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17 肉体の話


「おいクソジジィ!聴こえてっか?」


「…何か言っておるのか?」


多分口の動きで何かを言っていることだけはわかるが何を言っているのかわからないのだろう。


「わしはこれから一人で生きていくことになる。聴覚などは不要なのだよ」


「不便だクソジジィ。そう思うのならしゃべるなクソジジィ」


まぁこの言葉も聞こえてないんだろうが。


にしてもどうやって倒そうか…


ジジィの体には無数の流れの中心がある。

中心を引き抜くのは無理そうだ。


そんな事を考えていると空の裏が熱くなってきた。


そうだった。下からは熱せられてるんだった。そろそろ木が無くなって火は消えるかな?


…あれ?あのジジィ俺が今考えてる瞬間にも何か仕掛けてくると思っていたが、何も仕掛けてはこねぇな…


じじぃは廊下からただこちらを見ているだけだった。


周りにいる虫は強いがジジィ自体は弱いんじゃないのかこれ。


俺は地面に落ちていた潰れた丸い虫を拾い上げた。


「ダニをどうする気だ?」


「こうするんだよ!」


そういいながらジジィに丸い虫を投げつけた。


すると廊下に入った瞬間ドアの裏側に潜んでいた長くピンク色をした虫が丸い虫を食べた。


「まぁ…追いつけよ小僧。そこから何を投げてもこのミミズが全て防ぐだろうて」


きも。何だあの虫は…てかどんだけ虫を潜ませてるんだよ。


「お前。わしが作った目に見えないはずの蜘蛛が見えていたな?」


「あの蜘蛛の飼い主はお前かよ」


「…何言ってかわからんが、わしには

大量でかつ大きな命が必要だったんじゃよ。そこでわしは蜘蛛を選んだのじゃ」


なんか語り始めたが、やはりジジィだから喋る機会がなくなりすぎて喋り相手でも欲しいのか?


そんな事を考えてる場合じゃないか。このジジイをどうするかを考えなければ。


「蜘蛛の子を命を取り入れる事で、わしの魔術は完成した。それがわしが人生を賭けた魔術「インセクトトレード」じゃ!」


いや、わからん。まぁでもつまり蜘蛛の命を他の命に変えてる的なものか?


「おい!エネム!どこ行った!」


俺はエネムを呼ぶために叫んだ。



だが来る気配がない。


「わしが悪じゃて?人間も虫を殺す。同罪じゃよ」


「お前は自分が言って欲しい言葉を想像して喋るのをやめろ」


「そうか…なら向かって来るがよい。」


いや向かわないだろ。

ただ放置するわけにはいかない。

どうやってジジィを倒すかを考えなければ。


「はいはい、呼ばれた気がしたわ」


エネムが下の床から欠伸をしながら突き抜けてきた。


「おぉ、やっときてくれたか。あのジジィ見てみろ」


「あらら、きもいわね。あんなことやったら体がもたないわよ」


ん?体がもたない?


「え?どういう事だ?」


「当たり前よ持つはずが無いわよ。あなたが体には中心を取り入れる時はマナだけをあなたの中心に流しているの。でもあれは中心を維持したまま、体に留めてるの。あのままだとマナが逆流して体が弾け飛ぶのも時間の問題ね」


「え?つまり?」


「爆発するわよあのおじさん」


…やべぇ。のんびりしてられないぞ。学校を壊されるわけにはいかねぇわ。


教室一個ならまだ復旧できるが学校丸々はきっと復旧出来なくなる。


仕方ねぇ。プランが固まってないが行くしかねぇ。


俺は走り出した。


そして廊下に出る直前で止まり教室のドアを閉めた。


そして教室の後ろがにあるドアの方に走りドアを開けた。


だがそこから出るのではなく、閉めたドアの方に戻りそちらのドアを蹴り開けた。


ジジィは耳が聞こえてないため走っている音が聞こえず、目だけの情報に頼りドアの空いた方に虫を固めると思ったからだ。


ドア向こうではジジィは先ほどと変わらない位置で立っていた。


その顔は驚きに満ちており、俺の思った通りなのだろう。


「耳を聞こえなくした事を恨むんだな」


ジジィの股間を何回も殴りつけた。


しばらく殴っていると動かなくなった。



振り返るとミミズや蜘蛛が後ろのドアにいたが動がなくなっていた。


「本体が弱いんじゃぁ仕方ないよな…」


そんな事を思いながら帰ろうとした時だった。


「コペル。マナの流れを止めなきゃ爆発するわよ」


「あ、そうだった。倒すだけで満足してたわ。」


俺はそう思い男からマナの中心を抜こうとしたが、体が止まった。


「おいエネム」


「はいさぁ、どうしたの?」


「このジジイの中のマナって大体は蜘蛛のものだろ?」


「まぁそうよ」


「自分のマナよりも多く違うもののマナを体に取り込んじゃったらまずいんじゃ無いか」


そういうとエネムがニンマリと笑った。


「私は知らないわよ。でも、ナニがあってもおかしくは無いわよね」


蜘蛛にはなりたくねぇな…


ただ、エネムのあの顔はしでかしてくれ面白いからって顔だった。


「…このジジィ、どこかに捨てておくか」


そう思い、ジジィを背負い、一回まで降りた。


すると外にいたクラスの奴らがこちらを除いてくる。

外に出ても誰一人として俺には話しかけてこなかった。


するとアドベスとシーシ。そしてユンが近づいてきた


「こいつどうなったんだ?」


アドベスがそんな事を聞いてきた。


「分からない。ただ爆発する可能性があるらしいからら少し遠くまで運んでくるわ」


「わかった。俺も同行していいか?」


そういうアドベスは足を引きずっていた。


きっと外に投げた時に足を挫いたのだろう。


「いや、一人で大丈夫だ。すぐもどる」


そう言い残し俺はマータンのバター犬をボコボコにした馬小屋まで走ってきた。


まぁ、ここなら大丈夫だろ。もう使われていないみたいだし。


俺がジジィをそこに縛りつけて、帰ろうとした時だった。


「コペル?」


後ろを振り返るとそこにはユンが立っていた。


「ごめん、着いてきちゃった」

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