陽だまり
*嘘ではないけど信じてもいけない、
【陽だまりのキミ】あらすじ&人物設定
二十一の時にヴァルファムが引き合わされたのは、なんと自分よりも八つも年下の義母。この小娘様を父親におしつけられた息子の、涙なくしては語れない切ない育児日記。なぜ二十歳を過ぎて自分の父親の嫁を育てなければいけないのか――いいや育てる必要は無い、無視を決め込もうとした義息だったが、相手は無視できない程に厄介な小娘だった。義息と義母のハートフル・コメディ。
***
ヴァルファム
陰険、陰湿、粘着質、嘘吐き。あまたの悪評を持つ本編の主人公。誰が何といっても主人公。性格は悪い――侯爵家の跡取り息子。ついでに説教魔、二時間だってノンストップで説教ができる。本気になった彼は一晩中説教を繰り広げたこともある。キング・オブ・おこりんぼう。当初こそ義理の母となった小娘様を無視しまくっていたものだが、そのうちに妙な方向に彼女へと愛着を持つ。その感情は日に日におかしな方向に転じている。義母を騙くらかして抱きしめたりキスしたりとやりたい放題である。
超絶心が狭い。
***
ファティナ
13歳で嫁いできた義母。それまでほぼ家庭で放置されていた為、基本的にうすらぼんやりしている。騙されやすい。時々屋敷を抜け出すなど行動的な場面もあるが、たいていの悪事はヴァルファムに発見され、説教されまくっている。神様の前で愛を誓った旦那様が大好きだが、旦那様と一緒に暮らせないことで時折り落ち込む。ついで子供が欲しいという定期的な病があり、これもヴァルファムの怒りをかっている。家族という言葉に弱く、ヴァルファムを義息として大事に思っている。ボケ担当。
翡翠の瞳に蜂蜜色の猫っ毛を持つ。
***
クレオール
執事。屋敷の全てを取り仕切っている。たいていの場合静かに控えて物事を見守っている。ファティナを護る会会員一号。ファティナの良き理解者。ファティナが一人で泣いているとたいてい慰め役をやっている。最近彼の日記がweb拍手上で暴露され、実は腹が黒いのではないかという疑いを持たれている。いいじゃないか、愚痴くらいこぼしても。と、当人が思っているかどうかは不明。実はおまえはヴァルファムが嫌いなのか? と問いかけたいが、その実ヴァルファムを嫌っている訳ではないらしい。ただちょっと呆れているだけだ。
***
エイリク
ヴァルファムの腹違いの弟。ファティナ16の時点で実は11歳。ヴァルファムにものくっそ年齢を把握されていない。ヴァルファムがエイリクの年齢を思うシーンは幾度もあるのだが、実はきちんと合っているものは皆無。兄を尊敬しまくっている。義母のことは嫌っている。色素の薄い金髪に碧玉の瞳。外見はヴァルファムを小さくした感じ。兄には子犬のように尾を振るタイプ。
****
カディル・ソルド
自称・ファティナの家庭教師。ファティナの夫であるヴァルツの部下。ファティナを姫と呼び、どうやら「ファティナの為に生きている」らしいのだが、ヴァルツには「二枚舌」とか「狐」とか思われている。ファティナの婚姻のおりの立会いを勤めている。ヴァルファムのいうことは利かない。
***
ディーン・ゼルト
ヴァルファムの直属の上司。騎士団所属の執務担当官――という名前のぐーたら。その仕事の大部分をヴァルファムに押し付け、自分はたいてい「なーなーっ」とヴァルファムに愚痴をこぼす日々を送っている。今のところあまり出番は無い。だが【陽だまりのキミ】が終了した後、続編を書く気持ちが湧けば彼には一応出番がある。今現在はただの女好きの遊び人。
***
リルティア
ファティナの友人。奔放な少女。ファティナが領地にいた頃からの友人。もともとは体が弱く、療養の目的でファティナのいた地に時折訪れていた。ファティナとは仲良しだが、ヴァルファムには嫌われている。
***
セラフィレス
リルティアの兄。陽気な性格でヴァルファムを「面白い遊びあいて」として認定中。ファティナの兄を自称し、あげくヴァルファムを甥っ子呼ばわりしてからかっている。年齢的にはヴァルファムよりは年下。ファティナのことを気安く「ファティ」と呼んだことにより、ヴァルファムに「敵」認定をされている。
***
メアリ
ファティナの事実上の家庭教師。住み込みで雇われている。ファティナを護る会会員二号。心優しい主の為に色々と努力しているが、あまり報われていない。ヴァルファムのことは苦手としている。
***
ヴァルツ
ヴァルファムとエイリクの父親にして、ファティナの夫。
危険遺伝子の持ち主。女好きでファティナを含めて四人の女性と結婚した経緯がある。だがさすがに13才の小娘は守備範囲ではなかったようで、その世話を息子に押し付けた。そのおかげで彼の息子が苦悩の日々を送っているのだが、そんなことはどうでもいい仕事人間。現在は領地にある屋敷で仕事に明け暮れている。ヴァルファムに幾度も呪われ、最近ではすっかり「死んでしまえ」とまで思われている。
***
ハートフル・コメディ……
のわりに人物紹介がなんだか殺伐とした感じのものもあったかもしれません。主人公がすでに駄目駄目ちゃん。
たまさ。の書く物語としては珍しく男主人公。
性格の悪い主人公ですが、なにやら最近では「不憫」とか言われている。こんなに悪なのに、「不憫」と言ってもらえるなんて、なんて美味しいヤツめ。
この物語はもともと、たまさ。の書いた一本の話の視点をヴァルファムに強く固定して書きなおされている。最近ファティナ視点でも書かれているが、基本的にはヴァルファムが主役。ベースは書きあがっている為、終わらないなどというじたいには陥らないもよう。
連載三本のうち一番人気が無いのが悩み(笑)