表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/32

Scene 7:悪意の覚醒

 スカーレットは、迫りくる無数の刃の中で、心底がっかりしたような顔をしていた。

「それが、お前の奥の手か?」

「な……に?」

「稚拙だな」

 スカーレットの瞳が、冷たく光った。

「脳の領域を分割し、思考を並列化させる?

 ……その程度のこと、俺が考えていないと思ったか?

 お前のように魔力で無理やりブーストするような雑な設計スパゲッティコードじゃ、すぐに熱暴走するのは当たり前だろう?」

 瞬間。

 スカーレットの剣速が跳ね上がった。

 いや、速くなったのではない。「処理」が変わったのだ。

 彼女もまた、日常的に行っていた【思考領域Aスカーレット】と【思考領域B(劉)】の並列処理を、戦闘用に完全同期させたのだ。

「他人をなめるのも大概にした方がいいな」

 ガガガガガガッ!!

 バルカスの「多次元攻撃」が、全て撃ち落とされた。

 無理な並列処理で動きが雑になったバルカスに対し、洗練されたスカーレットのカウンターが炸裂する。

「が、あ、あぁぁぁ……ッ!?」

 剣を弾き飛ばされ、両腕の関節を極められ、地面に叩きつけられる。

 完全なる敗北。

 バルカスは仰向けに倒れ、虚ろな目で天井を見上げた。

(負ける……? この私が……システムが……バグに……?)

 彼の意識が薄れかけた、その時だった。

『――使えない器だ』

 バルカスの口から、バルカスではない「誰か」の声が響いた。

 低い、地獄の底から響くようなノイズ混じりの声。

「……!」

 スカーレットが反射的に飛び退く。

 倒れていたバルカスの体が、糸で釣られるように不自然に起き上がった。

 その瞳から「知性」の光が消え、代わりに漆黒の闇が満ちていく。

『だが、ここで潰えるには惜しい。……そして、目の前の貴様』

 バルカス(だったもの)が、スカーレットを指差す。

『貴様は危険だ。私の計画にとって、最大の障害エラーとなる』

 周囲の空気が一変した。

 空中庭園のガラスが震え、美しい薔薇が一瞬で枯れ果てる。

 それは、武術や科学といった理屈を超えた、純粋なる「呪い」の気配。

 【悪意の真実マリス・トゥルース】。

 かつて王家が封印した災厄が、宿主の敗北を悟り、その体を乗っ取って表層へと浮上したのだ。

「……なるほど。ここからが本当の『化け物退治』というわけか」

 スカーレットは剣を構え直す。

 その顔には、先程までの余裕はない。

 だが、武人としての笑みは、より一層深く刻まれていた。

「いいだろう。ロジックの次はオカルトか。……まとめて灰にしてやる」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ