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第5話『ピクシードラゴンの隠しごと』

希ノ無です。

2月入って、投稿頻度スピードアップしたいですが、中々書くのが難しくて、頑張って続き書いていきたいです。

マルが町づくりのために土人族を仲間にしに旅に出てしまってから、ピクシードラゴンは、何とかこの場から離れたいと思っていた。妖精鬼達は私に良くしてくれるのだが、神として崇める信仰心の高さの性か、私の一挙手一投足をずっと見つめてくるのだ。

もし…私がピクシードラゴンの仲間の所に帰りたいなど言えば、妖精竜王様の親族にお目通をなんて言われかねない。

どうしたものかと考えながら数日を簡易的な寝床らしき場所で寝て過ごしてしまっている。


妖精鬼の長老は、ソワソワと周りを気にして様子を伺うピクシードラゴンを見ていた。

きっと妖精龍王様は退屈なのだ。何か催し物を開催せねば!


『お前たち、宴会の準備じゃ』


『はっ!長老かしこまりましたっ!』


ピクシードラゴンを囲んでの酒盛りが始まり、更に険しい表情で大きな葉っぱで四方を囲んだ簡易的な寝床妖精龍王スペースで周りを忙しなく確認している始末


妖精鬼達は、酒の一気飲みチャレンジを始める、ピクシードラゴンはピクリとも動かずに視線だけでその行動を一瞥して、目を伏せてしまった。


目を閉じて心配事について思案していると、先程まで騒がしかった周りの喧騒が静まり返っている事に気付いた。

妖精鬼達は疲れ果てたのか酒に酔ったのか、皆スヤスヤと寝息を立てている。

ピクシードラゴンはこれ幸いと急ぎ飛び立つ。

ピクシードラゴンが飛び去ると、妖精鬼の長老が目を開き、小さく言葉を呟いた。


『妖精龍王様、お戻り頂けるのを我らは心から願っておりまする』


ピクシードラゴンには、可愛い弟と妹がいた、朧げな前世の記憶で見た家族の姿以上に、私の家族は彼らだけ、母ドラゴンは数匹のピクシードラゴンと私達を逃す為に命を落とした。母が救ってくれた命と兄弟や仲間は必ず守る。

ピクシードラゴンの長老だけが特異なスキルを継承し、木の中に異空間を生み出す事ができる。そこはピクシードラゴンの棲家である。

ピクシードラゴン達だけが、その異空間の場所を嗅ぎ分けられ、彼らは人間に見つからない様に棲家を転々と変えていく。

そんなに遠くじゃない所に、新たな棲家が作られている事に気付き、急いで飛んでいく。

棲家から飛び出して私の方に飛んでくる2匹の小さなピクシードラゴン達が見えた。


『姉ちゃん』


『姉様』


『ごめんね…本当に』


外は危険な場所であり、外に出る役目は私だけの仕事と決めていた、兵士竜のおじさんは長老を守る為に少しの時間や近い距離しか出れない事を考えたら、私しかこの役目は出来ないのだと思っていたけど、こんなに長い期間戻れなかったのは初めてだった。食料集めや、妹竜への花飾りのお土産とか、全て失い身体一つだけで申し訳ない気持ちと再会できた嬉しさで、私は、棲家から飛び出した弟妹達を叱る事も忘れ2匹の兄弟竜とホバリングしながら抱き合う。


『さぁ、棲家に…まずは入りましょう』


棲家には、ピクシードラゴンの長老竜と、兵士竜が静かに佇み、ホッとした顔で、私たちの帰りを喜んでくれていた。

これまでにあったこと、人族に追われて逃げ惑っていたこと、捕まる間際出会ったスライムのこと、妖精鬼の村に一時的に滞在していたこと、妖精龍王については黙っておいた。


『姉ちゃん、自分も外に食料探す役目させてくれよ』


『駄目、貴方達はママが救ってくれたかけがえのない命』


『それは姉ちゃんだって同じだ』


2人の心配そうな不安そうな顔に、ずっと側にいたいと思った。

マルが戻って来たら、一緒に町に住まわせて貰えないかな?帰ってきたら聞いてみよう。マルは人間みたいな考え方をするスライムさんだから、きっと大丈夫


『姉ちゃん、自分たちだって、強くなるから』


『あなた達は弱いから、きっと外の世界では簡単に殺されちゃうよ…。ごめんね』


長老竜が口を開き、言葉をポツリポツリと話し始める。


『ワシらはお前さんに頼り過ぎた。お前さんが長い期間戻らない中、ワシらも努力する必要を感じていたのだ、外の世界で他のドラゴンの餌になろうとも外で生きるべきではなかろうかと思っておる』


ドラゴンや竜と呼ばれる種族は特異な能力に恵まれ、腕力や膂力、他の種族より強い者が多い中で、ピクシードラゴンは特異なスキル以外は、最弱種、ドラゴンの餌とまで言われているぐらい弱い存在である。


『私は、貴方達に死んでほしくない…だから、もう少し時間が欲しい。私を信じて』


スライムの姿を頭に思い浮かべ、ある事を思い出す。『名付け』スキルを使えば…皆を強く出来るかも知れない。

この世界においての大前提は

魔物は戦って強くなる。名前があるだけで強くはなれない。そんな常識を覆す話をマルは言った。そして、今、私は、そんな常識外れのスキルを得た事を思いだす。色々あり過ぎて、すっかり忘れていた。でも…このスキルの効果をまだ実感していない現状に一抹の不安がよぎる。でも挑戦してみる価値はあるはず…。


『簡単に強くなれるなんて思ってないんだ』


優しい子だ、自分の力の無さをしっかり理解出来ている、『名付け』スキルで名前をつけてあげれば、皆に力を与えられるかもしれない…多分。


『簡単に強くしてあげられるかも知れない…効果は、うん…すぐには無理かも知れないけど、私を信じてくれる?』


『姉ちゃんのスキル…?』


『私、信じる。』


『何を言っておるのじゃ』


『おいおい、そんな上手い話がだがな…』


驚き、口々に言葉を吐き出すピクシードラゴン達は、決心した真っ直ぐな瞳に見つめられると、そっと静かに、次の言葉を待っている。


『うん、私のスキル…と言うより、友達になったスライムと作ったスキルだね』


詳しい説明は私もあまり理解出来てなくて、ボヤッとした前世の記憶がハッキリしてれば上手く言えそうな気がするけど、正直…上手く言えない気がしたから、何も言わずに『名付け』スキルを発動する。


私は気持ちを込めて名前を頭の中で考えていく、名前が決まったら、その名前を心の中でも口に出しても良い。決めた!と言う気持ちがあれば名付けは成功した。マルの時はそうだった。


可愛い弟、私の為に戦いに身をおこうと頑張ろうとする、向こう見ずで猪突猛進気味なのが駄目なところだけど、やんちゃ坊主で目を離せない可愛い愛すべき弟、貴方の名前はキドラね。


可愛い妹、甘えん坊だけど、我儘を言わず私の花飾りをいつも嬉しそうに受け取り付けてくれる、姉様姉様と私を慕ってくれる可愛い妹、貴方にはどんな名前が似合うだろう、朧げな記憶に、ピンク色の花を咲かせる木が思い浮かぶ、あの木の名前は、懐かしい名前…そう、さ…く…ら…桜。

貴方の名前は、さくら


長老竜は、私たちの棲家が襲われた後、人族に負わされた傷で弱っているのにも関わらず、結界を張り、私たちの成長をずっと見守ってくれた。火魔法が得意で私の使える魔法の中でも火魔法が得意になったのは長老竜のおかげ、火に関する名前が良いかな?フレイム…フレイ…フレイザなんてどうだろう?

フレイザにしよう。


兵士竜は、長老竜に支え守る事だけが使命のはずなのに、私たちの事もとても大切にしてくれている。水魔法が得意なドラゴンってのは中々居ないんだ凄いだろ?が口癖で、私が獲物を狩りに行けない日は、よく獲物を半日で私の数倍量を狩ってきていた。私が外の世界に出たいと言った際にも、私は何度もボコられて負け続けたけど、そのおかげで私は強くなれて、戦闘スキルは戦いの中でしか掴めないって事を教えてくれた大事なお父さんみたいな存在、朧げな記憶の中にある父親らしき男性も私の事を凄く心配してくれる優しい人だったと思うんだ。

貴方の名前は、ダディア

お父さんみたいな名前が良いなって思ったし、呼びたいって思える名前に決めた。


『ダディア、それが俺の名前?…名前に何の意味が…うん?』


『フレイザとな…、ほぉあ…ワシの体の傷が癒えている』


『姉ちゃん何したんだ?キドラってなんだ?』


『さくら、なんか、可愛いね、姉様』


『名付け』スキルを使ったら、長老竜の身体の傷がたちまち消えてしまった。それ以外は何の変化も感じられない、スライムのマルも…名付け後に妖精鬼達に追われたから、強くなってたのか?有耶無耶にしちゃってたかも、帰って来たら、聞いてみなきゃ…。


『私、妖精鬼達を放ったらかしにして、ここに来てしまってて、貴方達を匿って貰えるか?聞きに戻るね、すぐに戻るから』


『まっ、待つのじゃ…』


『……。』


『姉…ちゃん』


『ねえっさま…。』


『名付け』スキルによって、4体のピクシードラゴン達の身体に起きた異変は彼らを眠りに誘う。

薄れゆく意識の中、光の中に飲み込まれて行く彼らは、一体のピクシードラゴンへの溢れんばかりの優しい気持ちを胸に、力の奔流へと身体を預けていった。


その頃、マルは砂漠地帯を進んでいた。

3頭のおかっぱヘアーな髪型の蜥蜴もどき、サンドアリゲイタと呼ばれる大人しい魔獣に乗って砂漠地帯を移動するのはとても快適だった、おじいさんのお膝元に配置されたマルは、美少女のお膝元が良かったなぁなんて考えながら、埋もれた洞窟地帯へと、かなりハイスピードな移動速度で到着できた。


『なんだい?この辺りに洞窟なんて、あったかい?』


『昔あった洞窟地帯だな、だが埋もれて、土人族の技術では掘り出せないって事で放置されてたはずだが、こりゃ一体…』


『自分、掘った、駄目?だった?』


土人族達の顔が可愛い小動物を優しく見つめる眼差しに一瞬変わったのち、真顔に戻る。


『マル殿、洞窟内には鉱石などは』


『あった。色々、沢山、町作り、使いたい』


『くぅ〜、鍛治師として腕が鳴るぜぇ』


『ベルグ、あんた、もう戦士の心は無いんだね』


アバロンとベルグの夫婦漫才を聞きながら、砂漠地帯を抜け、森の端に辿り着く、森に進む様に足で腹を軽く蹴り促してもサンドアリゲイタは森に入るのを怖がっている。


『マル殿、サンドアリゲイタは砂漠に住む魔獣、森の主を恐れている様ですじゃ』


『森、妖精鬼、ピクシードラゴン、歩こう』


コミュニケーション不得手で人付き合い難しいとは言え、何故だか緊張して片言になってしまう。

サンドアリゲイタ達にはこの辺りに待機させる事にして、ドラディガ、アバロン、ベルグとマルだけで森に入る事にした。


歩きだと、行きよりも時間がかかってしまったのだが、行きに寄り道する事になった特殊な薬草が自生する開けた岩場に辿り着くや否や、アバロンが叫んで走り出す。


『ひやぁああ、なんなんだい、この場所、希少ってもんじゃないさ、この薬草地帯、寄り道していかないかい?』


興奮して周りが見えなくなっているアバロンの姿が一瞬で消えてしまった事に、頭が追いつかない、実際は消えたのではなく、巨大な前足がアバロンを地面に押さえつけていた。


『アバロン…くっ。こいつは…魔獣なのか?』


マルは行きに出会った魔獣の事を思い出していた、ベヒモスっぽい身体の魔獣、少し色合いが濃く見える、白い頭髪は頭から背中にかけて、モヒカンの様に一直線に生えている。真っ赤に血走った瞳にはスライムの姿が映っていた、恐れているのだマルの存在を、アバロンは未だ魔獣の足元で地面に押し付けられ気を失っている。


『助ける、自分、戦う』






特に無し

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