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簀巻き

「お前、魔法連盟の奴らが来てるのはわかっているな?」

 暗い部屋の中で、ソファに座った男が、壁際に立っている女に向かってそう聞いた。

「ああ。トゥエルブ・セインツも来ているそうじゃないか。殺せば私達も幹部になれる」

「そうだ。これはチャンスだ。それに、あれを使えばトゥエルブ・セインツを殺すのだって夢じゃない」

「これは私達のチャンスだ。絶対に逃さない」

「ああ、のがしてたまるものか」

 男と女はそう言うと、立ち上がり、暗闇の中へと消えていった。




                        ◆



「さあ、みなさん。用意はできていますか」

 魔王軍のアジトがあるという山の麓。そこから伸びる登山道の入口に、レナを含む魔法連盟の魔王軍討伐隊が集まっていた。しかし、彼らが着ているのは登山ウェア。完全にただの山登りである。

「あの......山登りするって聞いてないんですけど......それにこの格好で大丈夫なんですか?魔王軍のアジトを潰しに行くんですよね?」

 レナは大嫌いな運動をさせられて嫌な気持ちと、こんな格好で大丈夫なのかという気持ちで、緩井さんとヴォルフさんに聞いた。

「問題ありません。ロバート会長も山登りお好きですし、たしか、ロバート会長が定めた魔法連盟規則にも、山での任務は登山ウェアを着用するようにと書かれてあります」

 ヴォルフさんは何も問題ないかのようにそう言ったが、レナは、

(今度あったら、一発食らわしてやろう......世界規模の組織の規則を、個人の趣味で決めるんじゃないと言い聞かせなきゃ)

「おいまて!これはどういうことだ!」 

 レナの隣でアダラートがそう叫んだ。横を見ると、ぐるぐる巻きにされたアダラートが転がされている。

「アダラート様が、温泉に入りにいかないようにするためです」

 ヴォルフは、ちらっとアダラートをみて、そう言った。

「だから行かねえって言ってるだろ!」

「残念ながら、信用がございません。この間もそう言って仕事を抜け出したではありませんか」

 喚くアダラートに、ヴォルフはそう冷たく言った。

「まあ、そうしているのが一番良いと思います......」

 レナも、小さい声でそう同意した。

「まあ良い。速攻で終わらして温泉とやらに入ってやるぜ!」

 アダラートはそう息巻くが、

「仕事はきちんとしてくださいよ」

 皆から返ってくる言葉は冷たかった。

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