プロローグ
「ヒャッハー!!」
おおっと、いかん声に出してしまった。
端から見ると完全に危ない人である。通報されても文句は言えまい。
しかし、しかしである!
念願の最新作RPGを購入し、テンションが上がりまくってる俺には些細な事なのだ!
さらには、明日からゴールデンウィーク!
黄!金!週!間!
何てすばらしい響き!
さらに、さらに!今日から両親が旅行に出かけていて、完全に俺天下な状態である。
一人息子を置いて旅行に行くとはなんちゅー親だと思ったが今回は全くもってすばらしい!
「ヒャッハーーーー!!」
雄叫びを上げながら学校からの帰り道を自転車で爆走する俺。
俺こと、田中一郎(17)は地元の私立高校普通科に通うナイスガイだ。
すまん、少し、いやかなり盛っている。
顔は、まあ悪くないとは思うが至って普通。身長や体重も平均的。学力は底ではないが平均よりも下と言った所。
ライトなオタク趣味があるくらいの平凡さである。
え?いや、ディープじゃないよ?ライトだよライト。たぶん。
そんなこんなで、無事に帰宅。
「フッフッフッフ」
いやー、思わずにやけてしまいますね。
いそいそと鞄から買ってきたソフトを取り出しゲーム機へ....と、いかんいかん食料を忘れていた。
「ありがとうございましたー」
近くのコンビニでスナック菓子と飲み物を仕入れ帰宅。
「ハッ!」
気合い一発ジャージに着替えると準備は完了だ。
見てろよ、悪友の佐藤め。休み明けに数々のネタバレをしてくれるわ!
これは俺と奴との戦争なのだ!
「クックック、ハッハッハ、ハーッハッハ」
家に響く高笑い。
どう見ても不審者です、ありがとうございました。
気を取り直し、ゲームを起動する。
画面に浮かぶゲームロゴ。
いやー、テンションが上がるな。
『───けた』
「?」
何だ?声が聞こえる?
ゲーム音声かな?
辺りを見回しても、別段異常なし。
いかん、いかん集中集中。この戦争に勝利するためには一分一秒が惜しい。
しかし、OPはスキップしないのが俺のジャスティス!!
『見つけた』
画面に向き直った俺に響く声。
目の前には発光する魔方陣が展開していた。
「お、おおー。流石は大注目の最新作」
演出凝ってるな....ってあれ?この魔方陣画面からはみ出してね?なんか、だんだん点滅が激しくなってきたんだけど!?
頭の中で危険信号がガンガン鳴ってる気がする。
瞬間、視界が真っ白に塗りつぶされた。
「!?目が!?目がー?!」
バ○スを食らった大佐のように両手で目を押さえながら転がる。
「痛!」
床がすごくゴツゴツしていた。
明らかに部屋のフローリングじゃない。
「喜ぶが良い」
目を開く。
「貴様に我の封印を解かせてやろう」
目の前に浮かぶ銀髪ロリがそう尊大に言い放った。