12 作戦会議
嫌な汗が流れる。
朝のホームルームの最中だが、しゃべる先生の言葉が頭に入ってこない、
カサカサと嫌な音が天井から聞こえるがみてはダメだ。
クラスメイト全員が人質に取られてる様な物だ。
エネムはどこにいった?こういう時には近くにいて欲しい。
やばいどうしよう…
「コペル大丈夫?」
そうユンから聞かれた瞬間。何故だろう。天井から視線を痛いほど感じた。だがしかし上を向くわけにはいかない。勘違いであってくれ…
「あ、あぁ、大丈夫だ」
「なんか、コペルがマータンを倒した後、マータンがおかしくなっちゃったらしくてみんながコペルを怖がってるんだよ」
こそこそとユンが耳打ちをしてきた。
そんなことはどうでもいい。こいつらがどう思おうが今はどうでもいいんだ。
どうしよう。これはユンにだけでも教えとくべきか?
少し悩んだ後に、ユンの耳に近づいた。
「ごめんこの後話がーー」
ユンが甲高い声を上げ、耳を押さえた。ユンの顔は真っ赤だった。
「おいそこ!静かにしろ」
周りがこちらを向き先生がこちらを怒ってきた。そして蜘蛛の様なものが天を張りながらこちらに近づいてきた。
それは音でわかった。カツカツという音が徐々に近づき俺の真上で止まった。
バレたか?見えることがバレたか?蛇に睨まれた様な感覚だ。
怖い怖い怖い…急にこいつが俺のことを襲ってきたとして、龍の瞳は発動するのか?それに俺はこいつを倒すことはできるのか?
分からないどうしようか…
そんな事を考えている時だった。
「学校って言っても面白そうな人はいないもんな…あーあ、実体が欲しいわ」
そんな事を言いながらエネムが壁をすり抜け部屋に入ってきた。
やっと帰ってきた!
エネムが帰ってくる事でこんなに嬉しいと思う日が来るとは。
「あれ?いつのまにかコペルの上に移動してるわ」
やっぱり上にいるのかよ。
そしてエネムと目があった。するとエネムは笑い始めた。
「何よ!その顔!ビビりすぎ!ビビりすぎよ!」
そう言いながらクラスメイトの机の上で腹を抱えながらじたばたし始めた。
うざい。やはりうざい。ただいい事を聞いた。
ビビりすぎと彼女はいった。てことは大したモンスターでない可能性が出てきた。そんなにビビるほどのモンスターではないということかもしれない。
そんな事を思っていたらホームルームが終わり、束の間の授業準備時間になった。
俺は終わった瞬間に教室から出て行き、エネムがこちらにくる様に手招きした。
「なによ。元々私は学生じゃないんだからこの時間だって寝てていいんだからね。暇だし」
「着いてきたのはお前だよ。まぁそれはいい。あの蜘蛛みたいなやつなんだ?見たこともないんだが」
やっとしゃべれる。やっと肩の荷が降りた様な感覚だ。まぁらまだ荷は降りてないが。
「知らないわよ。でも下の蜘蛛であの部屋にいる人のマナを奪っているのは確かね。気持ち悪いわ」
「あそこで何してるだ?あいつは」
「あぁ、それは卵を孵化させようとしてると思うわ。天井の中央にでかい卵あったし」
マジかよ!じゃあ、その蜘蛛の養分にされてるのか俺らは。
「多分孵化するまでは徐々に徐々にマナを奪ってタマゴを育てて、卵がかえったときの食事としてあなた達がいるんだと思うわよ。早く逃げた方がいいわ。もう卵落ちそうだったし」
「まてまてまて!何でそんなのがクラスにいるんだよ!」
「だから分からないってまずあんなの見たこともないわ。この500年の間で生まれた生物なんじゃないの?一旦落ち着きなさい」
「…そうだな。すまん」
俺は息を胸いっぱいに吸って、はいた。
少し落ち着いた。
だが、ゆっくりしている時間はないみたいだ。
「エネム、俺が急に蜘蛛を殺そうとした時、下の雲からマナを吸われてる奴らはどうなる?」
そういうとエネムは少し考え始めた。
「ん〜予想だけど。何もないんじゃないのかしら?元々あれが徐々にマナを吸うものなんだからいきなりめちゃくちゃな量吸える様なものではないと思うわ、でも」
「でも何だ?」
そういう時エネムは少し真剣な顔つきになった。
「いい?少し重要な話をするけど、コペルはマータンのマナの中心を奪った時のこと覚えてる?」
「あぁ、昨日のことだしな」
俺が奪ったあと、マータンは倒れた。確かそうだ。あの後は分からないが。
「昨日も言ったけどマナの中心はその人のスキルそのものなのよ。だから万が一にもあの雲が急にマナを全て吸い尽くす様なことができる様な物だったらクラスメイトが全員スキルが使えなくなる可能性もあるわよ」
マジかよ…急に怖くなってきた。クラスメイトの人生を背負っている気分だ。
「それにマナをいっぱい吸うのだからその場で孵化する可能性をあるし、マナの中心を取られた人はしばらく気を失うから、蜘蛛の子が孵化した時にみんなが気を失って動けないってなったらこの街が蜘蛛だらけになりそうね」
「それは勘弁だな…卵って今日の夜まで持ちそうか?」
「それは分からないわ。でもすぐにでも落ちてきそうよ」
マジですか…
そんな会話をしていると、チャイムが鳴った。そしていつのまにか後ろには先生が立っていた。
「なに突っ立ってるんですか?早く教室に入りなさい」
「あ、はい…」
俺がクラスにいないと今日卵が落ちてきても対処できる人がいないからどちらにせよ俺は逃げることはできないか…
どうか午後までに卵が落ちてこないでくれ…
そんな事を願いながら教室の中に入った。
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