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【番外編完結】他力本願英雄  作者: 寒天
青年編開始 聖剣の神殿と吸血鬼殺しと勇敢な男の子
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第41話 中級騎士 レオンハートの実力

(まじで今のはやばかった。後五秒、いや三秒戻ってくるのが遅かったら手遅れだった)


 俺は顔には出さないように努力してはいるが、心臓はバクバクいっていた。今も片脇に抱えている少年――俺を師匠とよぶ騎士志望の少年、アレス君が生きていることに安堵しつつ。


「チッ! 何者だ、キサマは? この村にキサマのような人間はいなかったはずだが」

「ふーん。その口ぶりから察するに、狙いは俺じゃないんだな? ヴァンパイア」


 目の前の男、ヴァンパイアに向かって俺はカマをかける。常時吸血鬼から狙われているのと同じく、この平和な村を襲ったのは俺が狙いではないのかと。


「キサマを狙う? フン、何故私が人間一人に固執せねばならんのだ」

「……そのセリフ、是非お仲間に言ってやってくれ」


 どうやら、本当に俺を狙って来たわけじゃないんだな。

 この血走った目、アンデッド系モンスターを従える能力、人間とは思えない身体能力。どこからどう見てもヴァンパイアなわけだが、俺の前に現れるのは大半が吸血鬼の男爵(ヴァンパイアバロン)ミハイの差し金だったからな。

 しかしとなると、本当に偶然だったってことか? 俺がこの村にいるときに襲ってきたのはさ。


「仲間……? 私のことを瞬時に吸血鬼であると見抜いたことといい、キサマ、何か我ら一族に因縁でもあるのか?」

「まあ、ちょっとね」


 主に、殺し合いをしている関係だ。なんてことをこの場で言う意味はないが、とにかくラッキーだったって思っていいわけだな。

 この少年、走りながら見ていただけとは言え、俺とは桁が違う天賦の才を見せたアレス君が今も生きているのはさ。


(本当に偶然なんだとしたら、リリスさんに大感謝だ……)


 俺は小脇に抱えたアレス君を下ろしながら、ちょっと前の出来事を思い返した……。



「クワー」

「……ん? 伝書使い魔か?」


 俺がニナイ村にやって来てから、一週間ほどたった。最初は辺境の村らしくよそ者への警戒心むき出しだった村人たちも、毎日探索のついでに狩って来る手土産のおかげか、少しではあるが心を開いてくれたと思う。

 そんな中で俺は周囲の森の探索をしたり、アレス君のトレーニングに付き合ったり、パウルの話を聞いたり話を聞かせたり、まあそんな生活を送っていた。

 本命である聖剣の神殿は未だ影も見えないけれど、概ね平和な時間をすごしているって感じかな。


「おー、よしよし。じゃ、渡してくれ」

「クワァ!」

「ん、ありがと。……手紙と転移符か」


 そして、今日も森へと調査に出かけていたところ、空から一匹のカラスに似た鳥が飛んできた。その足にはなにやら紙が結んであったのだ。

 俺はこの鳥に、正確に言うと鳥の形をした魔法――魔術師が行使する使い魔に礼を言う。すると、このカラスのような使い魔は役目を果たしたと満足そうに煙となって消滅した。

 それを確認してから、俺は使い魔の足に括りつけられていた手紙を開く。

 差出人は……リリスさんからか。『新作が出来たので送ります。連絡ください』ね。また作ったのか、あれ。


(今回はいきなり爆発しないといいんだけどなぁ)


 俺は過去にも送られてきた、俺が作ってくれとお願いしているとある魔剣について思いを馳せる。


 俺の両腕の腕輪からも分かるように、リリスさんは確かな技術と知識、そして才能をもった錬金術師だ。その能力は、遺跡何かから拾ってきた未知の技術が記されたレシピ書を机上の空論から現実に引き上げられるほどである。

 だが、流石に一発でできると言うわけではない。失敗は成功の元なんて言われるが、実際何度も失敗を繰り返した先に成功を掴むのが毎度のお約束なのだ。

 一生かけても失敗し続ける俺よりは遥かに上なのだが、まあマジックアイテムの失敗ってのは結構危険なのだ。何せ内側に大量の魔力――エネルギーを内蔵しているだけに、下手をすると爆発するのである。

 特に、俺が頼むのは全て戦闘用なので、激しい戦闘にも耐えられる、ちょっとやそっとの衝撃では壊れない耐久性まで求められる。ましてやそれが武器ともなれば、そりゃあもう手荒い扱いになるからな。日常生活で使用される物とは比べ物にならない製作難易度となるわけだ。


(しかし、いくら作った後は実際に使ってみないとわからないとは言っても、持ち主までふっ飛ばさない安全性の保証は欲しいんだよなぁ。いや、その安全性を確かめるテスト係が俺なんだけどさ)


 俺はリリスさんにお願いしているとある武器、ゲーム的には中盤辺りでお世話になる装備の作成をお願いしている。

 性能的には店売り装備最強のアイテムにも引けをとらない一品であり、レシピ書の所在がはっきりと判明していて、俺一人で取りに行っても多分大丈夫だと妥協できる難易度であるはずのダンジョンに潜って見つけてきたものだ。

 まあ、本当にゲーム通りのモンスターしかいないのかの調査に時間をかけ、そして思ったよりも弱いモンスターしかいないことに首を傾げる破目になったんだけど、とにかく目的の物は手に入れたわけだ。

 もちろんそれが偽物ではない保証はどこにもないんだけど、リリスさんが言うには理論的には問題ないらしいから多分大丈夫だと思っている。


「さて、と。えっと、発動、【魔導通信符(マジックコール)・リリス】!」


 俺は送られてきた転移符を電話のように耳に当てた後、魔力を込める。この紙に秘められた魔法を発動するためだ。

 その効果とは、一言で言えば魔法版の電話だな。まあ別に耳に当てる必要はないんだけど、何となくこうした方が魔力を込めやすいのだ。


 この世界では街から街へ移動するのも命がけだ。ましてや、どでかい荷物を抱えてともなれば、護衛付きの馬車を出すような大事になる。

 本当に大量の荷物を持ち歩く必要のある商人なんかだったらそれでもいいのだが、ちょっとした物を遠くに届けたい一般人ではそうも行かない。そこで、この使い魔便と転移符の出番と言うわけだ。

 転移符は、電話機能と簡易的な転送魔法が込められている。生物は移動できないが、一定重量までの荷物を目印に向けて瞬間移動させることができる魔法だ。二枚セットで、片方の紙に向かってもう片方から荷物を飛ばすわけだ。

 んで、使い魔ってのは、要するにこの紙を届けてくれたカラスみたいな鳥のことだ。

 つまり伝書鳩なんだけど、大空もまた魔物の領域であるこの世界じゃ、ただの鳥では100%途中で墜落することになる。そこで、魔法の一種であり、そん所そこらの訓練した鳥類なんかとは比べ物にならない賢さを持つ使い魔を飛ばすわけだな。

 ゲーム時代じゃプレイヤーの認識できるところでは存在しなかった――まあ、存在意義はわからないけど魔法使いの家にカラスとか猫とかいたから、案外存在はしていたのかもしれないけど、とにかくゲーム外魔法だ。つくづくゲーム知識を全面的に信用してはいけないと改めて思うな。


『――あ、レオンハート様ですか?』

「あ、リリスさん。今使い魔到着しましたよ」


 不可視の糸がどこかに繋がるような感覚を覚えると同時に、ここにはいないリリスさんの声が頭の中に響いてくる。ちゃんと成功したようだ。


『えっと、それじゃあ、今は大丈夫ですか?』

「ええ。丁度周りに誰もいないので、そちらがよければ飛ばしてください」


 別に人に見られてはまずいってわけではないのだが、一応武器の転送なのであまり見られたくはない。

 最初から腰に剣を差している俺が今更何を言うって話でもあるんだけど、一応俺の切り札になる予定の物だからな。可能な限り秘匿しておきたいのだ。


『では、30秒後に飛ばしますね』

「了解しました。では、一旦切ります」


 荷物はこの紙を目掛けて空間移動してくるから、俺みたいに手にもった状態で使うのはいろいろ危ない。そこで、一旦通信を切って転移符を地面に置き、俺は離れる。

 さて、後は物を待つだけだな。


「……ん、きたな」


 きっちり30秒後、転移符に書かれた魔法陣が輝き、その上に一本の刀が現れた。

 俺はそれを手に取り、軽く眺めてから再び地面の転移符を拾い、再度リリスさんに通信を繋げる。


『無事に届きましたか?』

「ええ、ばっちりと」

『それはよかったです。では、また後ほど使い心地を聞かせてください』

「わかりました。……では、そろそろこの転移符も限界ですかね」

『そうですね。ではレオンハート様、またお会いしましょう』

「ええ、ではまた」


 最後の挨拶を終えた辺りで、転移符がビリビリに裂けた。魔力負荷に耐え切れなくなったのだ。

 元々、人の手で持てる程度の大きさの物を一回飛ばせるだけの魔力に耐えられる以上のことは考えられていないのだ。この結果は当然のことと言える。


「しっかしリリスさんも、いい加減様付けやめればいいのに。まあ、言っても無意味なんだけどさ」


 確かに、俺は騎士としての給料に加え、個人的に魔物退治なんかで稼いだ金なんかでリリスさんを雇っている立場だ。……ついでに、借金も少々あるが。

 だからなのかリリスさんは断固として俺を様付けで呼ぶんだけど、俺よりも年上である人に様付けとか、どうも落ち着かない。まあ精神の経過年齢で言えばーなんて言えなくもないんだけど、もうすっかりレオンハートとしての自分が根付いているからな。正直、もう自分は18歳の若造であるって認識の方が強いのだ。


「さて、じゃあ早速試して……みるのはまた今度にするか。もっと安全を確保できる場所でね……」


 この刀――なんで西洋風ファンタジー世界に日本製ゲームでお約束の刀が出てくるのか、この世界とRPGゲーム聖勇との関係を今一度考えたくなる代物だが、かれこれ13代目くらいの物だ。

 確か、初代は魔力を通すと同時に爆発。2代目は魔力を通す事はできたが、武器として脆すぎて使い物にならなかった。3代目は今までの問題点をある程度解決していたが、肝心の魔道具としての能力の制御がうまく行っておらず、完全ランダムな方向へとその力を放っていた。……そのときは、丁度持ち主である俺のほうに飛んできたな。

 まあそんな感じの失敗を経て、この13代目リリス式魔法刀はここにあるわけだ。ちなみに、名前に関しては、ちゃんと完成した暁にリリスさん自身がつけるのだといっていた。なにやら職人としての拘りがあるらしい。


 とにかく、そんなわけで、この刀の実験は可能な限り安全を確保した状況でやりたいのだ。最悪の場合、かなりのダメージを覚悟しなきゃいけないからな。

 少なくとも、俺のせいでそこそこ数を減らしているとは言え、こんな魔物の出る森の中でやっていいことではないのだ。


(んじゃ、とりあえず村に戻るか。本日もこれと言って収穫はありませんでした、だけどさ)


 こうして、俺はまた収穫なしで村へ戻る事となった。一応手土産のウサギを数匹袋に詰めてはいるが、別に狩人に転職した覚えはないんだけどなぁ……。



 ……なんてことがあって、俺はいつもよりも早めに村に帰ってきたわけだ。

 そしたらこの惨状。既に若干の手遅れ感はあるものの、倒れている警備隊の人たちは全員息があるらしいから、セーフでいいだろう。

 もし俺が戻ってくるのがあとちょっと遅かったら、多分この人達全員が下等吸血鬼にでもされていたんだろうことを思えば、リリスさんにはいくら感謝してもし足りない状況だな、これは。


「し、師匠……」

「師匠じゃない……って、今はどうでもいいか。それよりも、村長と一緒に下がってな」

「は、はい!」


 俺の近くで感極まっていたアレス君に、できる限り安全な場所へ行くように命じる。

 この子は身内である村長を助けに来たんだろうから、一緒に行かせるのも忘れない。もし一人で逃げろと言った場合、反発される恐れもあるからな。

 できればそこらで転がっている警備隊と言う名の村人たちも一緒に助けてやって欲しいが、流石に無茶だからな。その辺は俺が注意して戦うとしよう。


「次から次へと邪魔者が……。まさか、お前も私に刃向かうつもりか?」

「当然。全員纏めて三枚におろし……てやるまでもなく綺麗に骨か」


 敵はヴァンパイア一匹と、スケルトン系のモンスターが沢山。

 スケルトンは鎧と剣、それに盾で武装をしているが、その装備はどれもみすぼらしくボロボロ。わざわざ装備を変えたのでなければ、恐らく戦士系スケルトンの最下級種、ボーンソルジャーだろう。

 一体一体の力で言えば大した事無いが、流石に数が厄介だ。信じがたいことに村長率いる自警団が数体倒したようだが、それでもざっと80体は残っているな。


「ったく、面倒くせぇな」

「こっちのセリフだ。……やれ、ボーンソルジャー共。ただし、複数でだ。さっきの素人や老いぼれ、ガキとは少々違うようだからな」


 ……とりあえず、ボーンソルジャーで確定か。それに、この下級アンデッド共の指揮権は全てあのヴァンパイアが握っている、と。

 となると、指揮官狙いは不味いな。統率がなくなれば、この骸骨共はアンデッドの本能のままに村人を襲うだろう。まず、雑魚共から先にやるべきだな。


「まったく、こんな邪魔が入ってばかりでは任務に支障が――」

「【常態加速法】」

「――でる……ん?」


 加速法は、魔力状態に負荷をかけることで能力を底上げする技法だ。だが、その無茶の分短時間しかその効果を維持できない。

 これは、その欠点をある程度解消したスキルだ。体への負荷を最小限に抑え、体内魔力を加速状態で安定させることにより、長期的に加速法を使用していられる改良型スキルというところか。

 まあ、安定性を追及した分、効果は加速法の最小単位である二倍速以下、精々1.5倍速くらいなんだけどさ。


「よ、ほっ!」

「な、ば、馬鹿な! これはいったい……?」

(あー、スケルトン系って本当に嫌い。剣効き難いんだもん)


 小規模な加速しか得られないとは言え、まあこの程度の雑魚共相手なら何の問題もない。ただ、“斬”属性に少々耐性のあるこの骸骨共はちょっと面倒だな。

 いつもよりも、ちょっと強く力入れないと一撃で斬れないんだもん。


「す、凄い! 凄い! 凄い!」

「なんと……。あの軍勢が、瞬く間に壊滅してゆく……」


 骸骨共の背後に回り、ちょっと強めの一太刀。それを、80回繰り返すだけのお仕事だ。

 この程度なら魔力を一々属性変化させる必要もないし、楽な仕事だな。


「く、クソッ! 何者だキサマは!」

「ただの騎士ですが?」

「た、ただのだと! ふざけるな! たかが人間がここまでの武力、早々持ち合わせていて堪るか!」

「そう言われても……上級にすら未だに達しない、ただの騎士だぜ?」


 今の俺は18歳。本物のレオンハートはこの二年も前に上級騎士になってたはずなのに、未だに中級騎士である雑魚が俺だ。

 騎士になってからずっと一人旅だったから、他の騎士の力量とか知らないんだけどさ。まあ、何度かヴァンパイア討伐の功績で上級騎士申請したのに却下されているところから考えて、俺より強いのは間違いないんだけども。


「く、クソッ! ボーンソルジャー共! 奴の動きを止めろ! 俺がやる!」

「カカカカッ!」

「ん、それは困るな」


 アンデッドモンスターは、止めると言う一点に置いては非常に厄介だ。

 何せ、両断しても平然と動くからな。纏まりつかれると振り払うのがかなり大変なのだ。まあ簡単に捕まるつもりはないとは言え、攻撃以外の意思で動かれるのはいろいろきつい。


「腕輪開放――【風術・薙ぎ払う風の腕(プレッシャーウインド)】!」

「な、なぁ!?」


 俺単体では瞬時に用意など不可能な風の魔力を右手に集め、開放する。魔力によって紡がれた風が、骸骨の群れを殴りつけ、纏めて転倒させた。

 この魔法の効果はシンプルで、敵グループにダメージとスタン効果がある風魔法だ。現実風に言えば、つまり物凄い横殴りの風を生み出したと言ったところか。


「き、キサマ! 魔術師……なのか?」

「想像に任せます」


 ヴァンパイアの男は、驚愕を絵に書いたような表情を浮かべた。どうやら、驚きを隠すこともできないらしい。

 このビックリ芸、魔術師としての基準で言えばカスみたいな俺の技量でも、一発限り本職レベルの魔法が使える手品の最大の利点はズバリこれだ。


 同じ魔力を使う者でも、戦士と魔術師では鍛錬するところが全然違う。戦士は自分の肉体を強化する為の無色の魔力を使い、魔術師は属性変換、魔法式の構成といった技術を学ぶわけだからな。

 俺は特にセンスが無い為、属性変換が非常に苦手である。だから、戦闘中にまともに戦力に出来る魔法を構築することが出来ない。本物のレオンハートと違ってな。

 まあ、本来はそれが普通なんだけど、この腕輪の力で一回に限りその普通を覆せる。その一回限りの手品を見せたことで、俺は魔術師並みの魔法構築能力があると相手に誤認させることができるのだ!


(完全に騙しの詐欺だけど、戦闘って案外こう言う引っ掛けが有効なんだよなぁ)


 俺はあのヴァンパイアが驚いて次の手を拱いている内に、倒れた骸骨軍団を踏み潰して回る。


 この驚き、そして困惑。これこそこの腕輪の最大の恩恵であると言っても過言ではないな。

 つまり、相手は肉体からの体術と剣だけで戦う戦士だと思って戦うのと、そこに魔法の技術もあると考慮して戦うのでは取るべき戦術が全然違うものになってしまうのだ。

 そして、ぶっちゃけ剣のみの人である俺から見れば、対魔法戦術をやってくれると言う事は、つまり無駄な動作をとらせることに繋がる。命がけの戦闘に置いて、敵の無駄な一手は黄金に匹敵する価値があるからな。

 いやー、我ながらセコイね、うん。


「83、っと。これで全部か?」


 やっぱり、スケルトン系は斬るより殴る方が効果的だな。こうして倒れていれば、簡単に頭を踏み潰せるもん。

 まあ、俺の靴も鋼鉄を仕込んでいる騎士靴だから、ちょっとした鈍器代わりになってるんだけどさ。


「おのれ……。何者かは知らんが、後悔しろ人間……!」

(もう立ち直ったか)


 俺が剣も魔法も納めた天才だと判断したのか、それとも今の魔法にはトリックがあると踏んだのか。どっちの結論に達したのかはわからないけど、ヴァンパイアの男は精神的に立ち直り、敵意を向けてきている。

 この、部下が全滅なんて状況下で逃亡を考えないってことは、自分の力に相応の自信がある、または純粋に弱小種族である人間如きに敗走なんてありえないって意地ってところかな。


「我が呪いの力……たっぷりと見せてやろう!」

「そんな力、見たくないけどね」


 吸血鬼特有の闇属性魔力を練り上げ、吸血鬼の男が不敵に笑う。

 ……どうやら、これは本気だな。ボーンソルジャーの群れを倒したくらいじゃ、自分と同格とはみなさないって思えるだけの力があるわけか。

 さて、どうするかね……。

初めてかもしれない主人公無双タイム。

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