13 さあ、実験を始めようか
程なくして王の前に現れたシルフィーは可哀想になるほど青ざめていた。
まあ、それはそうだろう。
授業を受けていたら、内容も聞かされず、いきなり王宮に呼ばれたのだから。
また、もう1人呼ばれたライアンは王太子の横に控えている。
さあ、必要なメンバーはそろった。
「父上、何を始めるつもりですか?」
ランディーが声をあげた。
「なあに。簡単な実験をするだけだ。
・・・シルフィー嬢。」
「はっ、はい!」
「息子と・・・ランディーと握手をしてはくれまいか?」
「「「「はい?」」」」
この場にいる俺以外の全ての人が驚きの声をあげた。
「父上、いったい何を・・・」
「まあ、とりあえずやってみようではないか。」
俺はシルフィーに近づき、頭に手を置いた。
小さな声で声をかける。
「そんなに緊張しなくて大丈夫。」
「えっ、いや・・・」
その瞬間
妹の意識がシルフィーに移動したのがわかった。
「うまくいったみたいだな。」
「うん。」
「違う体に移っても、心の中で会話ができるのか。好都合だな。」
「お兄ちゃん、これから何するつもりなの?」
「秘密だ。」
「え~」
「大丈夫、うまくやるさ。」
アトデチョットコワイオモイヲサセルカモシレナイケドナ
「では、役割を決める。エミリア嬢はわしと一緒に見物じゃ。決してランディーたちから目を離すでないぞ。」
「・・・はい。」
色々納得がいかないようだが、王命なので従わざるを得ないのだろう。
「ランディーはここで握手の姿勢で待て。」
「・・・はい。」
こちらも訝しげな表情。
だが気にしない。
シルフィーの手を取り歩き出す。
ランディーから20歩くらい離れた場所に連れてきた。
かなりの距離離れたといえるだろう。
「お兄ちゃ・・・、じゃなくて、王様?
一体何を?」
「シルフィー嬢。お主は合図があったらここから歩いて行ってランディーと握手をするのだ。」
「え~と、はい。」
「お兄ちゃん、どういうこと?」
妹が心の中で声をかけてきた。
「秘密だ。」
「お兄ちゃ~~~~ん!!!」
妹が非難の声をあげたが無視。
ダッテソノホウガオモシロソウダシ
マイドマイドマキコマレテイルコッチノコトモカンガエロッテモノヨ
ククク
「まあ、可愛い妹だからからかってしまう兄心ってことだ。」
「意味不明だよ~~!」
さて、続けようか。
「そして、ライアン。」
「はっ!」
「シルフィー嬢がランディーに握手するのを阻止してみよ。」
「「「「はっ?」」」」
「王前だが抜刀しても構わん。ただし、誰にも怪我はさせない様にだ。」
「ちょっとお兄ちゃん!」
「何だ?」
「何だじゃないよ。どういうこ・・・」
「怪我させない様に頼んだから大丈夫だ♪」
「大丈夫じゃないよ!」
トウゼンノヨウニムシヲスルオレ
「さあ、実験を始めようか。」
【完結】兄妹そろって断罪中のヒロインの中に入ってしまったのだが
【完結】ざまあ、してみたかったな
【完結】ざまあ、してみたかったな2
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