作者よ、投稿頻度を上げろ
昼休み、職員室から教室に戻ってきたレナは、まず沙也加を探した。しかし、教室の中にはほとんど人がおらず、沙也加も居なかった。
(部活の練習とかかな。あんまり迷惑かけたくないけど……先生、早めに言ってほしいって言ってたし……。よし、なら……)
レナは目を閉じて集中すると、その膨大な魔力を一瞬、放射線状に放射した。広域探知魔法である。
(居た。この反応は……特別教室の中)
レナは特別教室の方へと足を向けた。
◆
「あの……すみません」
特別教室のドアを開けながら、レナはそう言った。沙也加は他の人たちと一緒に何やら会議のようなものをしている。どうやら実行委員会の集まりの途中だったらしい。
レナに気付いた沙也加は、席を立ち上がりレナに近づいた。
「沙也加さんに伝えたいことがあって……体育祭の役割のことなんですけれど……」
「あぁ、それか! 何やるの?」
恐る恐る尋ねたレナに、沙也加はそう答えた。
「当日の裏方の方を……」
「おっけー。私も体育祭の日は裏方やるんだよね。よろしく!」
そう言って、沙也加は爽やかにニカッと笑った。とてもイケメンである。レナは思わず見惚れてしまった。
見惚れていたレナを見て、沙也加は言った。
「ん? 大丈夫?」
「……はっ、すみません!」
我に返ったレナは、そう謝った。
(あぁー、私のバカバカ! ぼーっと人のことを見つめて、絶対に変な人だと思われた!)
しかし、沙也加はそんなことなど全く気にしていない様子でレナに言った。
「よかった! なら体育祭の日、よろしくね!」
「よっ、よろしくお願いします!」
相変わらずの沙也加のイケメン度合いに、レナは救われた気持ちになった。
◆
「はぁーー、疲れたーーー」
色々あった、学校初日。家に帰ってきたレナは、帰るなりベッドに倒れ込んだ。
「まだ、1日目なのに……こんなんじゃ私、倒れちゃう……」
そう、作者が投稿をサボっていたため、現実では2週間以上の時間が経っているが、この物語の中ではたったの1日の話なのである。作者よ、毎日投稿とは言わないが、もう少し投稿頻度を上げられないものなのか。
そんなことはさておき、レナは本当に明日学校に行きたくなかった。
「1日目でこんなに色んなことがあったのに……絶対無理!」
そうベッドの上で駄々をこねていると、
プルルルルルル
レナのスマホから、電話の着信音が鳴った。誰だろうと電話を取る。
「グッドモーニング、レナ君! いや、そっちだとグッドイブニングのほうが正しいかな?」
脳天気な元気な声、ロバート会長である。レナは電話を取ったことを後悔した。
(うわぁ、これ絶対めんどくさいやつじゃん……)
しかし、仮にも相手は国際魔法連盟の会長である。いくらレナがトゥエルブ・セインツの一人、テスタ・テスラだと言えど、無下にできる相手ではない。
「要件はなんですか……お願いですから手短に……疲れてるので……」
「おいおい、軟弱だな。僕なんか、今日は朝の四時から働いているけれど、まだまだ元気だぜ?」
ちなみに、レナもたいがいだがロバート会長も人外の域の人である。魔法の才能もさることながら、その無尽蔵な体力は尽きることを知らない。この2つが、彼が会長になれた最も大きな要因である。
まあ、こんなことで会長になれてしまう国際魔法連盟はどうなってるのかと、レナはロバート会長に会うたびに思っている。
「それはロバート会長が異常なだけです。それよりも、早く要件を言ってください。面倒なことだったら引き受けませんよ」
仮にも自分の上司に対して、なかなかの言いようである。しかし、他のトゥエルブ・セインツも似たようなものなので、ロバート会長は気にしない。
「なに、そんな面倒くさいことじゃない。今度の休みは三連休だろ? そこを使って、ちょっと魔王軍のアジトを一つ潰してきてほしくてね。他のトゥエルブ・セインツもつけるし、簡単だろ?」
平然ととんでもないことを言うロバート会長に、レナは戸惑いを隠せないまま言った。
「ちょっ、ちょっと待ってください! それ、それってとんでもないことじゃないですか。魔王軍のアジトなんて、国の軍が動いても大袈裟じゃないくらいの事態ですよ! それをそんな感覚で……無茶を言わないでください!」
「でもまあ、君ならできるだろ。それに、ヘパイストレス《破壊の化身》、アダラード君もつけるし。問題ないでしょ」
「ちょっと待ってください。今、アダラードさんの名前を言いました? その人と一緒なら、私、絶対にその任務を受けませんからね!」
レナがそこまで言うのには理由がある。アダラード、通称ヘパイストレスは、レナと同じトゥエルブ・セインツの一人である。しかし、レナと同じように性格に多少の難があり、その気性の荒さから“破壊の化身”と呼ばれる始末である。前にレナが彼と一緒に護衛任務を受けた時は……まあ、言わないでおこう。
「でもなぁ。もう、そういうことで書類出しちゃったし。ということで頼むよ。それじゃ!」
そう言うなり、ロバート会長は電話を切ってしまった。
「ちょっと待ってください! 会長!」
そうスマホに向かって叫ぶが、会長にその言葉が届くことはない。
「もう、なんでこうなるのー!」
レナは思わずそう叫んだ。




