表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薔薇の鍵  作者: 射月アキラ
01.ブラッディ・ダイヤモンド
5/16

05

「最近子会社……というよりはペーパーカンパニーを増やしていると言った方が正しいけど、そういう小細工をしているのは、やっぱり密輸品が多いからだったわ。こっちにいるマドンナ側は情報の隠し方がうまかったけど、相手の方はそうでもなかったわね」

 ローザは小箱を棚に戻し、キースとサイラスに向き直って続けた。

「密輸相手はウェルスバンク。統治能力は内戦でボロボロ、ダイヤモンドをはじめとした鉱山の利権を狙って大国が政府と反政府に分かれて投資する、代理戦争みたいな状況になり始めている国よ。貿易会社マドンナが投資したのは反政府側ね」

 細かい部分はそっちの方が知ってるんじゃないかしら、とローザは付け足すように問いかけたが、サイラスは表情すら変えずに沈黙をたもつ。

 最初から単なる確認のつもりだったのか、ローザは特に気分を害した様子もなく身をひるがえす。コレクションルーム内の唯一の窓へと近づき、木枠に手をかけた。

 狭苦しい街の中では、窓の外に見えるのも隣家程度のものだ。しかし、ローザの視線は目の前のレンガ壁を通り過ぎ、その向こうにある乱立した摩天楼を捉えている。

「全ては無理かもしれないけれど、払える悪があるなら払ってあげないとね」

 ちょうどその方向に、貿易会社マドンナの本社ビルが建っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ