黒衣の少女2
修正しました。
修正前版は活動報告に掲載していますので比べてみるとおもしろいかも?
「炎球よ、敵を焼き尽くせ【ファイアーボール】!!」
シルビアが放つ【ファイアーボール】を余裕を持って回避する黒髪ロングの美少女アリス=シラヌイ。
【ファイアーボール】はアリスの髪の毛一本すら焼くことなく遙か後方に着弾する。
(どうしよう?)
アリスは心の中でちょこんと首を傾げる。
ここは魔王城。かつて世界を滅ぼそうとした邪悪な魔王が拠点としていた場所であり、時の勇者が魔王を討ち滅ぼした場所でもある。魔王が存命していた頃は数多くの凶悪な魔物が闊歩していたまさに魔境だったと聞くが、魔王亡き今はその数、質ともに失われて久しい。
名前だけはそのままであるものの今となっては新米冒険者用の訓練施設。一種のアトラクションになっていた。
故に大した危険もないため、逢い引きや犯罪によく利用されていたりもする。
逢い引きなら可愛いモノだが、女一人を攫い複数で強姦するなど、攫ってきた相手を解体するなどと言った事例もあるため定期的に見守りするようになっている。
今回はたまたまアリスの番だった。
「氷よ、槍となり敵を貫け【アイシクルランス】!!」
迫る氷柱を左手に持ったブロードソードで軽々と切り払う。
「ぐぬぬぬぬー!」
あっさりと対処され涙目で悔しそうに地団駄を踏むシルビア。
(襲われていたわけではなさそうだし...)
そういった背景から、シルビアが手篭めにされているのだと判断したアリスは一郎を処分しようと動いていたのだった。
結果は勘違いなわけだが。
(まあ、あの視線は不快だったから別に良いけど)
と、一郎を足蹴に昏倒させたことには全く反省していない。
(問題は....)
「風よ、刃となり敵を切り裂け【ウインドスラッシャー】!!」
尚もアリスを打倒しようと魔法を唱える。
しかし、展開した魔方陣から望みの結果を得ることはできずそのまま消失する。
(どうやら魔力切れみたいだね...)
そう判断したアリスは距離を詰めるべくゆっくりと歩き始める。
「っ....」
一瞬惚けていたシルビアだがアリスの接近に気付くと、
「このー!」
腕をぶんぶん振り回し突撃してきた。
所謂、だだっ子パンチである。
「......」
しかし、両者には圧倒的にリーチに差があった。
アリスがシルビアの頭を抑えるだけで全く届かなくなるのだ。
「くぬぬぬぬぬ」
ブンブン、ブンブン。
「このこのこの!」
グルグル、グルグル。
「えい...」
「ふぎゃっ!?」
軽くデコピンされて吹っ飛ぶシルビア。
よろよろと起き上がり額を押さえる姿は既に涙目だ。
(かわいい...)
思わずほっこりしてしまう。
「落ち着いて、そこの彼は死んでないから」
恨みがましい目 アリスを睨むシルビアにそう声をかける。
シルビアは一瞬キョトンとし、
「何!そうなのか!?」
嬉しそうに声を上げた。
「ええ、気絶してるだけだよ」
「そっかー...」
緊張が解けたのか、ポスンと腰を下ろすシルビア。
(完全にこっちの勘違いだったみたい...)
他人の言葉をあっさりと信用し過ぎな気もするが、さきほどの張り詰めた空気は瞬く間に霧散していた。
「ところで、貴方達はどうしてここに?」
それならばと、初めの質問を繰り返す。
「む?ああ、我はつい今しがた封印が解けて外に出られた所だったのでな」
「封印?」
ここには何度も訪れているがそんなモノあっただろうか?とアリスが内心首を傾げていると。
「うむ、我は魔王〖シルビア〗だ。覚えておくが良い」
名前の部分を強調し、胸を反らし偉そうに爆弾を投下した。
「魔王...?」
すっとアリスの目が細められ、剣呑な雰囲気が漂い始める。
流石に今の言葉は聞き捨てならない。
「っ...!?」
その気配に偉そうな態度から一転、ビクリと体を震わせ怯えた表情でアリスを見る。
その姿は子犬のそれだ。
プルプルしている。
「.......」
その姿を見て警戒をとくアリス。
シルビアの言葉が事実かどうかはわからないが。かつて存在し、世界を滅ぼそうとした魔王がまさか目の前の幼女ではないだろと判断し、
「とりあえず...」
二人を街に連れて行くことにした。
あまりに銀髪ロリ魔王がカッコ可愛かったので修正。
やっぱりシルビアさんは不憫可愛い路線で!