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『クレイドル』 ―時空のハルカ―  作者: みゃも
【第2話】《【HOP(ホップ)】の生(なま)!》
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【第2話】《【HOP(ホップ)】の生(なま)!》 -4-


「もぅさぁー! ホントーに、『やってらんない』って感じでさぁ~」


 わたしは今、《テラ・フロート》内にあるリラクゼーション施設の温泉で、友人の二人にまたしても愚痴を聞いて貰っていた。


 このリラクゼーション内にある温泉施設はVRシステムにより日によって様々な模様替えを行っている。今日はジャングルをイメージした雰囲気らしく、様々な木々が温泉施設内で沢山に生い茂っていた。手で触ると、ちゃんと感触まであったりする。


 他に動物なども居て。ゴリラやサルに、何故かライオンまで一緒に居る。


 ジャングルにライオンという組み合わせは、何か違ってクサイ気もしたが……まあこの際、細かいコトは気にしないで置こう……。


 先日の、『温泉内にワニ』よりは、遥かに可愛気があると思えたから。

 相手はVR映像とは言え、わたしはこれまでに2・3回はそのワニに食べられていた……。


 正直いって、いい加減にして欲しいと思う。


 そして日によって芳香も変わるようになっていて、今日は優しいリラックス出来る感じの香りを施設内に優しく漂わせてくれている。

 そのVRシステムで演出された木や花々が放ち出す香りをクンクン♪と嗅いで、時折『ニヘラ♪』とわたしは笑顔を見せる。


 なんだか今日の香りは、甘い優しい感じでとても好きになれそうだ。


 そんなわたしの様子を苦笑いながら見つめ、友人の一人であるエリ・ランカスターが口を開いてきた。


「ハハ。それでぇ~?」

「それがさぁー……」




「ぬわっ! なんでそこで、いきなり叩くんですかあー!」

「今はお前みたく冷静に、故障分類(フェイルモード・カテゴリ)なんぞしている場合かあーッ! とにかく現場に颯爽(さっそう)と的確に指示するのが、何よりも先決だろぅ~?

その間に事故なんか本当に起こってみろよ! お前はそれに対して、責任が取れるのかよ?」


「あ……それは確かに、そうでした……」


 と、思わず謝ってはみたものの。



「あ、ちょっ! そこ、待ってくださいよぉおおーーッ! 

現場に指示を出すのも、その判断を的確に下すのも。全部、神垣先輩の仕事の筈じゃなかったですかあー!?

わたしにはまだ、そんな権限なんてありませんよッ! 精々が、今みたいな『意見を述べ。その後の判断を仰ぐ』までです!」


 一瞬、思わず謝り。しかも反省しそうになったけど、よくよく考えてみると『何か間違ってクサイ……』なんてレベルの話しではなかった。


 わたしは神垣先輩を間もなく横目で半眼に見て、両腕を前で組み、その上に(あご)を軽く乗せ、澄まし顔で口を開く。



「《何よりも先決だ》、って本当に思うのなら。先輩がそれこそ迅速(じんそく)かつ、速やかに対応するのが。本来の正しい『対応責任者たる者の、あるべき姿』ってモノなんじゃあ~ないんですかぁあ~?」



  ───ゴンンッツツ☆!!



「ちょっ、い、痛いですよぉー! なんでまた、いきなりそこで叩くんですかあーっ!!?」

「あ、今のは悪りぃ……なんだか普通に、『生意気な奴だなぁあ~?』と思って……ついつい手が勝手に、思わずな。 

ハハ。悪かったよっ♪ そう怒るなって!♪」


「…………」




「って、コレよぉ~。ちょっと信じられるぅ~?」

「ハハ。確かにそいつは、ちょっとひっどいなぁ~。一言でいうと、パワーハラスメントって奴だろう、それ?」

「あ……そだね。そんなにヒドイ上司なら、ハラスメント課に報告してみたらどぅなの?」


「それならもぅ、やってみたよ。ところがさぁ~……」

「ところが、なに?」


「それがねぇ~……」




 あんまり腹が立ったので、入所してその週の内に……つまり、かなり前になるんだけど。ハラスメント全般を取り扱っているハラスメント課に相談しようと問い合わせてみたところ。


「え? あの神垣ミヤから『パワハラ』を受けてる、ってぇ~?

っていうと、もしかして君が例のアレかい? 噂の《未来ハルカ》ちゃん??」



 え?? どうして、このわたしのコトを???



「はぁ……まぁ、当たりですが。どうして分かったんですかぁ?」


 『ちゃん』は余計かなぁ~? とは正直思うけど、今はそういう問題じゃない気がする。

 一応ハラスメント課との対応は『匿名扱い』なので、こちらの個人情報は相手には判別出来ない仕様になっている、筈なのだが……。


「あ、いやな! 

実は、ミヤの奴が先日、『今度、可愛い部下がうちに来るんだぞ♪』って凄く喜んでたんでなぁ~」



 ……――え? うええぇえ──ッ??

 うそっ!! ホントに???


 思わず私は頬が赤らみ、少しだけ『嬉しい』なんてその時は思ってしまった。が、



「それが数日後には、『ぜんぜん! 可愛気がなかった!!』ってブツクサ言っててなぁあ~。

ハハハ♪

こちらとしちゃ、爆笑ものだったんだが……。その時に君の名前も聞いて知っていたものだからね、ついついな───って、あっれぇえー???」


 私は頭に来て、思わず即効で回線をいきなりからブチ切っていたのである。




「ハハ♪ その気持ち、物凄く分かるなぁ~」

「そう来られると、参っちゃうよねぇえ~? 確かに、思わず回線も切りたくなるわ♪」

「そう、なんだけど……それ以来、相談相手をすっかりと無くしちゃってさぁ~。

もぅ私にはエリとチャムと、ここのリラク施設だけが。この私に残された、唯一の癒しの空間だよぉおお~~~」


 わたしはそう言いながら、友人であるエリ・ランカスターとチャム・ホワイトニングに半泣きしつつも抱きつこうと近づいていた。



 ──ら!?



 何故か突如そこに居る筈のない例の《温泉ワニ》が大口を開けつつも現れて、『パクン♪』といつもの如く美味しそうに一飲みに!


 しかも楽しげに、モグモグと捕食行動よろしく……喰われてしまった。


 いきなり自分の周りが真っ暗なので、正直いって今なにが起きているか、その時の私には分からなかったくらいだ。


 これで3・4度目?になる……。



 リラクゼーション施設から出て友人二人とハルカは笑顔で別れ、帰宅し倒れるようにして眠ると。意識も遠のいて暫らく経ったあと、ヴィイーン!ヴィイーン!と重警報音の様な携帯の着信音が鳴る。


 この着信音からして、《管理室関係者》からのものだと分かったので、慌てて直ぐさま携帯を取り確認する!


 ……と、着信名に『神垣ミヤ』と表示されていた……。


 因みに、神垣先輩の名前の後に『アカンベー』の舌を出した絵文字付。

 時計の針を徐に見ると、信じられないことに深夜の2時半過ぎだった。



「ハハ……有り得ない…し………」


 私はそれを確認し見て、フッ…とひとつ半眼に呆れ顔で笑みを向け《携帯を切る》と再び寝た。



 するとヴィイーン!ヴィイーン!と間もなく、再び重警報音の様な携帯の着信音が鳴り響く。

 着信名を『いい加減にして欲しい!』と思いながらも一応確認してみると、やはり着信名は『神垣ミヤ』と表示されている……。


 これで出なかったらまたもや明日の朝、面倒臭い感じで絡まれるんだろうから仕方なく出ることにはするけど。どうせ大した用事でもないのだろう、と思いつつ吐息をつきながらその携帯に出てあげた。



「……はぁ~ぃ。こんな夜更けに、なにか用事なんですかぁあ~? 神垣先輩」

『「なにか用事なのか?」じゃないだろう!! さっさと出ろよ、バーカ!』



 ――バ、バカって……!!


 どうせ大した用事でもないクセして、なんて横暴な言い方なんだろう……。そもそも今は深夜の2時過ぎとかなのにさ! この人には常識というものがないのだろうか?


「はぃはい。すみませんでしたぁー。それでぇ~用事はなんなのですかぁ~?」



 くだらない用事だったら、即効で切ってやるんだから! 



『仕事だ! 早く管制室へ来い!! まさかの、このチャリアビティーポリス施設群内で《重トラブル発生》だよ!!』

「──え!? あ、ハイ!! 直ぐに行きます!!!!」


 私は思ってもみないコトにびっくりして即効で飛び起き上がり、管理局の制服に着替え、適当に髪も()かし慌てて家を飛び出し管制室へと走り向かう。 


 こういう時には本当に、途中途中の《セキュリティーゲート》が邪魔にさえ感じてしまうから参ってしまうよ!



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