本を食べる
ここ最近の私は世間でいうニートで仕事をしていない。
この会社合わないなと思い、辞めたのだ。
人間関係も、仕事内容も、シフトも、何もかも、そう全てが私に合わなかったのだ。
限界だったんだ、多分。
辞めて正解だったんだ、多分。
次働く会社はきっと最高に良いところだ、多分。
辞めたことを後悔したくなくて、私は色々と言い訳を探しては自分を納得させるを繰り返している。
幸い、仕事がなくても実家暮らしの私は困ることが少なかった。
唯一の悩みは、父・母に心配させたくなくて仕事を辞めたことを言えずにいることだった。
明日言おう、明日言おうとズルズルしてしまっている。
私はいつもと同じスーツを着て、いつもと同じ時間に家を出る。
行く場所はもちろん会社ではなく、実家と会社から少し離れた図書館。
図書館は休館日がある。
私は3つの図書館を時間曜日ランダムに利用することにした。
同じ時間、同じ曜日、同じ図書館を利用していてはニートだとバレてしまうと考えたからだ。
図書館はとても居心地がよかった。
本は好きだったのに、社会人になってからは全く読まなくなった。なぜだろう?
何を読もうか迷って、最初は自己啓発の本をたらふく読んだ。
私に足りないものは何だったのかを知りたくて。
足りないものはコミュ力と我慢だったのかもしれない。
本を読む前からわかっていたのに、わからないふりをしていた。私が私を保てない気がして。
人と関わるのが苦手で人と合わせるのが苦手で。
でも、それが私で。私は私でいたくて。
本を読んで私は別人になっていく…。
この世界とも少しの間さよならできる。
私は今日、冒険に行く。
明日は、タイムスリップして過去に行って。
明後日は、近未来のAIのロボットに生まれ変わって。
その次は…
私は本を食べるように読んだ。
することがなかったから。ニートだから。
本を食べるように読んでも何も変わらない。
食べ物のように私の血となり肉となるわけではない。
けど、本を読んで私は良かった。
私の中で本は知識になった。
勇気になった。
力になった。
もう大丈夫。うん。
本は私の助けになった。
家に帰って、父・母に言った。
「実は3ヶ月前から仕事辞めてて。でも最近、好きなものを見つけたんだ。今から私、チャレンジしたいんだ!」
本は私の中でちゃんと栄養になったみたいだ。
本は私の中で生きている。