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【番外編完結】他力本願英雄  作者: 寒天
高すぎる壁
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第80話 帰還

新章開始。

「ついたぞ」

「ここが王都ですか……」

「賑やかなところね」


 それぞれ感想を言い合うお子様たちを尻目に、俺は目の前に広がる光景を懐かしむ。

 聳え立つ城壁。整備された道。活気ある人々の声。そして否応なく感じられる強者のオーラ。

 ここがフィール王国王都にして、俺の産まれ故郷。王都フィールレシアだ……!


「それじゃ、ここまでねぇん。今まで楽しかったわぁん」

「ええ。こちらこそありがとうございました」


 ここまでの足を提供してくれたムーンライトの一座に挨拶し、ここでお別れとなる。

 何だかんだ言って仲良くなっていたカーラちゃんがちょっと名残惜しそうだが、まあ別れの挨拶は昨日の内に十分やっておいたのだろう。涙を流して駄々を捏ねることもなく、笑顔でお別れとなったのだった。

 それに、何でもしばらくはここで興行するらしいしな。会おうと思えばまた会えるだろうし。


「それじゃあ師匠。これからどうするんですか?」

「アタシは王都ってところのご馳走が食べたいわ。パーチェが王都の料理は絶品だって言ってたからね!」


 一座の馬車が見えなくなったところで、二人がそれぞれ声をかけてきた。

 アレス君はまあ無難な質問として、カーラちゃんは欲望に忠実だね本当に。まあ、子供はそのくらいで丁度良いと思うけどさ。


「ご馳走は後で食べられるよ。まずは俺の家――シュバルツ邸に向かおうか」


 俺は、王都に帰ってすぐ実家に戻ることを決めていた。いろいろ報告なんかもあるし、12歳で旅に出てから一度も帰っていない生家に戻りたいって意思もある。

 それ以前に、両親に帰りましたと報告することすらせずに遊び歩くわけにはいかないってのもあるけどさ。武闘派とは言えシュバルツ家は名門なので、その辺の礼儀はしっかりしているんだよね。


「師匠の家……何か凄そうですね」

「どんなイメージしているかはわからないけど……まあ、ある意味凄いね」


 何だかんだ言って、歴史に名前が乗っているような名門だからな。家――屋敷はかなりでかい。

 親父殿も母上も贅沢よりも質素倹約と言うか、必要な物だけあればそれでいいって人だから無駄に飾り付けたりはしていないけど、アレス君はビックリするかもなぁ。


「ま、とりあえずついてきてくれ。もう手紙で今日帰る事は知らせてあるから歓迎してくれると思うよ」

「ご馳走も?」

「ああ。そこは重点的に書いておいたから、きっと沢山用意してくれているさ」


 カーラちゃんは俺の言葉に目を輝かせ、そしてずんずん歩き出した。

 余計な寄り道をせずに真っ直ぐついて来てくれる気になってくれたのは嬉しいけど、俺を追い抜かないでね。キミ、俺の実家がどこにあるか知らないよね?


 なんて微笑ましいやりとりをしながら、俺たちはなつかしの王都を進んでいく。あまり屋敷の外に出なかった幼少時代を送っていた俺だけど、それでも懐かしいな。

 思えば、ガキのころに剣もまともに握れない内から単独で魔物に挑んだりもしたっけ。そのせいで外出禁止令が出たりもしたけど、今となっては笑える思い出……かな?

 まあそれはともかく、こうして歩いていると昔の記憶が――ん?


(この気配は……?)


 俺たちは今、王都の中でももっとも人通りの多いメインストリートを歩いている。

 そんな場所だから人でごった返しているのだが、その向こうからなにやら覚えのある気配を感じる。この、精錬された闘気は……。


「シュバルツ……? 戻っていたのか」


 俺が気配を感じていた方向から声がかけられた。若い女の声だ。

 その声の持ち主もまた俺の押し殺していた気配に気がついたらしい。人ごみの向こうから迷惑にならないように少しずつその姿を現したのだ。

 健康そうに小麦色に焼けた肌。特徴的な赤い髪を三つ編みにして腰の辺りまで伸ばしていて、全身の筋肉は一見して細いのにも関わらず極限まで絞り込まれている。

 そして何よりも、抑えていてもわかる闘気。長年自分を鍛え続けた戦士のみが放つこの心地いい気迫の持ち主を、俺は一人しか知らない。

 ……全く、久しぶりだな。


「久しいな、シュバルツ。息災だったか?」

「ああ。お前も元気そうだな、メイ」


 出会った赤毛の少女の名はメイ。メイ・クン。昔俺と共に見習い騎士試験を受けた、クン流格闘術を身につけた凄腕の拳士だ。

 彼女とは偶に旅先で出くわしたりしたこともあったから、それほど久しぶりと言うわけではない。多分1年くらいか、最後に会ったのは?

 まあ、それでもやっぱり変わったな。自分で言うのも何だけど、俺たちくらいの年頃は成長期だ。前にあったときよりも背が伸びているし、全身のバランスがより安定している。

 肉体の一部分にだけは成長が見られないのが残念だけど、こりゃまた強くなってるな。


「……なにやら一瞬不愉快な視線を感じたのは気のせいか?」

「ん、気のせいじゃない」


 俺も成長したんだよ。そう簡単に視線を読ませたりはしないぜ。


 なんてアホなこと考えていたら、服の裾をつかまれた。チラッと目をやると俺の服を掴んでいるカーラちゃんがおり、誰だこいつはと目で訴えている。

 そんなカーラちゃんに俺が声をかける前に、メイが声をかけてきたのだった。


「ん? その子供達は何者だ?」

「ああ、俺の弟子とわけあって預かっている子だよ」

「ほう、弟子……弟子!?」


 俺はメイの質問に答え、アレス君とカーラちゃんを紹介した。

 と言っても簡潔に、俺の弟子だと言っただけなのだが、メイは随分驚いて二人を観察しだした。そして、何か納得したように頷いたのだった。


「ふむ……シュバルツの弟子とは、キミか?」

「は、はい。アレスといいます」

「そうか。私はメイ・クン。シュバルツとは騎士の同期だ。よろしく頼む」

「アタシはカーラよ!」

「カーラか。よろしくな」


 メイは見ただけで俺の弟子がアレス君のほうだと見破り、子供達と交流を深めた。こいつ、案外子供の扱いうまいんだよな。


「よくアレス君の方が俺の弟子だってわかったな?」

「なに、見れば分かる。身体の作り方がお前そっくりだからな。随分と厳しく基礎を叩き込んでいるようだ」

「そんなことわかるんですか!?」


 見ただけで自分の普段の修行を理解してしまったメイに、アレス君は目を見開いた。

 しかしまあ、逆に俺はその言葉で納得してしまった。メイは肉体作りのプロフェッショナルだ。武器を使う俺以上に肉体の完成度に拘る拳士なのだから、メイからすればむしろわかりやすいくらいなのかもしれないな。


「……ところでメイ。何で王都にいるんだ?」

「私か? 私は仕事だよ」

「仕事って、騎士のか?」

「ああ。お前がここに戻ったのは上級騎士試験のためだろう? その関係でな」


 メイはそう言って、ニヤリと笑った。

 ……はて? 何で俺の試験をメイが知っているのかも気になるけど、それでどうしてメイがここに来ることになったんだ?


「シュバルツ。お前は上級騎士試験がどこで行われるのか知っているのか?」

「え? いや、詳しい事は聞いてないけど……お前は知ってるのか?」


 上級騎士試験の試験内容なんかはちょくちょく調べてたけど、具体的な試験会場なんかは知らない。

 そういったら、何故かメイはちょっと優越感を感じさせる笑みを浮かべ「自慢するわけではないが」と前置きして語りだしたのだった。


「当然知っているとも。何せ、私も受けたからな」

「受けた? 受けたって……上級を?」

「ああ。数ヶ月前に受験して合格したぞ?」


 ……へー。それは、知らなかったなぁ。

 いや、別に悔しくないよ? 前々から申請しまくったのに俺だけ却下されたのかとかいろいろ思うことはあるけど、俺はそれほど狭量じゃないからね? いくらメイがお手本のようなドヤ顔していると言っても、別に気にしないよ?

 ここは素直に祝おうじゃないか。旧友が出世していたことを……。


「凄い! メイさんは上級騎士なんですか!」

「ああ。アレスと言ったな? お前も騎士志望なのか?」

「はい!」

「では、いつか共に戦える日を楽しみにするとしよう」


 ……騎士に憧れているアレス君は大分興奮している。まあ、現役上級騎士とか初めてみただろうしね。

 大丈夫大丈夫。俺も、意地でも今回の試験合格してやろうって気になったし。


「ゴホン。……ところで、結局場所とお前に何の関係があるんだよ?」

「ん? ああ、それは簡単だ。上級騎士試験の受験会場はな、私の家なんだよ」

「へー……ん? 家?」

「私の父上がどんな肩書を持っているかは知っているだろう?」

「もちろん知ってるけど……ああ、そう言う事か」


 俺はメイの父親のことを思い出し、納得したと頷いた。

 昔本人から聞いたことでもあるし、あちこちで勇名を聞く人だからな。直接の面識はないけど、言われてみれば納得だ。


「どう言うことよ? 説明しなさい」


 が、一人で納得していたら事情を知らないカーラちゃんが不機嫌そうに問いかけてきた。どうやら蚊帳の外に置かれたのが気に入らなかったらしい。

 別に隠す理由もないので、俺は素直に解説することにした。


「メイの父親は有名な闘士なんだよ」

「トウシ?」

「ああ。闘技場って場所があるんだけど、そこのチャンピオンなんだ」

「とうぎじょう?」

「人間の中から腕に覚えのある戦士たちが集まって強さを競う場所だね。つまり、メイの父親は各地の腕自慢の中で一番強いってことさ」


 要するに、上級騎士試験の会場がメイの父親が君臨する闘技場ってことなんだろう。


 考えてみれば、上級騎士とそれに挑戦しようとする実力を持つ奴の戦いなんて普通の場所ではとてもできない。そこに丁度よく人類の中でも強さに自信がある豪傑が集まって戦う為の場所があるのだ。そりゃ利用もするだろう。

 なんてところまで説明しても多分理解してくれないと思うので、俺はカーラちゃんにメイの父親のことだけを説明する。それで満足したのか意味ありげに頷いているし、多分大丈夫だろう。


「まあそう言う事だ。私は父上に代わって試験の管理を担当しているものと打ち合わせに来たんだよ」

「ふーん……ところでメイ? 上級騎士に昇格したってことは、もしかして今回の試験は……?」


 上級騎士試験は、例年なら現役上級騎士五人と一人ずつ戦うと言うものだ。

 俺の試験のときに誰が出てくるのかは不明だけど、今のメイが上級騎士だというのならもしかして――と思ったのだが、メイは途端に不機嫌な、残念そうな顔になってため息を吐くのだった。


「私も志願したんだがな。しかし上級騎士試験の試験官の条件は『上級騎士に就任して五年以上の経験を積んでいること』と明記されているのだ」

「ふーん……」


 上級騎士になって五年となると、かなりのベテランだな。本人曰く数ヶ月しか経っていないメイにはその資格がなかったわけね。

 この戦闘民族のことだから自分が戦うと真っ先に宣言したんだろうけど、まあ規則なら仕方がないよな。


「……っと、少々お喋りが過ぎたな」

「仕事中なんだっけ?」

「ああ。当日試験会場に来るお偉いさんの数やらなにやらで調整が忙しくてな。では、私はそろそろ行かせてもらう」

「ん、お疲れさま」


 メイと手を振って別れ、俺たちは再び家に向かって歩き出す。

 しかし、試験会場は闘技場――メイの自宅なのか。確かあそこのチャンピオンになると闘技場内の一角の使用権が与えられるんだったか?

 あの闘技場のチャンピオンは代々メイの一族であるクン家の当主が君臨しているって話だし、もう事実上闘技場はクン家の屋敷って扱いなんだろうな。これから先闘技場でクン家の人間を倒すものが現れたら所有権が移るはずだけど、正直そんな家いらんって奴が圧倒的に多そうだ。その分余計に金をもらって別の場所に家建てたほうが絶対居心地いいし、闘技場は完全にクン家の家と思って間違いじゃないだろう。


「師匠! メイさんって、やっぱり強いんですか?」

「ん? 強いよ」


 アレス君が興奮した様子で聞いてきたので、俺もあっさりとではあるが答える。

 初めて戦ったときは見習い騎士試験だったけど、あれからも時々手合わせしているからな。まあ旅先で偶然出会ったときに戦うだけだから頻度は多くないけど、あいつの戦闘技術には俺も舌を巻く。

 多分、魔力関係の特殊能力を抜きにした純粋な体術では10回戦って1回勝てればいい方だろう。ちょっと反則くさいが吸血鬼化で身体能力を上げれば俺が有利だけど、あいつはそれも見越して自分より速い相手への対策万全だからな。

 同年代ならって条件ではだけど、メイより強い人間を俺は知らないくらいだ。


「ねえレオン、あれは何?」

「ん? あれは焼き菓子の店――ってこらこら、家で沢山食べられるから今は我慢しなさい」


 一方、騎士関係の話にはあまり興味がないらしいカーラちゃんは道中で見かけたお菓子の店にフラフラと引き寄せられている。

 しかしそのペースではいつまで経っても帰れないので、カーラちゃんの肩を掴んで止める。やっぱりこの子は目が離せそうにないな。


 そんなこんなで王都を見学しつつ、俺たちは丘の上に立てられたシュバルツの家に戻ったのだった。






「ここが……?」

「ああ。俺の実家だよ」


 たどり着いたシュバルツ邸を前に、アレス君は大口を開けて驚いている。多分予想よりかなりでかかったんだろう。

 まあ、気持ちはわかる。俺も正直こんな馬鹿でかい敷地も家も不要だと思うからな。実際、親父殿も母上もこの屋敷の無駄に多い部屋の半分も使っていないだろうし。

 いやまあ、正確には使いたくても使えないって言うべきかも知れないけど。


「おっきいですねー。師匠、実は凄いお金持ちなんですか?」

「……まあ、将来家を継げばそうとも言えるな。今は貯金ほぼゼロのしがない騎士だけど」

「でも、こんなに大きな家何に使うんですか? 僕的には部屋とお風呂とリビングがあれば十分すぎるんですけど」

「んー……物置かな」

「え?」


 アレス君が驚いた声を上げているが、ぶっちゃけるとそれが真実なのだ。


 ……この屋敷、初代シュバルツが騎士として武勲を得た褒美に建ててもらったらしい。設計したのは当時のお偉いさんで、当初はそれこそ貴族様的な使い道を考えてこんな馬鹿でかい屋敷を建てたとされている。

 しかしそこはシュバルツ。初代から――むしろ初代こそが脳筋戦闘脳のシュバルツの起源であり、屋敷の中で何かするよりも外に出て身体を動かした方がいい主義だったので完全に宝の持ち腐れに。唯一の例外が自分の希望で作ったトレーニングルームだったというんだから筋金入りだ。ちなみに、そのトレーニングルームだけは日々改良されつつ歴代当主が利用している。

 結果として、収集癖があったらしい初代シュバルツが各地を旅して集めてきた宝やガラクタ置き場として多くの部屋が占領されてしまったのだ。

 後を継いだ二代目も大体似たような人種で、三代目四代目と続いてもシュバルツはシュバルツだった。それぞれが自分の趣味部屋を作ってしまい、そしてそこに何があるのかわからないまま死去。それが今の親父殿の代になっても続いており、屋敷は歴代当主が集めてきた正体不明の宝置き場とか謎の設備が置いてある部屋として大半が埋まっているのである。


 整理しろよと思いもするんだけど、なんせ目録なんて作るほどシュバルツの人間は細やかではない。

 そしてどんな遺跡に入っていてもおかしくない戦闘力を皆持っていたわけで、下手に触ると何が出てくるのか全く分からないちょっとした危険地帯になっているのだ、我が家の開かずの部屋は。

 俺も『危ないから入っちゃいけない』ときつく言われてたから封鎖された部屋には入ったことはないけど……あの親父殿が危ないからなんて言葉を使うところからもその危険度がわかるだろう。


(そういや、偶にあの魔法ジジイが掘り出し物探しに漁ってたけど……あの爺さんも整理整頓とかからは縁遠い性格してるからなぁ。興味ないものはその辺に捨てて余計散らかるだろうし、きっと改善されてないだろう)


 親父殿は比較的きちっとした性格だが、それでもその手の作業は得意じゃないだろうし、何よりも時間が無い。代々シュバルツは騎士団所属で忙しいため、掃除する時間が無いとも言えるのだ。

 母上なら問題なく整理整頓できる――実際、生活スペースは非常に綺麗だ――が、何が出てくるか不明と言う危険性を考えて触らせられない。そんなことを代々繰り返しているんだよね。

 ……今思えば、昔俺がアイテム集めのつもりで拾ってきたガラクタ類もその一種だと思われてたのかも知れない。


「ふーん……まあまあね」

(カーラちゃんはそれほど動揺していないか。この歳まで世間知らずで生きてこれたってことを考えると、やっぱりいいとこのお嬢様だったのかね?)


 少なくとも、カーラちゃんは屋敷の巨大さに圧倒されてはいないようだ。

 慣れているのかもしれないななんて思ってみるが、しかしそろそろ中に入るとしよう。放心しているアレス君も正気に戻さないとな……っと、向こうから来たか。


「お帰りなさいませ、レオン様。そしてアレス様にカーラ様」

「……久しぶり、執事さん」


 出迎えてくれたのは、もう70を超える老人――シュバルツ家執事のゼッペルだった。

 もう年齢的には引退していてもおかしくないのに、生涯をシュバルツに捧げると今も働いてくれている忠臣だ。親父殿が子供のころから世話しているだけの事はあって、多分この屋敷についてもっとも詳しい人間だろうしありがたいことだ。


「……立派になられましたな」

「そうかな、自分では、あんまり実感ないけどね」


 昔この家で夢想した、完全無欠のレオンハート像と今の俺は全く重ならない。力も知識も、俺が望んだ領域には遠く及ばないだろう。

 そんな俺なのに、執事さんは深い皺が刻まれた顔に暖かい笑みを浮かべるのだった。


「いえいえ。今のレオン様は大きくご成長なされております。見ただけでわかりますとも」

「ん、ありがと」


 結構恥ずかしいので、素直に頷いて会話を終わらせる。

 すると執事さんは一礼し、続けて話を進めたのだった。


「では、ご案内いたします。既にガーライル様と奥方様もお待ちです」

「そうか。では行こう」

「はい、アレス様とカーラ様もどうぞご一緒に」

「は、はい!」

「わかったわよ」


 恐らく人生初であろう執事と言う人種に再び緊張しまくるアレス君と、慣れた様子のカーラちゃん。

 対照的な二人を尻目に、俺は6年ぶりに実家の敷居をまたぐ。そして、両親と顔を合わせることになるのだった。

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