表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/15

テスタ・テスラ

アウロラの名前を、アスタ・テスラに変えました。

 世界最高の十二人の魔法使い。トゥエルブ・セインツが一人、アスタ・テスラ、通称星の魔法使いは、魔王軍からアメリカを救った英雄である。その英雄譚は世界中に知られており、そのものの名前を知らないものはこの世界には居ないほどである。

 しかし、そのの素顔は公表されておらず、性別、年齢、国籍なども不明である。世間では、口にひげを携えた、賢者のような男、妖艶な絶世の美女などと噂されているが、誰も真実を知らない。英雄はどのような姿なのか。世界中の人々がそれを知ろうとしたが、いまだ、それを知るものは居ない。



 ◆



 プルルルル…プルルルル⋯プルルルル⋯


「うん…、何だ…?。」

 ある平日の昼、白木レナは一本の電話で目が覚めた。時刻は、すでに午後1時25分。部屋には朝日ではなく、真昼の太陽の光が、射し込んでいる。

(せっかく人が気持ちよく寝ているのに⋯、誰からだろう?)

 平日の昼間に寝ている人間が言えたことではないのだが⋯、そんなことを思いながら、レナは電話を取った。

「もしもし、白木レナです。」

「ヤッホー、レナくーん。元気してる?」


 ブツッ、ツー、ツー、ツー⋯


 電話越しに聞こえてきた声に、レナは思わず電話を切ってしまった。

(寝起きに一番聞きたくない声を聞いてしまった⋯。早く二度寝して、忘れよう⋯。)

 そう思って、レナが再度布団をかぶろうとすると、


 プルルルル…プルルルル⋯プルルルル⋯


 また、電話がかかってきた。着信の欄を見ると、同じ人物である。レナは無視を決め込んで、寝ることにした。


 ピコンッ


 すると、諦めたのか、今度はメールで送られてきた。一応内容ぐらい確認しておくかと思い、メールを開くと、

「早く、電話に出なさい。起きているのはわかっています。もし、一分以内に、そっちから電話をかけなかったら、今月の給料出しませんからね」

 その内容に、レナは慌てて電話をかける。すると、相手は直ぐに電話に出た。

「ロバート会長、今月の給料カットは本当にやめてください!今月、ゲームに課金しすぎて、カツカツなんです!お給料もらえなかったら、私、餓死しちゃいます!」

 レナが、慌ててそうと、

「よかったよー、君が電話に出てくれて。本当は僕もそんなことしたくないからね」

 ロバート会長と呼ばれた人物は、そう答えた。

 ロバート・ウィリアム会長は、国際魔法連盟の会長である。国際魔法連盟とは、世界中の魔法使いを管理する組織であり、魔法免許の発行、ランク分け、魔王軍への対策など、魔法に関する様々なことに関わっている。そんな、国際魔法連盟を束ねる会長に、わずか四十歳で就任したロバート会長は、偉人と言っても差し支えないほどの人物である。まあ、少しあれな人なのだが⋯

「いやー、まあ気持ちはわかるからね。僕も、この間ソシャゲに課金しすぎて、妻に小遣いなしにされたからね。いやー、参っちゃうよね。」

「ちなみに、どのくらい課金したんですか?」

「そうだな、一週間で2000万ぐらいかな?ぜんぜん、狙っているキャラ全然がでなくてね。ついつい、回お金を使いすぎてしまったよ。」

「⋯。」

 その言葉に、レナは頭を抱える。どうすれば、そこまでお金を使えるのだろう。レナとロバート会長の付き合いは長いが、その浪費癖が治ることはない。

「会長、少しはその浪費癖を直してください。いい加減にしないと、奥さんに離婚されてしまいますよ。というか、魔法連盟の会長がそれって、どうなんですか?」

 レナがそう言うと、会長は笑って言った。

「それはお互い様だろう?君もトゥエルブ・セインツの一人、テスタ・テスラなのに、引きこもっているじゃないか。」

 そう、レナの正体は、トゥエルブ・セインツが一人。星の魔法使い、テスタ・テスラ。世界最高の十二人の魔法使いの一人である。レナが、トゥエルブ・セインツになったのは、今から五年前。レナが、十二歳の時。もともと、ロバート会長にその才能を見出され、国際魔法連盟のもとで特別な訓練を受けていたのだが、魔王軍の襲撃によって戦場に駆り出された。そこであまりの量の魔王軍にビビり、思わず全力で大規模殲滅魔法を打ってしまったのが行けなかった。あれやあれやと英雄に担ぎ出され、気がついたらトゥエルブ・セインツの一人にされていた。

 しかし、レナはそんなことは全く望んでいない。むしろ、目立つのが大の苦手なレナは、こうやって引きこもっているくらいである。

「あの時の恨みは忘れてませんよ⋯、会長。アメリカに無理やり連れて行った上に、突然戦場に放り込んだんですから⋯。もし、私にもう少し勇気があれば、国際魔法連盟の本部を魔法で爆破していましたね。」

「君が、引きこもりで良かったよ⋯。」

「なんか癪に障りますが、良いでしょう。」

 レナはそう答えた。

「ところで、肝心の用事なんだけどね、」

 そう言うと、ロバート会長は、少し間を開けた。

「なんですか?その用事って?できれば、あまりめんどくさくないのが良いのですが。」

(いま、フォー◯ナイトでイベント中なんだよな…。あんまり時間が掛かるのは嫌だな⋯。)

 レナが、そう考えていると。

「いやぁ、大したことじゃないんだけどね。君にはちょっと、高校に通ってもらいたいんだよ。」

「!?」

 ロバート会長が、爆弾発言を放り込んできた。



どうでしたでしょうか。もしも、気に入ってもらえたのならば幸いです。次のエピソードもぜひ、読んでください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ