プロローグ ー魔法のある世界ー
この物語を読んでくださり、ありがとうございます。私は、この作品が初めての作品なので、読んでいて気になる箇所もあると思います。ぜひとも、指摘などを感想で書いてもらえると、嬉しいです。
「この世界には、魔法が溢れている」この言葉を言ったのは、誰だっただろうか。
遡ること、八十年前。第二次世界大戦が終わり、世界に平和が訪れた頃。一人の男の子が、この世界に生を受けた。その男の子は、驚くことに、魔法の力を持っていた。念じるだけで、ものを動かせる。空に浮かぶことができる。まさに、人類が夢見ていた力だった。そして、更に驚くことに、この、魔法の力を持った子供達が次々と生まれたのだ。二十年もすれば、人類の大半は、魔法を使う事ができるようになっていた。かくして、人類が夢見た魔法のある世界、魔法が日常にありふれている世界ができたのである。
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「早く、防御魔法を展開しろ!」
「衝撃に備えろ!」
2019年6月6日。その日、アメリカのニューヨークにて、魔王軍とアメリカ軍の全面戦争が起こった。
魔王軍とは、多くの闇魔法使い達からなる、超巨大犯罪組織である。世界征服を掲げ、世界中で犯罪行為を行っている。
そんな魔王軍がカナダを占領したことにより、この戦いは始まった。魔王軍は数ではアメリカ軍に劣っていたが、その個人個人の高い魔法の技術により、アメリカ軍はニューヨークを占領されるほど、劣勢に立たされていた。
そんな戦況をひっくり返すために、アメリカ軍は国際魔法連盟に援軍を要請。また、自国の持てる軍事力すべてを使い、ニューヨーク奪還作戦が立てられた。しかし、戦況は劣勢。アメリカ軍と国際魔法連盟の連合軍は、敗北の縁に立たされていた。しかし、その戦況は一瞬にして覆ることとなる。
◆
「総督、ハドソン川の防衛線ですが、敵の猛攻により、もう持ちません!」
総督と呼ばれた男性、ウィリアム・スミスは頭を抱えた。ハドソン川の防衛線には、対魔法シールドを多く配置した。それに加え、防御魔法の使える者も何人も配置した。それなのに…
「あと、どれくらい持ちそうかね?」
「もって二十分、早いと十分で破られそうです!」
この有り様である。このままでは、敵がハドソン川の見方と戦っている隙に、背後から奇襲するという作戦もうまくいきそうにない。
(どうしたものか…しかし、この戦いで負けるわけにはいかん。もし負ければ、アメリカ大陸は魔王軍の手に落ちるだろう。それだけは絶対に阻止せねば。)
この戦いには、多くの人々の生活がかかっている。それ故に絶対に負けるわけには行かないのだ。しかし…
「魔王軍、対魔法シールドを突破しました!」
戦況は絶望的だ。もう、諦めるしかないのか。このままアメリカは魔王軍の手に落ちてしまうのか。誰もが総絶望したとき、
「総督、見てください!ハドソン川の防衛線に謎の光が…」
戦場に、一筋の光の球が現れた。
「何なんだ、あの光は!?」
スミス総督も、思わずそう叫んだ。魔王軍も連合軍も、みんながその光の球を見ていると、急にその光の玉は縮み始めた。
(何だ、何が起きるのだ。)
スミス総督が、声も出せずにいると、突如として、その圧縮された光の玉から光線が魔王軍へ向かって放たれた。
ドッカーン!
その光線は、地面に着弾するやいなや、とてつもない爆発を引き起こした。しかも、それだけでは終わらない。その光線が、何発も何発も、魔王軍へと向かって放たれ始めたのである。それは、まるで神が愚かな人間達に、天罰を下しているかのよう。逃げることも許されず、魔王軍は殲滅されていく。一分も立たず、魔王軍は壊滅状態に陥った。
(助かった…これでしばらくは安心だ。だが、あの光は何だったのだ?新たな新兵器?そもそも、あんな威力の兵器を作れるのか?)
スミス総督がそう考えていると、
「総督、魔法連盟から報告が来ましたので報告いたします!」
部下の一人が話しかけてきた。
「先程の光の正体ですが、トゥエルブ・セインツが一人、アスタ・テスラの大規模殲滅魔法だそうです!」
その言葉を聞いて、スミス総督は耳を疑った。
(あんなものを、一人の人間が出せるのか!?いくら人類最高の魔法使いの一人だと言え、そんな事ができるのか!?)
「その情報に、誤りはないのだな?」
「はい、間違いありません!」
(とりあえず、助かったことを感謝すべきなのか⋯。世の中には常人が何十万人と集まってすることを、一人で、それも一瞬で解決してしまう、頭のおかしい奴らもいるのだな⋯)
スミス総督は、半ばあきらめにも近い感情を持った。
◆
かくして、このニューヨーク攻防戦は、アメリカ軍と国際魔法連盟の大勝利となり、勝利をもたらしたアスタ・テスラの英雄譚は、後の世に語り継がれていくことになる。
こんにちは、HALです。まだプロローグですが、読んでみていかがでしたでしょうか。楽しんでもらえたのならば、幸いです。モチベーションが上がるので、高評価をしてくれると嬉しいです。次回からは、高校編入編です。面白い物語をかけるよう頑張りますので、次のエピソードも読んでもらえると幸いです。