黒衣の少女1
タイトル変更しました。
振り返ると全身を黒一色で固めた少女が立っていた。
かなりの美少女だ。年は15、6と言ったところだろうか。
素晴らしい。
腰まで届きそうな髪の色は黒。学校の制服のようなブレザーに短めのスカート、タイツに至るまで黒で統一されている。
これだけ見ると元の世界のどこぞのお嬢様って感じである。
ただ一点、腰に不釣り合いなブロードソードがつり下げられていた。
こちらをその黒い瞳が冷ややかに見つめている。
あーれー?何だが凄く居たたまれないんですが?
ここって一般人立ち入り禁止だったりするんだろうか?
後ろでもぞもぞ動く気配がするので、シルビアが起き上がったのだろう声をかけようと振り向く。
突如突き刺さる殺気。
慌てて振り向くと黒髪ロングさんが凄い侮蔑をこめた表情をしていた。
一瞬で状況を把握する。
俺の後ろには涙目の銀髪美幼女がいる。さきほどのスライムとの死闘で着ているジャージは着崩れている。そのそばに半裸の俺。
うん、完全に見た目アウトな光景だ。冤罪この上ないが説明しようにも相手が聞いてくれるか全く自信が無い。
だって、いつの間にかブロードソード抜いてるし!
突如、危機に瀕した俺の脳裏に今は亡き父親の言葉が甦る。
(死んでねーよ!?)
何か聞こえた気がしたけど華麗にスルー。
(いいか、一郎。男には自分が悪くなくても非を認めないといけないときがあるんだ)
とは、くっきりビンタ後をつけた父の言。
いや、あれは完全に親父が悪いよね?結婚記念日忘れてキャバクラに行くとか、そりゃお袋もぶち切れるってもんである。
その巻き添えで俺まで1週間白飯だけになったのを思い出した。
帰ったら覚えてろよ、くそ親父め!
復讐を胸に誓いつつ、今はこのピンチを脱するのが先だ。
対応を間違えると大惨事になる予感がする。
「スミマセンでした!!」
ズザーっと相手の足下に土下座で滑り込む。
「!?」
機先を制したのが功を奏したのか。はたまた土下座が効いたのか。殺気が霧散し、呆気に取られた気配がする。
しばらく、そのままの姿勢で待機していたが進展がなかったので恐る恐る顔を上げようとして....気づいた。
まず視界に入ったのは足だ。黒のショートブーツに黒のタイツに包まれた肉付きの良い脚が目の前にある。
こ、これは!まさかこのまま視線を上げると魅惑の三角地帯が現れるのでは!?
餌の人参に飛びつく馬のように視線を上へと動かす。
ゴールまであと少しと行ったところで目が合った。
ニコっと微笑む黒髪ロング美少女。
おう、天使や天使がいらっしゃる。
「死ね」
「ですよね!?」
そして踏まれた。天使は天使でも戦女神だった...。
ちらっと魅惑スポットが見えた気がしたけれど...。
「貴様!よくも下僕を!!」
薄れ行く意識の中、シルビアの声が聞こえた気がしたが...俺の意識は急速に落ちていった。