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詰め合わせギフトパック  作者: たまさ。
魔女猫・企画モノ
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私立魔女猫学園(笑)

 私立魔女猫学園――もう企画からして阿呆ですか。開幕。


「役割の変更を要求する!」

 律儀にも手をあげて言う生徒Aロイズ・ロック。もともとが警備隊の隊服姿なので、学生服も良く似合う。

 というか、違和感はないが、学生は確かにある意味アウト。


「オレが生徒でおまえが教師って、ないだろう」

むむむっ、せっかくエリィフィアから乗馬用ムチを奪ってきたあたしに対しての暴言、あたしはぴしぴしとムチのしなりを楽しみながらにまーんっと口元に笑みを刻んだ。


「あらーん、こんな可愛い教師でいいじゃないの」

猫耳猫尻尾は相変わらずついていますが!

今日のあたしは女教師に相応しいツーピース。胸が大きいのはご愛嬌――上げ底パッド二枚の威力を思い知れ!

 女教師はやっぱりほら、ある種色気を撒き散らしたいものです。


「問題は無い」

 同じく生徒Bエイル・ベイザッハ。本を繰りながら言葉にしたが、ふっとその灰黒の眼差しをあげてあたしをひたりと見た。


「悪くない」

……何に対して悪くないのか聞いたら駄目な気がする。あたしは力をうしなってへこんだ耳に活力よ戻れとなぞの元気をおくりつつ、べしべしと机を叩いた。


「ロイズ、あんたに他の役割を振り分けたら確実に用務員よ! チリトリとか箒とかが似合うっ」

「くっ。オレ自身も似合うかもと思ってしまったじゃないか。もっと他に……体育の先生とかないのか」

「でもね、そうすると、あんたが用務員、もしくは体育教師。ダーリンが保健室の怪人になってしまうのよ」

「怪人ってなんだよ」

 いや、なんというか保健室にいそうでしょ。エイルって……


「そもそも、常々言いたいと思っていたんだが。そろそろそのエイルをダーリンと言うのを止めろ。少なくともこの企画では絶対に駄目だ。却下!」

 激しく言うロイズに、あたしは眉をひそめた。

「なんでよ」

「教師が生徒をダーリンなんて言ったら倫理的に問題だ!」

 エイル当人はそ知らぬ顔だ。

あたしは更に笑いを深めた。

「判った。ダーリンは駄目なのね」

「そう」

「ふふふ。じゃあロイズ、ハニーって呼んであげる」


ほぉら嫌がれ。

あたしはロイズの机の近くまでこつこつと足音をさせて歩み、エリィフィアのムチの先端でロイズの顎先をくんっと持ち上げた。

「ね、ハニー?」

「あ、あ、ううっ」


「却下!」


 ロイズからではなくエイルから物言いがつきました。

おや?


***


「そもそも、あんた達まで教師になったら生徒がいないじゃないのよ」

 魔女猫は年齢が高いのです。

一番年齢が低いのは、見た目だけ14歳程度のティラハール。その実年齢は300歳超えです。

もし授業中にアレに説教かました日には、あの口から炎を吐きそうだしヤダ。


「おまえが生徒でいいじゃないか」

「……だから、生徒が少ないのよ。あたしが生徒だとして、アンニーナはぎりぎり生徒? 教師? カス生徒でいいけど」

 あたしが指を折りつつ言うと、あたしの肩にふわりと何かが巻きついた。


「あたしは教師! 音楽教師とか英語教師がいいわー、お色気たっぷりに教えてあげるっ。

ふふふ、Rの発音は舌をうまく使うのよぉ。もっと他の使い方も教えてあげようかしら、子犬ちゃん」


 ふわふわと浮かんだエロ妖怪はそのまま生徒Aのロイズに焦点を合わせた様子。ロイズが完全にびびって腰を引かせた。

「あんたの標的はエイルじゃなかった?」

あたしは二人の阿呆な様子を見ながら言うが、アンニーナはロイズの顔に豊満な胸を押し付けながら笑った。

「堅物を飼いならすのは楽しいわよぉ。それに、そっちのは幼女趣味なんだもの。オトナの女の魅力が理解できないのよ」


合唱。


「誰が幼女趣味だ」

 冷ややかなエイルはあくまでも一人で個人勉強中。団体行動には向きません。


「ちょっ、ブランっ。助けてっ」

 ロイズが泣きそうです。熊涙目。

さすがにちょっと可愛そうだよ、アンニーナ。

だがしかし、ロイズは現在無敵アイテム所持者だった。突然飛来したチビ獣形ティラハールが、その獅子の口をぱっかりとあけてアンニーナにかじりついたのだ。


「きゃぁぁぁっ」

「ティラハール、そんなの食べたら駄目だっ。病気になる。ぺっしなさいっ」

「あたしは病原菌かっ!」


「そもそも、この話が学園である必要があるのか?」

エイルはあくまでも冷ややかに言う。

「……ない、かな」

「とりあえず、この魔法理論についての見解をお聞かせ願おうか、ブランマージュ先生」

 くいっと顎で呼ばれ、あたしは引きつった。


「ま、まほー、りろん?」

「それくらいは判るのだろうな、ブランマージュ先生?」

 エイルの瞳が楽しそうに揺らめく。

あたしは両手を突き出すようにして「生徒でいいです! 生徒でっ」と役柄をかえることにした。駄目だ。教師っていう役柄は面白そうだけれど、人に教えるのは難しい。


「では私が教師で構わないな」

 ふっと皮肉に言うエイル。

って、あんためちゃくちゃ楽しんでない? この企画。

エイルは首筋のネクタイを緩めながら先ほど自分が読んでいた本をぱたりと閉ざした。


「ブランマージュ、魔法理論と魔導理論の違いについて答えなさい」

「え、えええっ?」

 エイルの口元が緩く口角をあげる。

「放課後個人講習。逃げるなよ」


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