてさかしてんだよ〜」

「しらねぇーよ!俺が聞きてぇーよ!」

そんな男の子達の会話が聞こえてくる。


オトメツバキ…花言葉は【控えめな美・控えめな愛】


オトメツバキが咲いてしまった男の子はこれからずっとからかわれるのかなって、少し心配になった。


昔私達には花が咲かなかったみたい。

だけどある時から人の【吐く息】から花が咲くようになった。

その花は私達の気持ちや感情を表してるってどこかの学者さんが発表した。

私達の肺には種子があって、思春期をすぎると咲いてくるらしい。


ため息、深呼吸、あくび

他にも、感情がこもった息からからふわっと宙に花が咲く。


オトメツバキの男の子はため息から花が咲いてた。

何もないところからピンク色の花がきれいに咲く。

それを見て不安に襲われた。


私もそのうち咲かしてしまうかもしれない。


「まーい♪まだじゅんびしてんの?」

友達の『津島はるか』が話しかけてきた。


「…びっくりしたぁ。もう終わるから帰ろう。」

「かえろかえろー!」


二人で学校をあとにする。


「きょうは?どっかよってく?まんま変える?」

「うーん、はるかが決めて」

「またぁ?…じゃあぶらぶらしますか、」


はるかについて街を歩く。


「あっ、タピだけかってこよー!まいは?」

「じゃあ私も、おごり?」

「なんでよ!奢らないよ!」

「じゃあ私はポテトかうからシェアで笑」


なんて会話をしながらはるかはタピオカを買って

私はフライドポテトをかった。


二人で食べ歩きしながらくだらない話をして【花】の話になった。


「まいはさー、まだ花を咲かせたことってないよね?」

「ないよ。はるかだってないじゃん。」

「…それがさ、こないだちょっと、咲いたんだよね…。」

「…え?」


初耳なんだけど。

「え?いつ?いつさいたの?」

「いや、あの…1週間まえ…かな?」

「えー…なんでもっとはやくいわないかなー…」

「まってまい!わたしだって咲くと思ってなかったしっ!」

「…うちのクラスでオトメツバキが最初に咲いたと思ってたのに…はるかが私に隠し事ですかー?」

「いうから!まってよ!」


少しいじけたふりをしながらどんな花が咲いたのか聞いてみた。


「それがさ、なんか、さいたのがなんかさ…」

「はやくいってよー!」


「…ネムノキ…花言葉は【胸のときめき】…」

「は?」

「だから…ネムノキが咲いたのっ!」

呆然としてる私にはるかが

「木が咲きましたーー!!!ふぅーってしたらバラバラバラバラって床に枝がおちまくったんですー!!!」


はるかのがむしゃらな口調で我にかえるとつい吹き出してしまった。

「なんで!?木?えだ??えだって咲くんだね笑笑笑笑」


「わらわないでよっ!!!めっちゃ恥ずかしかったんだからっ!言えなくない!??」


「でも私にはいってもいいじゃーん笑笑」

「あーもーっ!だからいうのもためらうんじゃーん!!!」


笑って騒いだら茶化すようにはるかに聞いた。

「ちなみにそれはどんな感じで咲いたのか教えて頂いても??」


「もぉー…図書室行ったときにさ、なんか、かっこいい感じの先輩がいてさ…」

「うんうん…」

「それで…本を取ってもらったら……【ネムノキ】が…」


「枝が咲いたのね笑笑!ときめいて枝が咲いたのね笑笑」

「もぉー!!!」

「それでその後はどうしたの?」

「どうもしないよ!まさか一番最初に咲く花が枝だとか思わなくない!?恥ずかしくなって走って逃げちゃったよ!!!」

「あーはっはっは!!!」


はるかがはずかしがるのが面白くて大声で笑ってしまった。

ぽろぽろぽろっ

私の息も咲いた。

「「…アサガオ?」」

二人で同時に言ってそのまま笑ってしまった。


「ふふふっ!なんだ!まいも咲かせてるじゃん!」

「こんなふうに咲くんだね!」


「ほら!花言葉はたしか…【固い絆】【愛情】…」


静かに二人で顔を見合わせて、また笑ってしまった。


二人で花を集めながら

「まい私のこと大好きじゃん笑!」

「はるかだって私のこと大好きじゃん笑笑笑」

片付け終わってからも帰り道を

馬鹿みたいに騒いでいたら家についてしまった。


「もうまいの家ついちゃったね笑!まいの初咲かせもみちゃったし、今日はいい日だわー笑」

「まぁ枝よりずっと可愛いでしょ?」


「うるさいなぁ!」

「ふふふっ!はるか!きをつけてかえってね!」

「わかってるよ!アサガオうれしかったよー笑笑」


そう言いあってはるかを見送った。


ずっといっしょにいるのにずっと飽きない。

先輩のこととかさきにいってほしかったけど…


なんて、私もはるかに言えてないことがある。


じつは【アサガオ】のほかに【アネモネ】も咲いてたんだ。

きっときづかなかったよね?



「またあしたね、」

ぽつりと呟いた。




アサガオ

【固い絆・愛情・はかない恋】


アネモネ

【はかない恋・恋の苦しみ・見捨てられた・見放された】

この子のお話はこれでおしまい


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