【魔法使い】三人娘対談。
「【あたしの魔法使い。】の謎を暴露、対談でーす!」
マイク片手に元気なルティアさん。
あたしはうんざりとしながら彼女を見て、
「謎って、イロイロありそうですけど暴露しちゃ駄目でしょ」
「そうなのですよー、この話ってAさんは知ってるけどBさんは知らない。AとBさんは知ってるけどCさんは知らないってハナシ実は多いのです」
「半分以上誤解と勘違いでできてますわよね?」
「そうなのですわー! 私はエディ様がXXする時XXXな癖を知ってますけれど、皆さんは知りませんものねっ」
「知らなくていいですっ!」
「え、あの、それは……」
「マリーはまだ十四歳なんですよっ、へんなこと教えないで下さいっ」
ルティアさんっっ。
どうして何でもかんでも下ネタなんですか。
誰もそんなエルディバルトさんの癖なんて知りたくありません。
「じゃあ、各自これだけはお墓にもって行こうという秘密暴露大会!」
「全然墓までもっていってないじゃないですかっ」
「もぉ、リドリーさんってば頑固」
頑固とかじゃないです。
それに、墓まで持って行きたい秘密なんて……初キス話はすでにアマリージェにはばれていたし、きっとルティアさんにもばれているに違いない。
「じゃあっ、公の秘密をばらしまーす!」
「ちょっ、ルティア様っ」
アマリージェが慌てたが、あたしはその話には俄然興味がわいてしまった。
「公は、十六歳で八歳児に初恋です」
……それは全然ちっとも謎でも秘密でもないです。
「八歳児に臆面もなくエロエロいキスをしましたぁ」
だから、それはもう秘密でもなんでもないんですね。
「よく考えれば幼女趣味ですよね」
「よく考えなくても変態ですわよー」
二人とも元気いいですね。
「公はもともと色々と制約のある方ですから、遠く離れたリドリーさんに会いにいけませんでしたのよー」
「基本的に竜峰から長く離れられませんからね」
どんな人間だ。それともお勤めの関係で?
「それを寂しく思った公がナニをしたと思いますかー」
ルティアはまるで本当にナイショ話をする様子でふふふっと口元を緩めた。
なんだかとってもイヤな予感を覚えたあたしは引きつり、アマリージェは首をかしげた。
「水鏡で時折りリドリーの様子は見ていらっしゃいましたわ」
なにそれ? は?
「あまいですぅ。マリー、公は変態なのですよっ」
ちょっ、なにをっ。
「公の屋敷にはリドリーさんの部屋があります! 愛の間と呼ばれていてその中には公いがい誰も入ることはできませんが、本日はこっそりと内部を教えてさしあげますっ」
ナニその腐った名称! 気色悪い。絶対あの男趣味おかしいって。
――母があたしに用意した部屋は、お花畑のように乙女チックな部屋でした。
ええ……
そして、あのバカが用意した「愛の間」は、
あたしの写真とあたしの絵姿とあたしの使った教科書やあたしの昔の洋服、あたしの……
「なんでこんなものまで!」
見覚えのあるリボンとかっ。
あたしが町の日曜学校で意地悪されて無くしたと思っていた数々の学用品! 靴って、えっ、どうしてこんなものまで?
あたしはその商品の数々に卒倒しそうになった。
「なんというか、下着はもう完全に駄目ですわよね」
「見境いないくらい変態ですからーっ」
「いやぁぁぁぁぁっ」
って、なんで?
なんでこれ、どうして、えええ?
「変態とか言う前に犯罪ですっ!」
ああああ、もぉヤだ。本当に駄目人間っ。
これが神官長とか絶対にありえないっ。こんな最大の矛盾を許していいのか!?
一人ぼっち寂しい変態…