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【完結】highest‘A’  作者: 輪形月
第五章
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ウィズ花粉症

本日も拙作をお読み頂きましてありがとうございます。

今年は雪があまり降らない。

 移動するのに通学チャリがずっと使えていたのはありがたいのだが、春が近づいてくると強い寒さが残るうちから花粉症の症状に悩まされるのはいかがなものか。

 朝起きたときからしぱしぱする目の痒さに、おれは目薬を探した。

 昨日の花粉症予報を見てから、慌ててフーディーに走ったから食料は十分あるんだが……。


 ビフォアの日本では、感染症より花粉症の方が大騒ぎされていたという。だが花粉症を含むアレルギー症状が発生するメカニズムにも、免疫物質の一つであるサイトカインが関連する。アレルギーも免疫反応なんだから当然だ。

 重篤なものになると、多種のサイトカインが互いに発生を誘発しあうとかで、それがパンデミック時に死亡率を急上昇させたサイトカインストームを引き起こす遠因になるじゃなかろうかという説まである。今日おれが基点内学習を予定していてよかったと思う理由だ。

 

 今では国内の花粉症の発生源となる植物が厳重な管理下に置かれていることは、サーヴィーを与えられたちびたちでも知っていることだろう。

 有用植物だとかいうヨモギはともかく、ブタクサなんぞは芽が出た段階で専用のワーカーが引っこ抜いていくらしい。

 ましてや杉なぞはきっちり伐採ドローンによる枝打ちが徹底されているんだとか。

 羽立澧(はだちれい)の出身地取材だとか言ってたアシさんは、その枝打ち作業のアルゴリズム組みと運用試験も仕事に受けていたらしい。

 

 年号が二つだか三つだか変わる前の日本では、将来の良材を育てるためということで、生えていた木を伐採してまで杉を植林した山も多かったという。

 だが、人が少なくなるにつれ林業の従事者も減り、杉山は手入れすらほとんどされることがなくなっていたんだとか。

 パンデミックにより親族が死滅したせいで、相続人が一人もいなくなっていたり、相続に次ぐ相続の結果受け継いだとしても、ほとんど縁もゆかりも感じられない山に思い入れなど持てない相続人が課税対策として二束三文で売り飛ばしたり、売れないからと言って相続放棄したりということもあったとか。

 それらの杉もまた、非常事態宣言国民健康特例措置法の対象となったのをいいことに、国や自治体は所有者の有無にかかわらずばっさばっさ枝打ちをした。

 成長速度を操作し、目の詰んだ材を作り出すことで国産杉材の品質向上と需給調整が主な目的だったらしいのだが、ほんの梢の枝だけ申し訳に残したような伐採をすませた地域では、花粉症の症状が大きく軽減したという結果が出たのが大きな林業政策転換点になったとかならないとか。

 パンデミックの最中も花粉の飛ばない杉の開発に明け暮れていた林野庁の科学者たちは、それを聞いて自分の努力はいったいなんだったのかと、がっくりうなだれたとかしないとか。

 

 それから強い枝打ちが当然になったとかで、今じゃ季節によっては目も開けられない、などというような花粉症の重症者はほとんどいなくなったという。

 だがどうしたって、アレルギー症状が出ている間は体内のサイトカイン量は増えている。自己免疫疾患と内側外側どっちに原因があるかが違うだけで、サイトカインストームほどではないが免疫バランスが崩れていることには変わりがない。


「んなわけで今日は外に出ねーわ」


 そう学校サーバに入ってメッセージを送ると、二人から「りょ」と返ってきた。

 相互にログが見える設定なので、ブレインストーミング用の下書き的にも使えるのがありがたい。


「そういや、知らん人間がうろついてるってちびたちが言ってた。花粉といっしょに飛んできたのかね」


 ソウから一人言のようなメッセージが送られてきたたが、ずいぶんと珍しいこともあるもんだ。

 基本おれたち未成年者が生活している文教地区(教育エリア)に、立ち入りが可能な人間と時間帯は決められているのにな。


「大枠できたから張っとく」

   

 ガクから飛んできたのはアフィ案だ。

 ……10秒に詰め込んだにしては悪くない。あとはどこに張るかだな。

 アフィで資金を集めることをハセンに伝えるのはガクに任せてたが、わりとあっさり許可がおりたようだ。

 おれらが他のエリアまで出かけていって、募金活動することを資金調達策の一番上に出しておいたおかげもあるのだろう。


「ザッツ、以前インタビューした先輩にもそれ見せて張ってもらう協力を頼んでみようか」

「お、いいねえ。そういや、その左藤先輩だっけ?!どんな仕事してんの?」

「今は深夜シフトの仕事してるとか言ってたな。その一方で起業の準備もしてるって」

「へー」


 すげーなその先輩。


 人口が減ると需要も供給も減る。経済は回らずおれたちが生まれる前からずっと回復などしていない。

 だのに、起業を考えてるって、よっぽど儲かるって目算がなけりゃできないことだ。


「なあソウ。ついでにどんな会社を興す気なのか聞いてみてくんない?」


 本当は、自分が直接コンタクトをとりたいところだが。


「びっ、……しょい!」


 鼻水塗れのリサイクルできな紙ゴミを増産してるこの状態じゃあ、ディスプレイ越しでもちょっと無理ってもんだ。

※あくまでもこれはフィクションです。

花粉症の方が感染症で重症化しやすいという学説は投稿時点では一切確認できませんでしたので念のため。

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