10 瞳
気づけば夜でユンも寝ていた。
こっそりユンの手を離し、「おやすみ」とひとこつげて、部屋から出た。
するとユンの両親はなにやらニヤニヤしながらこちらを見ていた。
「…なんですか?」
「「いや〜なんでも」」
二人な口裏を合わせたかのように息ぴったりだ。
「別になにもしてないですよ。娘さんが寝るまでそばにいただけです」
「本当か?手まで握ってたのに?俺らもお前らがもうそんな中だ何で知らなかったぞ。いやぁ…時間の流れは早いもんだ」
おじさんが急に過去を懐かしみだした。
「両親が心配するんでもう帰りますね」
「おう!ありがとな。また寄ってくれよ」
そう言い残しユンの家から出た。
あの両親娘を俺なんかに預ける気なのかよ。気がしれないな。
それはそうと…
「おい!エネム!どこ行きやがった!」
そうエネムだ。あいつ完全に俺のことを騙して楽しんでいやがった。
「はいはいはい。美が具現化した存在のエネムですよーー」
「牛の糞以下の匂いとガマガエルの中でもブスの部類のガマガエルに似てるお前がそんなはずないだろ。いい加減にしろ」
「あ?なんだって?」
「お前が騙して楽しんでたよな?」
そういうとエネムは何かを思い出したようだ。
「いや?本当に体が冷えてたのよ」
「まぁ、いいや。俺の質問に一つ教えてくれたら許してやるよ」
「本当?なになに何?何を聞きたいの?」
「お前どうやったら消えるの?」
「許す気ないじゃない!」
「だって、答えたら許してやるって言ってその話に乗るってことは許して欲しいことがあるってことだろうがよ!」
「あ…」
エネム、くるっと回り急に加速して逃げ始めた。
「逃がすか!」
そう思うとまた時間がゆっくりと進みが遅くなった。
そして俺は【探索】を使いエネムの体を見た。
だがマナの中心がエネムにはなかった。
エネムには手は届いたが何も掴めずに通り過ぎてしまった。
「あれ?」
俺がまた喋り始めると時間の流れが元に戻った。
「エネムお前、マナの中心がないぞ」
「当たり前よ。ほとんど霊体なんだから…てか龍の瞳を使うのはずるいわ」
「何なんだ?その龍の瞳って?ずっと言ってるな」
「何?知らないで持ってるの?宝の持ち腐れね。私に渡した方がいいわ」
そういうとエネムが目に手を突っ込んできた。が、すり抜けた。
「びっくりした。やめろよ。何なんだよこの瞳は」
「本当に知らないのね。いいわ教えてあげる」
そういうとエネムは話し始めた。
「ふむ…なるほど、要するにすごい目ってことだな」
「そうね。龍がそれを通して世界を見るためにそれを持っている人がすぐに死なないようにすごい力が与えられるのよ!」
なるほど、じゃああの時間がゆっくりに見えるのはそう言うことか。
「だから私にちょうだい。それがあれば実体を得るのは簡単。それに力を使いこなせれば時間をも操れるようになるわ」
「それはすごいな…」
俺そんな力を預かったのか…
「この力を使い方もちゃんとかんがえやなきゃなぁ…」
なんか【探索】を極めてから考えることが急に増えて疲れるな。
「いいや、疲れたし、今日は寝るか。早く家帰ろうぜ」
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