挿話 神々の小噺Ⅰ
「ところでハーバーン。お主にしては珍しいことをしたのぅ。甚之助に何の力を与えたんじゃ?」
珍しく人間に力を与えた魔神ハーバーンに創造神であるゼウスが問うた。
「別に大それた力ではありません。あの世界は私の作った理の"魔素"が大きく影響していますから。魔素との相性を少しだけ良くしたまでです。"魔法"を行使できるようになるかは奴次第です」
「なるほどのぅ」
「それに、仮に全員が“神格の加護”を奴に与えたところで、世界のバランスを崩すような事態にはならないでしょう。ですからちょっとした調整なら何の影響も無いと判断したまでです」
『確かにねぇ』と他の神も同調する。
「でも気に入ったんなら、もう少し素直になっても良かったんじゃない?」
クスクスと笑うフォルトゥナにハーバーンは『うるさい』と舌打ちする。
「そういえばパーンよ、さっきお前の子に頼んだ“少し面倒をみろ”ってやつ、お前の子ってあの世界じゃ神獣だろ。神獣に育てられる赤子なんざ“人類最強”の上を行く特別な力になりゃしねぇか?」
マルスの疑問にフォルトゥナも『言われてみればそうかも』といってパーンに目をやる。
「大丈夫だよ! 僕の子の事は僕が一番よくわかる。あの子達に人間の赤子を育てるなんて無理! 一応一番賢い子に頼んだし、上手く人間に育てさせるはずだよ」
ドヤ顔をしてるパーンに『ほんとかよ』とマルスは胡乱な目をむけると、『ホントだってば!』と地団駄を踏みながら抗議する。
「じゃあ、他のみんなは何あげたのさ!」
パーンが標的を他の三人に移す。
「あたしゃ大地の三属性の相性さね。ハーバーンめと大して変わらん」
「同じ。海の二属性。あと私のお庭でお話しする力」
「私はちょっとイケメンにしてあげたわぁ♪ 前世の甚は女っ気なさ過ぎてつまんなかったし。まぁ外面良くても中身がアレだからどうなるかわからないけどね」
ホントみんな微妙な加護だねとパーンは笑った。
「ふぉっふぉっ、皆うまい事ギリギリを攻めたようじゃのぅ。さて、事は済んだ。あとは見届けるのみじゃ」
ゼウスの一言で皆頷き、一様に自らの神域に帰っていった。




