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14 ユデカエル

地面に落下したが、案外痛くなかった。


「え?」


俺が抱き抱えている女の子は不思議そうに俺の顔を見てきた。


「足痛くないの?」


「全然、早く逃げるぞ」


と、口で言ったが、俺は走るのをやめた。別に足が痛いわけではない。


「どうしたの?」


俺は女の子をおろした。


「いや、行かなきゃ蜘蛛の子の被害が出ちゃうから…」


そうだ。もしかしたらまた見えなくなっているかもしれない。


「君名前は?」


「え?クラスメイトなのに…シーシ」


「シーシね。お前、蜘蛛のこといつから見えてたんだ?」


そう。こいつは蜘蛛の卵のことが見えていたのだ。


「今日初めて見えたよ。急に現れて…」


「そうか」


じゃあ、こいつもマナの流れが見えているわけではないのか。


「じゃあ、先に逃げていてくれ。よく頑張った」


そう言ってその子の頭を撫でた。


そして俺は走り始めた。


「あーあ、あなた本当にロクな死に方しないわよ」


エネムがそんなことをまた言っている。朝も言ってたよなそれ。


あれ?


いつもよりも足が速い気がする。それに…


俺は何故かできる気がして、壁に飛びついた。


そして垂直の壁を上り始めた。


「おー、何だ俺!?」


「あなた蜘蛛を吸収したから蜘蛛のスキルを手に入れたんでしょ?」


エネムが横を同列で飛びながらそんな事を言ってきた。


「エネム、お前先に行って状況を見てくれないか?」


「え〜私がそれやっても何もメリットないし…あ、そうだ。蜘蛛の子のマナの中心をくれたら考えてあげるわ」


「じゃあ、却下だ」


こいつが中心を得て復活したらまた世界が滅ぼされかねないからな。


したかないか。


教室に手が届いた。


そっと覗くと教室の中は蜘蛛で溢れていた。


廊下を見るとドアも窓も閉められていた。


今俺が覗きている窓も蜘蛛のサイズより小さかったため出てこれないのだ。


なるほど…閉じ込めたのか。


そう思い、俺はのぞいている窓をそっと閉めた。



じゃあ、一個下の部屋に行くか。


一個下の部屋の窓まで移動し開けようとしたが空いてなかった。


「仕方ないよな…」


窓を叩き割り中に入った。


そして、部屋の中に入った。


そこは今は使われてはいない倉庫の様な部屋でいろんなものが雑多に置いてあった。


「汚いなぁ…でも使われてないなら好都合だ。まだけつの青いうちにあの蜘蛛どもを殺してしまわなければ」


まず部屋のものをある程度片付けなければ。


ドアをあけ廊下に出た。するとユンが俺を追いかけてか階段で下に降りていくところだった。


「おいユン!こっちだ!」


そういうと階段を降りたはずのユンがまた上ってきてこっちをのぞいてきた。


「コペル!生きてたのね!?」


ユンは泣いていたのか涙を袖で拭いた後にこちらへ近づいてきた。


「勝手に殺すな。泣くことないだろ」


ユンが泣いているの初めて見たかも…


「あ、そうだ。手伝って欲しいんだが…」


「え…戦う気なの?」


「戦わないさ。ただ、そっちが閉じ込めてくれたから、茹でガエルにでもしようかと思って」


ユンは首をかしげた。



しばらくすると8名のクラスメイトが集まってきた。


「他は?」


「みんな逃げちゃったわ。腰抜けなんだよみんな」


じゃあ俺とユンを合わせても10人か。まぁいけるかな?


「私もやる」


そう言って出てきたのはシーシだった。


「シーシか、やってくれるのか?」


「うん」


人が多いに越したことはないか。


そうして11人が集まった。


「で、どうするだ?コペル。何か策があるんだろ?」


一人の男子生徒が話しかけてきた。こいつなんて名前だっけか?


「えっとだな、とりあえずみんなは校庭とかから木の枝とかを持ってきてくれ。なるべく多く、たくさん持ってきて欲しい」


「わかった。お前ら行くぞ」


そういって男子生徒が6人ぐらいの人を連れて外に出ていった。


「あとこの中で風系の魔法が使えるやつはいるか?」


そう聞くとシーシが手を挙げた。


「私、魔法は得意」


「じゃあ、シーシに頼む。もしかして火とかも使えたりするか?」


そう聞くとこんばんわと頷いた。


「マジで助かる。じゃあ。あとで指示を出すから使える様に準備を頼む」


「後、余った人たちはこの教室の中の掃除だ」


そう言って俺が窓を割った部屋の中の掃除が始まった。


「燃えそうな物は教室の真ん中に、あとは全部外に出せ、燃えない物は外の廊下に並べておいておいてくれ」


そう指示を出してから数分が経った時だった。


「集めれる限りの木々を集めてきたぞ」


そう言って木を集めに行っていたチームが戻ってきた。


その手には溢れんばかりの木々や、薪などがあった。


「ありがとう助かった。じゃあ、教室の中央に置いておいてくれないか?」


「了解!お前ら教室の中に持っていくぞ」


そういうと男子生徒を筆頭に教室の中に入って行った。


よし、完了だ。


俺は最後の確認をした。


木の枝を手に取った。


「おいシーシ、この木の枝燃やせるか?」


「うん」


そう言うと呪文を唱え始め、木の枝に小さな火をつけた。


「ありがとう」


俺は、火の上に手を置いた。


「ちょっと!コペル!」


ユンが叫んだ。


「あっつ!めちゃあつ!」


「当たり前でしょ?何してるの!」


「いや、確認だよ確認」


蜘蛛のマナの中心を取り入れた俺に暑さの耐性がなかったってことはあの蜘蛛どもにも耐性がないことになる。


「じゃあ、地獄の始まりだ」


そういうと、手に持った木を真ん中の木々に投げ入れた。


すると火はすぐに燃え移り、大きな炎になった。


「窓を開けて風の流れをよくしろ!シーシ風を起こせ!」


「なるほど」


そういうとシーシは呪文を唱え始めた。


「私もやるよ!」


ユンもシーシの横で風の魔法を唱え始めた。


するととてつもない強風が部屋の中へ流れ込んできた。

すると大きかった炎がより大きくなり、天井にまで届いた。


「やべぇ!火傷する。お前ら外に逃げろ!」


教室から出て外に逃げた。


「なるほど、したから炙ってあの部屋のなかで全て焼き殺す作戦か」


「まぁ、そうだな」


何とか上手くいきそうだ。


「上手く行ってくれるかな?」


俺は火が回るまでしばらく外で待っていた。


「あれ?」


エネムかまたいない。


まぁ、すぐに戻ってくるだろう。



落ち着かない。


すまん、俺上を少し見てくる。


「なら私も」


ユンが一緒についてきてくれるみたいだ。


なんだろう悪い予感がする。


走って上に向かうと、何も起きておらず、クラスメイトがまだ教室の前で立ち尽くしていた。


そのクラスメイトの上空にいたエネムがこちらに近づいてきた。


「あの子たち早くどっかに行かせるべきよ」


なんだ?生徒の心配でもしてくれたのか?


その割にはエネムは少し面白がった様な顔していた。 

 

それが気になりクラスメイトの方へ近づいた。


「おい、少しぐらいなら中除いてもいいんじゃないか?」


そんな声が耳に入ってきた。


「おいおいおい!ダメに決まってるだろ!お前らは早く外に出て避難しろ!危ないぞ!」


そう言ってあげようとする男を止めた。


だが、クラスの奴らは避難はおろか動こうともしなかった。



「おい!危ないぞ!早く逃げろ」


「何だこいつ。急に偉そうに…」


どこからかそんな声が聞こえてきた。


なんだこいつら…

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