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薔薇の鍵  作者: 射月アキラ
02.マドンナの秘密
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05

 一刻もはやく抜け出したいのはキースも同様なので、目当てのものを探して室内を見まわす。

 扉の正面には、二つのモニターが並ぶ大きなデスクが鎮座していた。円錐形の構造をしているため、壁はわずかに傾斜していて天井も床より狭い。壁の傾斜に合わせ、三方向にある窓の形も台形に近いものになっていた。超高層に位置しているため、差しこんでくる明かりは月光のみ。地上から見るよりも空が広い。

 重要な書類──というよりは、隠すべき書類が入っていそうな金庫は、デスクの足元、板を一枚外した場所に収まっていた。

 ダイヤル式の金庫を前に、キースは一度こめかみを揉んでからしゃがみこむ。開錠に必要な数字は五桁。聴覚と触覚だけを頼りに、特定の数字を見つけ出さなければならない。

 大物を相手にしているのだから仕方のないことなのだが、さすがに連戦は厳しいものがあった。

「それにしても──なんだかアンバランスですね」

 ダイヤルを回しながら、キースは呟いた。

 一桁目はすぐに判明。

「なにが?」

 控えめに問うローザは、聴覚に集中する作業を気づかっているのだろうか。

 二桁目に目星をつけながら、キースが答える。

「警備員の装備は最新型なんですよね。でも、鍵の方はそうでもなくて……電子錠とか、生体認証とか、なかったじゃないですか」

 言いながら、二桁目を確定。三桁目のダイヤルを回し始める。

 ローザは何も言わない。サイラスも黙ったままだ。

「……えーっと、僕なにか妙なこと言ってます?」

「いいえ」

 否定の言葉は速かった。

 囁くような、それでいて堂々としたローザの声が続く。

「内戦時に使用される武器の話になるけれど、政府側はともかくとして反政府側の質は基本的に悪いわ。そういうときに他国が絡んでくると、良質だったり最新式だったりする武器が流れていくんだけど、今回の場合」

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