21 申し訳ありませんでした
「さて。これでこちらの話はお終いだ。
後はそっちだな。」
エミリアの方を向く。
「何の話でしょうか?」
「エミリアはどう思ったんだ?
ランディーを失うかもって時さ。」
「・・・話さなければなりませんか?」
「強制はしないよ。ただ、言葉に出さないと伝わらない想いはあると思う。」
ため息をつくと、エミリアはランディーの方を向いた。
そして、目を見ながらはっきりとした声で話し出した。
「嫉妬しました、物凄く。
とっても嫌な気分になりました、物凄く。
こんな思いを味わい続けたら心が壊れてしまうと思い、婚約破棄をお願いするぐらい、本当に、本当に、本当に、最高に嫌な気分でした。」
「ごめん・・・」
「よいのです。ランディー様は悪くなかったのですから。ねぇ、神様?」
エミリアの笑顔がメチャクチャ怖い。
「はい。悪かったのは私です。
申し訳ありませんでした。」
オカシイ。
ホントハオレナニモワルクナイニ。
ゲセヌ。
でもまあ、しょうがないか。
「ランディーはどんな気持ちだったんだ?」
「私はエミリアを愛しています。ずっと昔から。だから、その気持ちを疑われ、本当に困っていました。」
そう。
ランディーのエミリアへの想いが揺れていないことはわかっていた。
この世界に来る前に妹が言っていた事。
どの選択肢を選んでも王太子の好感度が上がらないんだよ。バグかな?
つまり、エミリアのことが好きすぎて、ヒロインが何かしても全く気持ちが動かなかったって事だろう。
それって乙女ゲームの攻略対象者としては、きっとありえないことのはずだ。
理想の王太子
そして、エミリアにとっての理想の婚約者、理想の恋人だ。
迷惑をかけたなぁと思う。
だから、俺はシルフィーを自分の横に呼んだ。
妹は素直に俺の横に来た。
そして2人で並んで謝った。
「申し訳ありませんでした。」
【完結】兄妹そろって断罪中のヒロインの中に入ってしまったのだが
【完結】ざまあ、してみたかった
【完結】ざまあ、してみたかったな2
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