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貴族ってやつは

へにょーん

「やぁエリーゼ」


門番と共に待っていたのは、優しそうな目をした歳は50ぐらいだろう男性で嬉しそうに彼女を迎えてくれた。


「おじさま、ご無沙汰しております」


スカートの裾を軽く持ち上げ挨拶するエリーゼを見ながら挨拶をする。


「この子が噂のルドワールのところのか?」


「はい、記憶がないらしく父が引き取りました」


「ミッ・・ミリアと申します」


ぎこちない挨拶をすると快活に笑われてしまったのだ。


「気を使わなくても良いさ、それにしても綺麗な女性だな私が30ほど若ければ求婚していたな」


そして屋敷に向かい入れられると数台の紋章がついた馬車が止まっているのが見えたから今日の参加者だろうと思う。


エンデール領のルークという男はかなり気さくな者らしくエリーゼも会うのが楽しみな様子だったことが来る前から分かったのだが、つかめない男だなと感じたのだ。


「それにしても、お姉ちゃん・・言ったこと出来てないじゃない!」


「すまない」


もぉ、パパの代理なんですからねと怒っている様子に窮屈なドレスに着替えながら申し訳ないと思ってしまう。


その夜に会食をしていたのだが気がつけば模擬刀を持ちながら小太りな男と戦っていた。


(ふむ、なりゆきで、こうなってしまったが)


心配そうな顔で私を見ているエリーゼがいたのだが私は戦うことに心が踊ってしまっていた。


目の前でニヤニヤとしながら私の体を見ている男は開始の合図をされても剣を片手に構えたまま動こうとせず、どうやら、こちらの手を見るというよりは甘く見られているようだったのである。


(思ったよりも出来るが満身しているのか)


多分、力では勝てないかと考えるが、こちらから動くかと近づき剣を振り下ろすと軽々と片手で弾かれるが、相手の顔は予想外だったのか少しばかり焦りの色が見えた。


「ほぉ、中々」


感心したように、この勝負を見ているのはエンデール領主、ルーク・フレデリックの姿が見え、その隣には可愛らしいドレスに身を包んだエリーゼがいる。


弾かれた剣で腕がしびれていたが、こんなことは体重差があれば日常茶飯事であり腕を折り畳むと1回転すると逆方向へ剣を差し出す。


それも、すぐに防がれるが体に似合わず速い動きで私の剣激をかわし防ぐと無性に嬉しさが込み上げてくるのだが、どうやら口角が上がりそうになるのを必死で堪える。


(面白い!面白いぞ!魔法が使えたならとるにたらない男だが今の私にとっては十二分に強い)


ミリアは戦うことで自分の存在の証明をしていた気がするのです。


自分は居て良いのだと世界に居ても良いのだと・・


相手は力任せの剣を振り回しミリアは、それを受け流し急所を的確に狙う。


□ □ □


「へぇ、それでどうなったんだい?」


エリーゼを膝に乗せ頭を撫でられ満面の笑みと少し恥ずかしそうにしていた。


「私の負けだな」


「何言ってるの!お姉ちゃんの勝ちだったでしょ!」


笑っていたエリーゼは膨れっ面で父親の方へと向くとギュンタール様は約束を破り魔法を使ったのと力説をしていた。


「あれが戦場なら私は確実に死んでいたからな、持てるものを使って悪いことはない」


「まぁ、そうなんだけどギュンタール候は強い人だよ人としては、あまり人気はないかもしれないけど」


「確かにな」


(まぁ、あの手の人間は初めてではないし私も、そこまで綺麗な女ではないからな)


親も居ない子供が生き抜くためには様々なことがあって幸運なことに自分には力を持つことがあったから、そこまで悪いことはないが多くを見てきた。


奴隷商に売られる人間や亞人間達、それがどうなるのかも、容易く想像することは出来たし、あの頃の私は、それどころではなかっのである。


(あんな世でも、そんなことがまかり通っていたのだ平和な世なら横行していても不思議とは思わないがな)


マヌイの王に進言したこともある。


このようなことばかりにならぬようにと。


それが実現しているかは今のところ分からないが、そこまで酷くもない、あながち受け入れられなかったわけではないのだろうと思う。


パシンッ


突如、エリーゼを抱き抱えて床に下ろすとルドワールは立ち上がり無表情なままミリアを平手で叩いた。


「なっなにをする!」


パシンッ


ふたたびルドワールがミリアの頬を叩いた。


「君は強いのかもしれない、けれど勝てなかったらどうする?きっとエリーゼも心配していたと思う」


両手で優しく抱き締めながら、こう言ったのである。


君は私が引き取ったのだ。


それは私の家族と同等であると。


初めて会った君は誰も信じていないように思えた。それは今も同じかもしれないし酷い目にも逢ったのかもしれない。時間がかかっても良いさと。


それでも私は君を家族と思っている自分を大事にしろと。


(馬鹿か、こやつは私を信じるだと?会って、そう時間が経ってもいない小娘を)


それでも、この男の言うことも一理あるなと。


「すまなかった以後、気をつける」


そんな気持ちを知ってか知らずか満足そうに頷いている。


「今は分からなくても良い」


エリーゼと一緒に彼は部屋を出ていくとポツンと立ち尽くしたままのミリアの姿が見え目には涙か一滴落ちていたことを彼女は気づいてなかった。

ぽにょーん

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