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枕の上に 希望の下に(12)

安い思考

言葉を

そこに封じ込めず

取り出そうとするのだが

それらは

現実世界では形を作ること無く

ドライアイスのように

消え失せてしまう

休日の夕方は

それらを取り出す為に

歩きに歩くが

如何様な道具に持ち替えても

不可能であって

スポイトで汗だけを集めるという

無情の極みを得るだけだった



ペタペタに張り付いたTシャツを脱ぎ

シャワーの音を聞きながら

忘れてしまった物語を

思い出しているのか

作り出しているのか

曖昧な様子で髪を洗う

泡立つ黒髪は

一番最初の泡を

何処かへ消していくのである

物覚えが悪いと云えば

それまでの話であるが

明らかに

それとは別の何かが

頭の中にあるカメラの前に立ち

写るであろう地続きの場所を

一ヶ所だけ

黒く黒く染めるのである

重要でありながら

不必要であるその部分は

世界を見る為のレンズのようで

穴の空いた部分を誇張していき

全てを台無しにするのである



白いタオルを頭に覆い

机の上にある白い海と向き合えば

途中までの道のりをなぞり

途中からの道なりを見送る

こうなる事が良いのか

わからなくなる瞬間は

常に

自分の中に準備されているようで

ナビゲーターが必要になる

どれが一番

思考が安くなるのだろう

そう考えた時から

面倒になるのだから

難儀な性格である

面倒を噛み砕き

よくわからない物質に変えて

燃料にしなければ白い海は渡れない

わかっているからか

ガリボリと鳴らしながら

いつまでも

机の前に座っているのである







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