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第2話 三年後……仲間と共に

バッカス様の呼びかけで、神々との祝宴が催された。


それから雷神様との肉体改造の特訓もあり、俺の霊体は雷神様の神力を浴び、ムキムキの細マッチョへと変貌を遂げた。


時々、フィオナ様とのオタク談義を親睦を深めた。


バッカス様には、天界にある武器や兵器、それと神具の扱いを、強制的に頭にインストールされた。


いちいち説明するのが面倒だったそうだ。

なんとも豪快な神である。


ソフィア様からはエアハルト世界についての知識を教えてもい、彼女から『不死』を恩恵として授かった。


老化以外の死を受け付けないレアスキルである。


ただし、病を患えば症状も悪化するし、毒を飲めばもがき苦しみ、体が傷つけば激痛は避けられない。


つまり首を斬られても、死なないで苦しみ続けるのでは?


疑問を感じて質問すると、ソフィア様がコクコクと頷く。

そこで『治癒再生』のスキルも追加で貰うことになった。


しかし、スキルが発動するまでの一瞬、激痛に襲われることに変わりはないそうだ。


それから天界に建てられた巨大な倉庫に厳重に格納されている、バッカス様とフィオナ様から没収した兵器や武器の使用を許可された。


二柱の神から、「勝手にお蔵入りにするな」とクレームの声があがったためだ。


ただしエアハルト世界に混乱を引き起こすような武器の使用は固く禁じられている。


特に、地球の兵器に関してはソフィア様の許可が必要だが、大型兵器を使わなければ問題ないそうだ。


そして四柱の神との話し合いの結果、俺は十五歳の黒髪少年として転生が決まり、新しい体と旅装束一式を授かり、パラディール大陸の東端に位置するベルトラン王国へ送り出されたのだった。




◇◆◇◆◇ ――月日は流れ、転生してから三年後――



ベルトラン王国の南に位置するバリストン辺境伯領。

その最南端に位置する小さな街、カナンの料理屋に俺はいた。


同じテーブルで、朝食を囲む仲間達。


真正面で微笑んでいるベルフィは、爽やか銀髪イケメンの彼は、賢者を目指す魔法士だ。

頭の回転も早く、知恵者だが、少し性格が捻くれてる。


「やはり、朝のデザートは果実だよね」


「元気の源は肉に決まってるわよ!」


左隣で、必死に腸詰め肉を頬張っているのは、女戦士のアレッサ。

容姿は整っていて、性格も素直、熱血で思い込みが激しい一面がある。

お人好しの赤髪美少女だ。


「朝食といえば、卵料理一択よ」


右隣りで、ニコニコと笑いながら、俺のふわふわ卵を狙っているのは、金髪ツインテールのルディ。

目端が利き、俊敏で活発。

感情表現が豊かで、いつも楽しそうな彼女は、凄腕の情報屋でもある。


ちなみに転生してからは俺はノアと名乗っている。


なぜか三人に指名され、『不死の翼』のリーダーを務めているのだ。

パーティ名の由来は、俺が元の名が翼で、不死だから。


もちろん三人は俺が転生者であることを知らない。

仲間には適当に名前をつけたと言ってある。


「満腹にもなったことだし、大森林に行こうか」


食事を食べ終わった俺達は、テーブルの上に代金を置いて、颯爽と店の外へ向かう。


カナンの南には『ニューミナス大森林』と呼ばれる、原初の森が南西へと広がっていた。


その未開の大森林には多くの古代遺跡が眠っているという伝承があり、未だに魔族の眷属や、亜人達、ドラゴンなどの屈強な魔獣が生息していると言われている。


街の近郊に出没する魔獣達を殲滅するだけに留まっていたベルトラン王国も、十年前に野心溢れるリヴェロス王太子の命により、『ニューミナス大森林』の開拓に着手した。


その結果、カナンに王国中から多くの冒険者達が集まり、大森林への玄関口として 重要拠点となっている。


四人で大通りを歩いていると、ルディが前に進んで、クルっと後ろを振り返る。


「今日はラッカに向かうんでしょ。今日は右回りにする? アグリオスの群れが出たってさ」


その名を聞いて、俺はゲッソリした表情を浮かべた。


ルディのことだから、冒険者から最新の情報を得てきたのだろう。

できれば聞きたくなかった。


アグリオスはボア系の魔獣で、口から鋭い牙が二本と、頭に凶悪な角があり、二メートルを超える巨体にも関わらず、俊敏な動きで獲物を追いかけまわすので厄介だ。


まだ冒険者として半人前の頃、逃げ遅れて何回か殺されたことがある。


奴等、護身用に持ってる拳銃を撃っても、なかなか死なないんだよな。


「アグリオスの肉って、めちゃ美味しいのよね。ガンガン狩って、今日は肉祭りだわ」


「ノアなら、うっかり殺されても死なないから。気軽にやろう」


アレッサは単純だから食べるで、頭の中が肉で一杯なのはわかる。

ベルフィも他人事だと思って、サラッと言うな。


街の外壁で警備兵に片手で合図を送り、大門を潜る。

カナンでは顔見知りの冒険者はフリーパスなのだ。


南へと続く街道は、一キロほど先で大森林の中を通り、 開拓村ラッカへと至る。

カナンからラッカまでは約十五キロ。


この距離が、先の十年で冒険者が頻繁に魔獣狩りを行ってきたエリアである。


その中でもカナン周辺と、この街道沿いは比較的にリスクが低く、E、Dランクの冒険者は、凶悪な魔獣との遭遇を避け、ここで狩りを行うことが多い。


原初の大森林には、それだけ強力な魔獣が闊歩しているのだ。


通常の街では、最底辺のGランクから冒険者登録されるが、カナンの街では、Eからのスタートとなる。

その背景には、凶悪な魔獣を狩る気概と実力のない者は、この地から去れという暗黙の意図が隠されていた。


被害者を出さないための冒険者ギルドの措置だが、それでも年間に多数の死傷者が出ているのが現状だ。


「アグリオスの情報があった場所はこっちよ!」


街道を避け、ルディが指差す方向へ、俺達四人は獣道を通って原生林の奥へと入っていく。


この三年間で、カナンの冒険者パーティの中でも五本の指に入ると噂される、『不死の翼』の実力を発揮するために。


さあ、今日は魔獣を狩りまくるぞ!

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