13 蜘蛛の子
教室に入ると、蜘蛛はまだ俺の席の上にいた。
「マジかよ…」
いや、でもチャンスだ。
蜘蛛が上にいるということは俺がいざ攻撃しようとした時に最短距離で攻撃を与えられるからだ。
俺は自分の席に戻る間、視界で捉えられる範囲で部屋の状況を見た。
たしかに天井の真ん中には大きな球体の様ものがある。そして脈を打つかの様に動いていた。
気持ち悪い…
部屋の壁を見てみると上へと向かいマナの流れがあった。
なるほどな…
そう思いながら席についた。
「コペル急に教室出たけどどうしたの?」
「いや、トイレ行きたくね」
ユンが少し心配そうにこちらを見ていた。
「大丈夫だよ」
そういうと俺は黒板に向かった。
社会の時間でおじいちゃん先生が何かをしゃべり始めた。
先生の足にも雲はへばりついている。
さてどうしたものか…今動くべきなのか、後で動くべきなのか…
そんな事を考えていると蜘蛛が僕の上から消えていた。
上を見たら、卵の横にいた。
「コペル。多分やばいわよ」
エネムがそんなこと言いった。
俺はとっさに上を見たが俺には分からない。
エネムに首を傾げた。
「あの蜘蛛、はじけるわよ」
エネムはそういうと指で上をさした。
俺はその指を追う様に天井を見た。
蜘蛛は全ての足を広げて胴体を震わせていた。
そしてしばらくすると顔の横にある足の関節部から青い血が下へと流れ始めた。
その下にいたクラスメイトの頭にその血が流れた。
その男子生徒は急に叫び始めた。
「何なんだ!この青い物は!」
立ち上がり叫び始めた。
男は完全に取り乱している。
「お、おいどうしたんだよ?」
周りの生徒も動揺し始めた。だがみんなは見えていないみたいだ。
地面を見ると青い血が消えていた。
黒い雲が吸収している様だ。
上の卵が脈を打つごとに大きくなっていく。
まずい…
俺はそう思い、立ち上がった。
「コペル?」
ユンが心配そうにこちらを見ている。
「大丈夫…」
俺は机の上に乗った。
そして蜘蛛を見た。
ん?何だこれは…蜘蛛のマナの中心をが2つあった。
「エネム!何であいつ二つあるんだ?」
「知らないわよ。てか今気づいたの?」
ずっと直視できなかったからな。
仕方ない、両方奪うしかない。
そう思い、飛び移りながら机の上を走り、蜘蛛目掛けて飛んだ。
そして両方の中心を両手で掴み、思いっきり引き抜いた。
そしてそのマナを自分の中へと取り込んだ。
よし!これで大丈夫だ!
そう思っていたの束の間着地を忘れて着地に失敗してしまい、強く尻を打った。
「いてて…骨折るところだったわ…」
何とかどうにかなった。
そう思いながら上を見上げてみると、蜘蛛の一本の足だけが天井についたままになっており、ぶら下がっていた。
「ぎゃぁぁぁ!何だあれは!」
すると周りの生徒が叫び始めた。
「やべ」
きっと蜘蛛が気絶したため、見えなくしていた術が解けてしまったのだろう。
そして雪崩の様に生徒たちが教室の外へ我先にと出て行こうとする。
俺も、この流れに紛れて外に出てしまおうか。
そう思いながら、立ち上がった時だった。
蜘蛛が上から落ちてきた。
それはそうだいつまでも上にぶら下がっているはずがない。
そして地面に蜘蛛がついた。すると黒い雲に吸い込まれる様にして蜘蛛は消えていった。
あれ?これは不味いんじゃないか?
やばさを感じた俺は真上にあるタマゴを見た。
先ほどよりも早く鼓動しているように見えた。
やばいやばいやばい。
俺はあたりを見渡し教室の中に誰か残っていないかを確認した。
すると青い髪の女の子が床に座り上を見たまま教室の端で固まっていた。
「やばいって!」
俺はその子の元へ走って向かい手を握りしめ、立ち上がるために思いっきり引っ張った。
「やばいから早く逃げろ!おい!しっかりしろ!」
その子は恐怖のあまり意識がはっきりしていない。
引っ張って立ち上がらせてもすぐにへばってしまう。
やばいやばい。
「あ…」
立たせようとしている子の目線が下へと下がっていく。
俺は後ろを、卵を確認しようとした。
「あ…」
俺も声が出た。卵が落ち始めていた。
そして今卵が落ちた。
卵が落ちた衝撃で卵が割れた。割れた中には何百もの蜘蛛の子がいた。
そして1匹1匹の大きさが1メートルはあり、一人で全てを相手にはできない。
「やばい!逃げるぞ!」
そういい、手を取っていた女の子を抱き抱え、窓に足をかけた。
う…
ここは2階だ。
もしかしたら死ぬかもしれない。
だが…後ろから迫る蜘蛛を迎え撃てるほど強くもない!
「一か八かだ!」
俺はそう叫び窓から飛び降りた。
「コペル!」
ユンの声に振り向くが目の前には壁。もう俺は落ち始めていた。
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