23 ありがとう
「帰りも唐突だな。」
王様が苦笑しているのがわかる。
「あぁ。
もうわかっているだろうけど、俺は神様なんかじゃない。
たまたま、この世界に紛れ込んだ人間だ。
だから、なるべく早く、帰れるうちに帰りたいんだ。」
「帰り方はわかっているのか?」
「あ~、まぁ前にもこんなことがあってね。その時の方法を試してみるよ。」
「そうか。
・・・今回のこと、ありがたかった。
感謝している。
息子とも色々話してみようと思う。」
「それは何よりだ。じゃあ、最後にもう少し体を貸してもらう。
それを俺へのお礼としてもらおうか。」
「それは構わぬが・・・」
「先に謝っておく。
少し痛いけど許せ!」
「いや、何を・・・」
慌てる王様を華麗にスルー。
シルフィーの頭に手を当てて、妹の意識を呼び込む。
「帰るぞ。」
「わかったよ。」
「だから、アレやるぞ!」
「やっぱりアレやるしかないよね・・・」
妹も帰る方法はアレだと思っていた様だ。
ヤレヤレ
最後にランディー達に声をかけた。
「いつまでも王様の体を借りたままって訳にはいかないから、これで俺たちは帰るよ。」
「そうなんですか・・・」
「2人が仲直りできてよかったよ。
もし何かがあったら、また2人で話し合って、前に進んで行ってくれ。」
「「はい!」」
「王様もぜひ相談してほしいと言っていたから、遠慮なく色々話してみるといい。」
そう言いながら、俺はランディーの前にひざまずいた。
「えっ」
「何を」
驚く2人の前で、俺は両手を床についた。
そして
「今回のこと、すいませんでした!!」
頭を床にぶつけた。
つまり
土下座だ。
ゴツン!!
あ~、意識がとんでいく・・・
遠ざかっていく意識の向こうから
「あいたたた!
王である私が何という姿をさせられてしまったのか!
でもまあ、神様・・・ありがとう。
」
そんな声が聞こえてきた気がした。
【完結】兄妹そろって断罪中のヒロインの中に入ってしまったのだが
【完結】ざまあ、してみたかった
【完結】ざまあ、してみたかったな2
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