1 またかよ・・・
「嘘だろ・・・」
痛む頭を押さえながら、俺はデジャブを感じていた。
目の前で、またしても美男美女の激しい話し合いが行われている。
服装は現代日本ではありえないような、煌びやかなもの。
そして・・・・
「きゃ~、またゲームの世界にはいっちゃった!」と喜ぶ声。
「頭の中で急に声が!? そなた達は誰じゃ?」
なんて声も聞こえてくる。
またしても・・・かよ!
なんだ、このカオス。
俺はこんな事になってしまう前の
ことを、思い出そうとした。
「ねえ、お兄ちゃん!」
「何だ?」
「乙女ゲームの攻略が進まないの。」
「へぇ。」
「へぇって。全然聞く気がないよね?」
「あぁ。全然ない。」
「好感度が上がらないんだよ。」
「俺からお前への?そりゃ上がらんだろ。」
「違うよ? ゲームの話だよ?
お兄ちゃんから私への好感度が上がらないのは、もうステータスMAXだからだよね。」
「何、そのポジティブシンキング!?」
「でね・・・どの選択肢を選んでも王太子の好感度が上がらないんだよ。バグかな?」
「ヒロインに魅力がないだけじゃないか?」
「ひっどーい! ヒロイン、可愛いんだよ。例えば・・・あっ?」
何もないところで妹が転ぶ。
「バカ、お前・・・」
前もあったぞ、これ。
思わず手を伸ばして、俺もバランスを崩し・・・
そして、2人で転倒した。
ゴツンと頭を打ち、意識がとびそうになる。
まさかまた・・・
嫌な予感と共に、意識をとばし、
・・・また、乙女ゲームの世界に入ってしまった。




