黒い雨の中で
ニャフフ
黒い雨が降りしきる中、禍々しい真っ黒に染められた大地で毎日のように剣を敵に向かい振り回し突き刺す。
そんなのが当たり前の毎日だった。
この日は私が生きてきた中で幾度となく死にかけたときでも一番危なかった。
魔力も尽きかけ仲間達も1人、また1人と命を落とし必死で逃げることだけ考え走り、ようやく同胞達が守る砦に命からがら辿り着いたのである。
(私が勇者だと、こんなボロボロになり仲間も救えないのに)
確かに望んでなったわけではない。
人よりも多くの魔力をもち多くの魔物を倒した。
ただ、それだけだった。
上官に言われたことがある。
(私の存在が仲間の指揮を上げるのだと)
そのときから私は、がむしゃらに戦った。
命を奪うことに躊躇うこともなくし心を閉ざし敵だとはいえ多くの命を奪ってきたのだ。
ときには人間の命も平気で奪った自分の体は黒く染め上がり手には、おびただしい量の血で赤く染まる。
死んだ者達の顔が自分の足を引っ張り、黄泉の世界へといざなう。
その度に私は、いつも苦しみもがいているのだ。
眠りに落ちるときは、そんな夢を寝ても覚めても見ているのです。
世界は平安なものではないことを知っている。
殺さなければ殺される・・
そこにあるのは無惨な死・・
死ねば、ただの肉の塊であり魂の抜けた屍なのだ・・
そんなものにはなりたくはない・・・・
だが死は誰にでも訪れる・・いつか私にも・・
「はっ!?」
「やぁ、お目覚めかな?お姫様、悪い夢を見ていたようだけど」
自分の体が汗まみれだということが分かるが目の前には整った顔立ちの女性が好みそうな顔立ちの男が座っていたのである。
「大丈夫かい?」
「あぁ」
私はどうやら夢を見ていたようだった。
ウニャン♪