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第3話

翌日。


いつものように先生の周りには女子でいっぱい。

あれ教えて、これ教えて、これってどぉなんですかぁ?

って。

先生一人一人ちゃんと答えてあげてる。

優しい顔で。


むぅ〜・・・。


でも、その中には入っていけないの。


「か・ぉ〜!」


まぁこに呼ばれて我に返った。


「ん?」

「かぉ、変。」

「え?」

「え?じゃないよ。明後日の方向いっちゃってたよ。」

「そう?」

「そう!なんかあった?」


まだまぁこには言ってないんだ。

先生が好きなこと。


「ないないない!」

「そぉお?」


疑ってる・・・。


「な・い!」

「ならいいけど。そうそう!亜理紗って、朝霧先生狙いみたいよ!」

「え?そうなの?」

「結構、押してるみたい。先生も満更でもないらしいよ。」

「マジ?」


うそぉー!

テニスでもライバルなのに“恋”でもライバルですか。

相手が亜理紗じゃ、勝ち目ないじゃん・・・。


「え?満更でもない?」


聞き流しちゃうとこだった!


「うん。何度か学校の外で二人でいるとこ見られてるの。」


そうなんだ・・・つかショックです。

確かにイケメンに美女だもん、お似合いです。


「でもね、もうひとつの噂じゃ、亜理紗が無理やり呼び出してるって。

先生と生徒がいくらプライベートでも外で会うのはまずいじゃん。

朝霧先生だってバカじゃないから断ってるんだって。

でも、いろんな理由つけて呼び出してるみたい。先生も嫌々出向いてるって。」

「そうだよね!」

「急に声でかくなったね・・・。やぱ変。」

「あはははは。」


危ない危ない。

つい心の声が口から出てしまった。

先生は亜理紗のこと好きかもしれないんだ。


はぁ〜あ。


放課後、一人でいつも通り掃除してると、先生が教室に入ってきて、


「やってるな!お待たせ。」


手伝いにきてくれたの。


「はぁ、すみません、毎日。」


なんて返したらいいかわかんなくて。


「なんだ?元気ないな。」

「そうでもないです。ピンピンしてますよ。」

「そうは見えないけどなぁ。今日で最後だな。」

「はい。」

「よく頑張りました。遅刻も減ったしな!よかった。」


ドキッとする先生の笑み。


またその顔する・・・

ずるいよ・・・先生。


「・・・そうですね。」


机を持って後ろ向きに歩くと、しまい忘れた箒に足をひっかけちゃって、


「きゃっ!」

「危ないっ」


倒れそうになったとこを先生が間一髪であたしを後ろから支えてくれた。


「お前・・・気をつけろよ!」

「すみませ・・・」


あたしの手に先生の手が重なってる・・・

ボッと顔が急に熱くなって、机をつかんでる手離しちゃった。


ドンっ!


「おぃ、大丈夫か?やっぱし今日の花おかしいな。どうした?」

「どーもしない。」

「どーもしなくなくない。」


もう、どうしろって言うの・・・。

あたし、目線反らして黙っちゃった。


「花?」

「じゃぁ、言います。優しくしないでください。先生のこと好きになっちゃう。遅刻減ったのなんかちっとも嬉しくない。先生と掃除できなくなるもん。」


ヤケクソだった。

あたしは黙って机を運びだした。


先生も黙ったまま・・・。

困ったよね。

生徒からそんなこと言われたら。


「かぉ!」


微妙な空気の中、男テニの村上祐一が教室を覗いた。


「祐一、何?」

「ホントに一人で掃除やってんの?」

「うん、途中から先生が手伝ってくれるけど。」

「先生、あんまりかぉを甘やかすなよ(笑)一人で十分できますから!」


先生も苦笑い。


「何それ。そんで用は?」

「なぁ、この後打ち合いしないか?コート空いてるって。」


祐一からのテニスのお誘いだった。


「する!掃除終わったら行くから。」

「おぅ!先行ってるわ。先生さよなら!」

「おぉ!さよなら!」

「まったく失礼な奴。」

「そうだな。」


あれ?

なんかテンション変わった?


「もう行っていいぞ。」


なんか・・・怒ってる?


「でも・・・」

「今日で最後だから、いいぞ。練習してこい。」

「・・・・はい。さようなら。」

「おっ、頑張ってこいよ。」


あたしは教室を飛び出してった。

先生困ったよね。

たかだか掃除手伝っただけで告白されちゃ。

あんなこと言われたら一緒に居づらいよね。


あたしの・・・バカ。


涙がポロポロ出てくる。

これが“切ない”とか、“苦しい”とかなの?


“恋”って難しいよ。



部室で着替えてコートへ行く。

学校とコートが離れててよかったよ。

鏡でチェックしたら目が赤いのなくなってた。


「おっ、早いじゃん。」


素振りしていた祐一がこっちにきた。


「うん、先生が行っていいって。」

「そっか。早くアップしてこいよ。」

「うん。」


あたしは専用コートの周りを走りだした。


「俺も付き合う。」


祐一がついてきた。


「疲れちゃうよ。」

「かぉ待ってたら、体が冷えそうだからな。」

「ごめん。」

「謝るなよ、気持ち悪りぃな。」


祐一が言った。


「まぁさ、あれだよ。人を好きになることはいいことだ。」

「何言ってんの。」

「たとえ相手が先生だとしてもさ。」

「なんで知ってんのよ。」

「あんなでかい声で話されちゃ、聞きたくなくても聞こえるわ。」


祐一は苦笑いして言った。


あ・・・あたしつい興奮して・・・。


通りかかった祐一にも聞こえてたんだ。

なんて失態。


「あたしなんてことを・・・そりゃ先生、困った顔するよね。」

「それで泣いてたのか?」

「なんで知ってんの!」

「顔見りゃわかるよ。明らかにさっきと違うじゃねぇか。」


大丈夫だと思ったのに。

なんだか祐一に全部見透かされてるみたい。


「たかだか、掃除手伝ったくらいで好きになられちゃ、先生も困るかなって。

こいつどんだけ勘違いヤローだよって思われちゃったかなって。」

「そんなこと思わねぇよ。少なくとも俺はな。」


こういうときの祐一だ。

いい奴。

試合で負けたときも、いつも泣きやむまで付き合ってくれるんだ。


「サンキュー祐一。」

「おぅよ。」


祐一は少し嬉しそうだった。


「お前らいつまで走ってんだよ!」


コートで祐一の相棒と、あたしの相棒のなっちゃんが呼んでいる。


「今行く!かぉ、ダッシュ!」

「OK!」


ダッシュしたら、なんかすっきりした!



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