銀髪ロリ、その名は魔王
「貴様に我の封印を解かせてやろう」
目の前に浮かぶ銀髪ロリは偉そうにふんぞり返っている。
全裸で...そうZE・N・RA!なのだ!
頭の片隅で封印?とか、何で浮いてんの?とか、よく見ると透けてね!?などと冷静な部分が突っ込みを入れるが無視である。
いやいや、何てすばらし...ゲフンゲフン。目に毒な光景だ。
「おい、おい貴様!聞いておるのか!?」
脳内シャッターを切りまくっていると、反応がないことに腹を立てたのかこちらを睨んでくる。
え?ロリコンだって?ハハハ、そんな馬鹿な。この紳士をつかまえて。
「こらー!聞いておるのかぁー!?」
おおっとロリっ娘がご立腹だ。
そろそろ反応してやらないとまずい。
泣きそうだし...。
「初対面で要求を突きつける前に、自己紹介くらいしろよ?それが礼儀ってもんだろ?おまえの親はそんなことも教えてくれなかったのか?」
うん、礼儀大事。
少々、口調が荒くなったのは反省しないといけないが。
散々無反応だった俺が急に喋ったことで驚いたのかポカーンとしている。
おいおい、口が開きっぱなしでだらしないぞロリっ娘よ。
「俺は田中一郎。お前は?」
しばらく待っても反応がなかったのでこちらから仕掛けてみることに。
「ハッ!?うむ!我か?我は魔王である!」
一転、偉そうにふんぞり返るロリ。
って魔王?あのRPGでお馴染みのラスボスの?
いや、最近は大体後ろに大魔王がいるから中ボスくらいか。
「何の冗談だ?」
「何が冗談だ!?戯けめ!!」
怒られた....冗談ではないらしい。
その表情は真剣そのものである。
魔王.....魔王ねぇ。
目の前のロリっ娘が魔王には全く見えない、それ以前に。
「魔王って名前じゃないよな?」
どう考えても役職だよな。
「!?」
俺の鋭い指摘に言葉を詰まらせるロリ。
「わ、我は魔王だ!偉いのだぞ!?」
「ちょっ?!わかった!わかったから落ち着け!!」
目にこんもりと涙がたまりまさに決壊寸前だ。
「─────」
じーっと恨めしそうに睨んでくる。
完全に俺が悪者である。
しかし、名前がないと不便だな。まあ、呼ぶだけなら問題は無いが....。
「なあ、もし名前がないのなら。俺が付けてもいいか?」
そう定案する。
自称魔王は一瞬、目を見開き。少し考え込むと。
「良かろう!我の名を考える栄誉を与える!」
尊大に言い放った。
完全に照れ隠しだな、耳もほっぺたも真っ赤だし。透けてるけど....。
とにかく、許可は貰った。肝心の名前だけど...魔王だし、マオ。いやいや、さすがに安直過ぎるだろ。髪がきれいな銀髪だし、シルバーとか...これも安直だし、そもそも女の子に付ける名前ではない気がする。名字は別として...。待てよ?シルバーをちょっともじってやったら女の子っぽい良い名前ができるんじゃないか?
この時、俺のドドメ色の脳細胞が素晴らしい閃きを見せた!
「シルビア何てどうだ?」
と、どや顔で言ってみる。
「シルビア.....」
それが自身の名前だと魂に刻み込むように何度も呟く魔王。
そして、
「素晴らしい響きだ!我の名は今からシルビアだ!」
満面の笑みを浮かべたのだった。