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和和の短編シリーズ

駿太と小春の無自覚な初恋

作者: 和和

短編です。ちゃんと1話で終わらせました。

ジリリリリリ…


今日も目覚まし時計が鳴る。


「ふぁあああ…ねむ…」


眠気眼を擦りながら俺…金井(かない) 駿太(しゅんた)は伸びをする。


ふと、寝息が聞こえる。


「また忍び込んできたか…おい、起きろ。」


俺はベッドで眠る少女…梁瀬(やなせ) 小春(こはる)を起こそうとする。


「うぅ…眠い…あと少し…」


小春がうめくが、容赦はしない。


「今日も学校だぞ。早くしないとおいていくぞ。」


その時、部屋の扉が開いた。恐らく母さんだろう。


「駿太!朝ごはん出来てるよ!早く起き…てるわね。あら小春ちゃん。小春ちゃんも早く起きなさいよ。」


「むぅ…起きるよお…ふぁあああ…あ…駿太…おはよー。」


「おはようさん。ほら、早く下りるぞ。」


まだ寝ていたいのは本音だが、学校があるので仕方ない。これでも俺は無遅刻無欠席の健康な優等生なのだ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「いつもすみません…朝食を頂いちゃって…」


「良いのよ。あなたのお母さんには昔お世話になったし…それに!お礼としていつも美味しいお菓子を頂いているからね。子供は気にしなくて良いの!」


小春と母さんがそう会話をする。


小春の母はうちの母さんの中学、高校の先輩らしい。とても仲が良く、お互いに結婚して家を建てるときは隣にしようと話をしていたらしい…なんか似たような展開の小説を読んだことがある気がするな…


それはさておき、俺と小春は幼なじみというやつである。そういう関係から恋愛に発展…はよくある展開だが、俺たちにはそういうのは特に無い。


(恋愛ねえ…興味はあるが、相手がいないとな…)


高校生になって数ヶ月、彼女が出来るかもしれないと期待していたが、生憎出来る気配は全く無い。


2人が会話をするのを眺めながら、1人で黙々と朝食を食べていると、母さんがいきなり俺に話しかけてきた。


「そう言えば、今日のお弁当は特別仕様だからね!ちゃんと全部食べなさいよ!」


「いつもちゃんと全部食べてるじゃん。」


「そうだけど、今日は念を押さなきゃと思って。」


「ふーん…まあ、楽しみにしてるよ。」


俺は朝食を食べ終えると、学校に行く準備をした。


小春は家に忘れ物をしたらしく、一旦帰っていった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~



準備も整い、家の扉を開けると、小春がいた。


「忘れ物はないか?」


「もう大丈夫よ。そっちこそ、忘れ物はない?特にお弁当は忘れないでよね。」


「わかってるよ。ちゃんと入ってる。」


2人で通学路を歩く。小学校からのルーティンのようなものだ。俺はあまり話すのが得意な方ではないが、小春とは付き合いが長いからか話が良く弾む。


話しているといつの間にか学校に着いた。


「じゃ、私こっちだから。」


「おー、またな。」


小春は3組、俺は1組だ。


「おーっす」


「おはよー」


「おー、おはよう」


教室に入ると、2人の友人に話しかけられた。


先に挨拶をしたのが西郷(さいごう) 慶太(けいた)、中学からの友人だ。


次に挨拶をしたのが富野(とみの) 洋介(ようすけ)、小学校からの友人だ。


3人で他愛の無い話をしていると、予鈴がなった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「あー…彼女が欲しいなー…」


休み時間、そう呟くのは慶太。


「おまえ最近ずっとその話だな。」


洋介が呆れるように答える。


「だってよー高校に入ったら一度は憧れるじゃん!でも話せる女子が出来てもそういう関係ってなると全然なんだよな…」


そう話す慶太に俺も同調する。


「確かに、俺も彼女が欲しいよ…」




一瞬、時が止まった。




え、俺なんか不味いこと言った?




「おまえ…マジか…」


慶太が驚いたように話す。


「慶太、こいつ(駿太)はこういうやつなんだ…中学の時から分かりきっていただろう?」


洋介が呆れたように慶太に話す。


納得のいかない俺は2人に話しかける。


「いや、どう言うことだよ?俺なんか変なこと言ったか?」


すると、慶太が叫ぶ。


「梁瀬さんはよ!?」


何故小春の名前が出るのだ。


「幼なじみだけど...?」


「…スーッ…」


慶太は何故か絶句している。


俺は助けを求めるように洋介の方を向いた。洋介は隣のクラスに彼女がいる。何か分かるかもしれない。


洋介が話す。


「あーっと…とりあえず駿太にアドバイスするよ。彼女ってどのような存在かイメージしたことがある?」


「いや、特に無いな。」


「まずは、イメージを固めることから始めたら良いんじゃないかな?漫画でも良いし、俺と百合奈(俺の彼女)の関係をイメージしても良いし…」


「なるほどな…参考にするよ。ありがとう。」


俺は洋介に感謝を伝える。


「なーなー、俺もそうした方が良い?」


慶太が洋介に話しかける。


「…慶太はその《俺は彼女が欲しいです!!!》感を無くすことからかな…積極性は大事だけど、ガッツキ過ぎも良くないからね。」


「うぐっ…が、頑張る…!」


そうしていると、チャイムが鳴り、授業が始まった。


授業中にふと考える。


(彼女のイメージか…やっぱりデートかな…?そう言えば洋介はカフェや近所の公園で談笑したり、2人で小遣いを出し合って水族館や動物園に行ったって言ってたな…なるほど...)


色々考えている内に、いつの間にか昼休みになっていた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「駿太、行くよ。」


「おー」


小春が俺のいる教室にやって来た。今日は特別な弁当らしいので一緒に食べる約束をしていたのだ。


慶太と洋介に見送られ、俺と小春は中庭に来た。意外と知られていない静かな昼食スポットだ。


「「いただきます。」」


弁当の蓋を開ける。一見すると普通の弁当だ。ふりかけご飯に玉子焼き、ミートボール、ほうれん草のおひたしにポテトサラダ、ミニトマトも付いている。デザートはリンゴのウサギだ。


「うん、美味しそうだな。」


玉子焼きを食べる。ん?何だ?


「味が違う…?」


横に座る小春がビクッと震えた。もしかして…


「小春が作ったのか…?」


小春が答える。


「そ、そうだけど…美味しくなかった?」


少ししおらしくなった小春を見て、慌てて否定をする。


「いやいや、旨いよ!いつの間にこんなに上手くなったんだ?」


「お母さんやおばさんに教えてもらって…美味しく出来たのなら良かった…!」


「昔は俺と一緒にホットケーキを爆発させていたのになあ…」


「そ、それはだいぶ昔の話でしょ!今はもうしないよ!」


「さすがにわかってるよ。今年もチョコ旨かったし。」


「ふふーん。良かったらまた作ってあげるよ。」


「本当か!嬉しい!」


「じゃ、楽しみにしててね。」


小春は昼食後、楽しそうに3組の教室に帰っていった。


「小春の手料理旨かったな…また作ってくれるのか…楽しみだな。」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~



帰りもいつも通り小春と喋りながら、俺は午前の休み時間のことを考えていた。


(公園もカフェもこの前小春と行ったよな…水族館も去年の夏に行ったし、動物園も…)


その時、ふと横を見た。斜め下の視点に相変わらず小春がいる。いつの間にか俺との身長差がかなり開いている。いや、それよりも...


(こいつ…こんなに可愛かったっけ…?)







気付いた。




気付いてしまった。




いや、気付かない振りをしていたのか…わからない。でも…




(俺…小春のことが好きなんだ…彼女にしたいと思ってたんだ…)



ヤバい。



目が合わせられない。



小春が可愛すぎる。



「駿太、どうしたの?」


小春が俺の顔を覗き込む。


止めてくれ。可愛すぎる。好きだ。可愛い。助けて。いややっぱ助けないで。ずっと見ていたい。


「いや…何でもない…」


そう答えるので精一杯だった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~



部屋に入り、部屋着に着替えて一息着く。


「あああああ~~~~~~…マジかー…」


今思えば、あの時もあの時も…


(俺って小春のことばっか考えてたのか…そりゃアイツらもそんな反応するわ…)


明日、2人に相談しよう。恐らく「遅すぎる!」って笑われるけど、話したい。小春以外の誰かに。


「小春…好きだ…」


「えっ」


いや、恥ずかしいな…いざ告白するってなると恥ずかしすぎるな…それに断られるリスクを考えると恐すぎる…ん?ちょっと待て今なんか声が聞こえなかったか?


視線を壁際から部屋に移す。






小春がいる。





可愛いな。





いや待て、俺今何て言った今?


ど、どうしよう…


小春が口を開く


「私も駿太のこと、好きだけど?」


俺の思考は停止した。




「おーい、なんか反応してよー」


小春が俺に話しかける。可愛い。


思考が戻ってきた。



「い…いつから…?」


「それはどっち?部屋に入ったことか、私が駿太のことを好きなことか。」


「ど、どっちも…」


「部屋に入ったのはついさっき。一応声かけたよ?…それと、好きなのはずっと前から…気付いたのは最近だけどね。百合奈と話してたら、初恋にやっと気付いちゃったんだ。我ながらかなり鈍いけど…」


小春はにっと笑う。いやマジで可愛いな。


俺はベッドに座る。すると隣に小春が座る。ヤバい。可愛い。好き。


小春が話しかける。


「そ、それで…私たち…両想いで良いんだよね…?こ…恋人で良いんだよね…?」




助けて小春がめちゃくちゃ可愛い可愛すぎる助けていややっぱ助けないで恋人にしたいいやもうなってるのか両想いとか最高過ぎないか幸せすぎるヤバいヤバいヤバいヤバい!!!!!!




ぐるぐる思考が巡るなか、俺は何とか口を開く。


「い、良いよ…恋人で…俺も小春のこと…好きだよ…彼女にしたい…」


「彼女で満足?」


「結婚したい!!!!!!」


「ちょっと…返事早すぎ…ふふっ。」



「こ、小春…」


「なあに?」


首かしげないで可愛すぎる。


「だ、抱き締めても良い?」


「ん!」


小春が手を広げる。可愛い。



そっと抱き締める。小さい。いい匂いがする。可愛い。好き。


「き、キスしてもいい?」


「ん!」


小春が顔を上げる。いわゆるキス待ち顔だ。


彼女の唇に、そっと口づけをする。柔らかい。顔近い。可愛い。好き。



そっと口を離す。


俺はしっかりと小春(俺の彼女)に告げる。


「こ、これからよろしくお願いします…」


「これからもよろしくね!私の大好きな彼氏さん!」




2人には相談ではなく、報告になっちゃうな。それでも「遅すぎる!」って言われるだろうけど。







俺たちの無自覚な初恋は今日で終わった。


これからは2人で愛を育んでいく。












~~~~~~~~~おまけ~~~~~~~~~



「ねえ駿太、駿太はいつから好きだったの?」


「ずっと前からだよ。俺も最近気付いたけど。」


「初恋?」


「初恋」


「ふふーん。それで、いつ気付いたの?」


「今日」


「遅すぎない!?人のこと言えないけど!…まあ、改めて、よろしくね。」


「可愛い。」


「も…もおっ!」



終わり

無事に1話で終わった…良かった…

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