過去を追う男
活動報告で書いた短編です。……自分でも不思議で仕方ないです。
俺の名前は西嶋武。別名、過去を追う男。
その名の通り、様々な奴の過去を追っている。正確に言うなら、追っていたりいなかったりするんだが。
今回のターゲットは、実業家である京楽史郎だ。
京楽史郎。今では六年前に起業した会社が大成功をおさめ日本有数の実業家として名を連ねているが、ここまで来るのに様々な経験をしている。
のだが、いかんせんセキリティが厳しく、そう簡単に奴の過去を全て調べることなど無理に等しいと判断した俺は、そいつの友好関係を調べそいつらの過去を調べながらやった。
それである程度そいつに関して情報が集まったが、肝心の本人の過去についての情報が、少ししか集まらない。
どうするかと思いながら、今までわかったことをここに書き留める。
京楽史郎。
生まれは新潟県新潟市。現在年齢は四十六歳で妻子持ち。
趣味はテニスと読書。特技は……多少なりとも話術といったところだろうか。
農家の三男として生まれ、十九で紆余曲折を経て東京に上京(その間のことがわからない)。
それから四十歳までの足取りが不明で、その時に株式会社『ミラー・インテント』を設立。
四十二歳の時に経営難に陥り倒産間際になったが、どういうことか経営を立て直した上に業績を伸ばし、現在に至る。
……あの時は新聞にもさまざまな憶測が飛び交い、人々は奇跡だといってその会社に驚いた。
話を戻すが、正直、生まれてから十九までの間、十九から四十の間、四十二のあの時がどういうわけか不明なのだ。調べてはいるが、どうもそこら辺のセキリティが特に頑丈。どうも隙がない。
本当に困った。おかげで俺のターゲットから刺客が毎夜のように送られてくるし(すべて返り討ち)、俺の記事を待っている奴らから抗議っぽい文章が送られてくる。
俺の住所は基本的に教えていないはずだが、どういう訳か送られてくる。
まぁよくあることだから別にいいが、肝心なターゲットの情報の不明な部分をどうやって調べようかが問題だ。
いっそ潜入捜査でもやるか?いやいやいや。それはない。スパイ活動など二十数年近く前にやったことはあるが、腕が鈍って使い物にならない。ついでに、ターゲットの実家に行くのも無理。両親はすでに死んでいるからだ。
………しょうがない。地道に通っていた学校から調べていくか。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
こうして時は過ぎ、わずか一年半で『京楽史郎のリアル道』というコラムがとある雑誌に掲載された。
そこに書かれていたのは生まれてから今までの事であり、全て実際の出来事であり、その中に犯罪があったことから、本人の異議申し立てもむなしく逮捕された。
――――――――――――――――――――――――
俺の名前は西嶋武。別名、過去を追う男。今回もまた一人の過去を暴けた。次は誰にしようか。
読んでくださりありがとうございます。それと、感想等よろしくお願いします。