05 証言してもらおう
今は学校に着き、魔法治療のドアの前だ
「おい、合わせろよ。合わせなきゃ、誰の前だろうがお前を殺すからな」
男はこくんと頷いた。
その男の肩を掴みいかにも俺が運んできたかよようにし俺は、叫んだ。
「先生先生大変だ!」
そう言いながら魔法治療に入った。
「マータンがユンに毒を持ってくれた事をこいつが教えてくれたんだが、そのせいでこいつマータンにボコボコにされちゃったんだ!」
「まぁ、ひどい傷。それに血までで出る。顔は真っ青。早く治療しなければ」
俺は男の背中をつっついた。
「先生…ユンに盛られた毒は…マータンが盛りました」
「シャーベリ、喋んないで、分かったから。コペルもありがとね」
こいつシャーベリって名前だったのか。
「じゃあ、俺ユンを家に連れて帰ります」
そう言うと先生は言った。
「大丈夫一人で?」
「大丈夫です。でも荷台のついた馬を借りてもいいですか?」
「もちろん」
そうして俺はユンをユンの家まで送り届けた。
両親はなんとも言えない顔をしていたし、マータンへの怒りも半端なかった。
きっと後は大人達がなんとかしてくれるだろう…
ユンの部屋で寝ているユンの手を握っていた。
「あれ?…コペル」
「ユン、起きたのか」
「うん…ありがと」
俺はクスッと笑った。
「ありがとうって何がだ?」
「そばにいてくれてだよ」
そばにいてくれてか…なんか俺ってそんなことしかできないよな…
そしてしばらく沈黙が続いた。
そしてその沈黙を破ったのは俺の方だった。
「あ、そういえば、今日って何の日だったんだ?」
もう当たりも暗くなってきたがいまだにわからない。
そんな事を思っているとユンはクスクスと笑い始めた。
「何がおかしい?」
「おかしいよ、だって今日は、コペルの誕生日じゃん」
「あ」
忘れていた。俺は今日で17の誕生日だ。
[おめでと」
「おう…ありがとな」
それだけいうとユンは安心したのかまた眠りについた。
ユンの両親から家に帰るの様に言われ、俺は家に帰ることにした。
家に帰る道中俺は馬小屋でマータンと向かい合った時のことを思い出していた。
俺は最初っから真っ向から戦おうなんて思ってはいなかった。それは俺が俺を弱いと知っているからだ。
でも、今回はたまたまうまくいっただけでマータンが少しでも頭の切れるやつ。逆に何も考えてないバカだった、俺もどうなってたかわからない。
ユンも死んでたかもしれない。
「強くならなきゃ…」
そんな事を考えながらユンの家から自分の家まで帰っている時だった。
また流れが見えた。
「こんな時まで…」
もう【探索】の技能はいらないんだ。
そうは思うもののその流れも目で追っていた。
するとーー
「あれ?」
流れのその先の先まで鮮明に目で追える様になっていた。
「もしかして俺【探索】を極めたのか?」
あたりを見渡すと無数の線の様な流れが目に見え始めた。
「マジか!?」
それを見ていると全ての流れはある一つの山の中まで続いていた。
「…行くしかねぇか」
これで本当にこの先にいっても宝石ぐらいしかなかったら本当に雑魚スキルだな。
その流れを追いながら山の方へと行った。
いくら住みなれた街といっても山は山、夜は夜。暗い中の山は危ない。
「足元が不安定すぎるな」
そうおまいながらも流れを追った。
しばらく流れを追い続けた結果、ある片手ぐらいの大きさのほこらにたどり着いた。
「ここか…」
俺が幼少期からずっと気になっていた流れの全てが一点に集中する場所だ。
流れを全てが密集するそこに手を伸ばした。
するとその流れの全てが祠の中へ入っていった。
そして急に光が生まれ、それが徐々に大きくなっていった。
体全体が光に包まれ、眩しくて目を閉じだ。
光が落ち着きそっと目を開けるともともと自分のいた場所に俺はいなかった。
「ついに私を見つけてくれる人が現れましたね」
「誰だ!?」
声のする方を見るとそこには神々しい羽衣を着た美しいし女性が立っていた。
「私は、エネム。ここの森の妖精…妖精なのかな?」
「ん?」
なんか思ってたのと違う気が…
「あ、、えっと、ここの森に…封印された精霊です!」
歯切れが悪い。何だこの女は。
「なんだよ…おれこんな奴のために17年間も無駄にしたのかよ…」
「こんな奴って。もしかして私!?」
「そうだろ。妖精か、精霊か分からないけど」
「無駄って何よ!私だって500年間ぐらいずっと喋ってなかったんだから、自分の存在ぐらい忘れるでしょ!?」
「忘れないだろ!」
「はぁ!?わすれます〜。まだ17年しか生きてないから分からないだけです〜」
マジかよ。俺こんな奴のために…
「どうしたの?急にしょぼくれちゃって」
「それはしょぼくれるだろ…俺【探索】スキルに人生かけてきたんだぜ?もっとこう…凄いことが起こるって思ってたんだよ」
「あぁ、それで空気を漂う私のマナを捉えられたのか?」
「なんだそのマナって」
「魔法を使うときに使う力よ。なに?今はそんなことも習わないの?」
「あ〜、習うが、500年前はそういってたのか」
今は魔法力っていってるよな。
「ふーん、今も色々変わったのね。じゃあ、とりあえず出してちょうだい」
「え?出し方は知らないんだが?」
「え?」
「え?」
いや、そんな絶望みたいな顔しないでよ。
「てか、俺をこの謎空間から出せよ」
「無理よ! 私もここに500年もいるんだから」
「あれ? マジで言ってるの?」
マジかよ俺もここに閉じ込められたのかよ。
「おおマジよ! てかあんた【探索】のスキルマスターしてるんでしょ!?」
「そうだが?ここから出れる出れないは関係ないだろ」
「関係あるよ! いい? スキル【探索】は鍛えるのがとても難しい代わりに鍛えたら大抵のことができる様になるスキルよ」
「え?マジでいってるの?」
「おおマジよ! だから早くここから出るのよ」
マジかよ…きなに信じ難いか…
「いい、まずいつもみたいに【探索】を発動する感覚になって」
仕方ないものは為しか。
俺は目を凝らしいつものようにスキルを発動した。
「じゃあ、そのまま目を閉じて」
「え?」
「いいから、ゆっくりと、ゆっくり閉じて」
仕方ない。
俺はゆっくり目を閉じだ。
何か少し違うのが分かった。
当たりは明るかった。それなのに、目を閉じた瞬間今まで体験したこともないほど真っ暗に感じた。
「いい?今は何も見えないかも知れない。まだなれてないし、【探索】もまだ本調子じゃないから、でも、信じて」
「おう…」
まぁ、信じるしかないしな。
「もっと、肩の力抜いて、リラックスリラックス」
リラックスつったって意外と難しい、体の力を抜くというのは日常生活でやらないからかな?
「そしたら、心の中に目があるイメージをしてみて」
心の中に目がある…
ここに自分がいて目の前には自称精霊がいる。
そして当たりは光の中だ。
「そう、イメージ、すると、マナの流れが見えてくるはず。その中心を掴み取って!」
目をつぶったまま当たりを見渡す。たしかに微かだがマナの流れと言われるものが見える。
それを心でイメージし、イメージを広げていった。
そして…
「あった…」
いく重にもマナの流れが絡まった糸のようにそこには存在していた。
「そう、それが【器】よ。魔法や呪いのの中心。それを取り除いて」
ゆっくりと手を伸ばし【器】を握りしめ引き抜いた。
「ありがとう」
そんな声が聞こえ目を開けてみると元いた場所、つまり森の中にいた。
あれ?
前を見ると祠は崩れており、先程と何かが違うことはわかった。だが…
「現実感がねぇ…」
てかあの精霊はどこ言ったんだよ。
当たりを見渡しても精霊はいなかった。
「幻だったのか…」
(そんなわけ無いじゃない)
胸の内からそんな声が聞こえた。
「わ!びっくりした。ふざけんなどこにいるんだよ」
(あなたの心の内よ。久しぶりに外に出たから上手く実体化できないのよ)
「何が心の内よだよ!勝手に入ってるんだよ!」
(わかったよ。出るわよ)
そう言って精霊は胸の内から外に出てきた。
それは先程の光の中のように実体ではなく、半透明な形だった。
「霊体って嫌なのよね。ムズムズする感じがして」
「こっちだって自分の心と喋ってるみたいで嫌だわ」
にしてもどっと疲れた。早く帰るか。
「じゃあ、もう封印とかされるなよ」
「なんか木から落ちた小鳥に注意喚起するノリでいうの辞めてもらってもいいかしら」
「はいはい、わかったから、じゃあな」
そうして俺は山から降りて帰路に立った。
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