荒野の決闘
難民いきなり受け入れても問題が起こるだけだと思うんですよね。
自活できる難民でないと受け入れても社会が貧困になり排斥運動が起きます。
ファンタジー世界の難民なら山で獣狩って野草を売って自活出来ますよ。
獣は兎も角野草って2020年でも結構高値で売れます。
リサ姫は1月3日宿屋を引き払うと800名の流民と荒野に出て移動しながら食料調達していた。
「猪と鹿の肉を手に入れました。3日ぶりの食料にありつけるぞ」と大喜びする流民。
「近隣の森から薪を調達しろ。鹿と猪は火を熾さないと食べれないからな」
流民達は熊を倒して毛皮を手に入れると近隣の領地に売りに行き食料と交換してくるのだ。
「この辺に山賊の砦があるらしいです。奴らの縄張りで狩りをすると怒られるので移動しよう」
護衛に付いてきたシエルと邪神教徒の部下は一応領主には話を付けておいたようだ。
だが山賊に襲われたらどうなるか分からないので、とりあえず移動するがリサ伯爵領の隣にあるシエル伯爵領に入ると水着職人を味方につけたリサ伯爵領の部下達は大歓迎されるのだ。
「伝説の水着職人が世界を救って以降水着職人が尊敬されているんですよ。流民の皆さんにはリサ伯爵領に入っても自活出来るように、猛獣狩りによる資金稼ぎを担当していただきます」
シエルが国内で増えすぎた猪を1頭5ディルスで買う事を宣言したので流民はやる気が出るのだ。
因みに先にリサ伯爵領に向かわせた奴隷達は、北の荒野を開拓する事を条件に奴隷から解放された。
奴隷に自活は無理なので特に希望がなければ農奴として荒野に土着して農業をしてもらう。
「シエル様って本当にあの邪神教徒の最高司祭なんですか?物凄く良い人じゃないですか?」
シエルの正体を知る流民は口々に言うが、取り合えず好意に甘えて野獣狩りで金品を蓄えよう。
「おいシエル様。俺は早速スク水を作りたいんだが。俺は志願奴隷だ。好きなように振舞うからな」
真一は取り合えず奴隷から解放されてリサ伯爵領にスク水工房を作れる事になった。
「勿論ですよ。エルザス帝国に水着職人を大事にしない奴はいません。初代は王都で工房開いてますので弟子入りしたいなら私が推薦状を書きますが、話だけは聞いてくれる人ですから」
一応水着職人と邪神教徒は宿敵なのだが何故か水着職人アーリスはシエルと仲が良かった。
「あんた水着職人の宿敵なんだろ?何でアーリス様と仲が良いんだよ?」と真一は聞く。
「そりゃ最初は仲が悪かったですよ?アンドリュー様を説得する為に3年かかって和平しました」
「そうか。写真撮っても良いか?工房の軍資金集めにリサ姫の写真を1枚1ディルスで売る」
写真の即売会なら直ぐにでも軍資金を集められるが、リサ姫ファンクラブを組織しないとな。
「ふふっ。子供用のスク水は作った事がないんだ。16歳位のスク水専門だったからな」
その時シエルの部下がやってきて報告したのだ。
「大変です。山賊が300騎シエル伯爵領に攻め込んできました。荒野の町グラッタンが・・・」
「陥落したの?部下27人で直ぐに奪還に向かう。真一はどうするのですか?」
「俺も行きたいが馬には乗れないんだ。地球って遊牧民と軍隊と競馬の選手位しか乗る人が」
それでもシエルは真一の為に馬車を用意してくれたがこの馬車でグラッタンを奪回しに行くが。
「徹底抗戦するみたいですね。シエル様。28騎で300騎には勝てないと思いますが」
「アンドリュー様。ここで神の奇跡を見せれば信者増えますよ?聞こえてるんでしょう?」
「何故俺が異教徒の為に助けてやらねばならないのだ?」と天から声がする。
「信者を増やす為です。ついでにリサ姫の民にパンを降らせてください。喜びますよ」
「まあ良いだろう。金縛りの術を敵兵にかけるから突撃して全員捕虜にしろ」
アンドリューが雷を落とすとグラッタンの全ての兵は石に変えられてしまったので縛りあげる。
そして歓喜の声で神に感謝するグラッタンの2千名の民がそこにいたのだ。
「あのう。シエル様。俺邪神教徒に改宗しても良いですか?あんたらが悪人だとは思えん」
「パン降らしてくれたおかげで今日の食費が助かりました。入信いたします」
この戦いにより邪神教徒の信者は一気に50名増えたのだが、一応入信の儀式する為にコーヒー買わんといけないので、ネオガーディア帝国の商人に買い付けに行かないといけないが。
「入信の儀式にコーヒーが必要なのよ。ネオガーディア帝国でしかコーヒー作っていないから」
シエル伯爵領の主産業は米と銀鉱山の収入であるのでコーヒーは作っていないのだ。
「別に紅茶で代用しても良いぞ?別に細かい事にはこだわらないがしきたりは守れよ」
アンドリューも折角入信してくれると言う信者に細かい事を言って拒絶する訳にも行かない。
「ではそう言う訳で。細かい儀式はいらない。コーヒーを飲んで邪神教徒に入信を誓え」
これ紅茶だよなと思いながらコーヒー(の代用品)を飲んで邪神教徒に入信を誓ったのだ。
「アンドリュー様の神力の源は酒なのよ。私は酒飲めないけど11年ぶりの信者だから」
邪神教徒が宇宙制服戦争に敗れて以来信者は減る一方で増えなかったので単純に嬉しいのだ。
「小麦から作った酒を振舞いなさい。神の力が増せば食料位はどうとでもなるよ?」と言うのだ。
「おっ。邪神教徒の宴会か?邪神教徒は嫌いだが、シエル様だけは悪人だとは思えん」
「アンドリュー様を説得して味方につけるんだろ?異教徒の酒でも神力になるのか?」
狩りから戻ってきた流民達は邪神教徒の宴に参加して酒を飲み始めたがアンドリュー様も悪人には。
「邪神教徒は信者を求めているよ?今なら寿命20年アップと美形とパンを保証するよ?」
「そんな大サービスで信者募集してるんですか?俺も入信したいな。掛け持ち信者で良いか?」
「どうする?アンドリュー様?」とシエルが天に向かって独り言を言う。
「別にそれでも良いぞ。うちは弱小教団なんだ。お布施は月1ディルスと教団のグッツ購入の義務」
「高いぜ。どうせ高額なツボとか購入させる気なんだろ?俺達貧乏人なんだよ?信者増やしたければ経済面でサポートしてくれよ。パンを降らせてくれるのとか実は物凄く有り難いんだ」
「出せない者にお布施は強要しないが月会費だけは納めてくれないと教団の財政が維持出来ぬ」
「この貧乏教団。分かった。親愛なるシエル様に免じて信者になるよ。隠れ信徒で良いんだよな」
取り敢えず狩りの獲物を売って財産を得ると食事はアンドリュー様に降らせてもらい急場をしのぐ。
取り合えずグラッタンの乱の平定による余波で邪神教徒の信者は80名増えたのである。
1月4日狩りの獲物を狩りつくした流民達は、山岳や森で野草を採取して領地で売っていたのだ。
取り敢えず食料はアンドリュー様の加護に任せて財力を手に入れる構図が出来上がる。
「20ディルス手に入りました。リサ伯爵領で職を探したいのですが入国しても良いですか?」
財力を身に着けて自身をもった流民がリサ伯爵領への入国を希望したが、相場15ディルス位だ。
リサ伯爵領はそんなに豊かな伯爵領でもないのでシエル伯爵領でお金儲けしてた方が。
「貧乏でも俺達は安定した給料が欲しい。シエル様には世話になったがそれでもリサ姫に」
邪神教徒は思っていたよりはるかに話の分かる宗教なので布教位は大目に見る事にしようと思う。
「シエル様の恩は忘れない。獣が増えたらまたバイトに来て良いか?」と聞く流民達であるが。
「歓迎する。信者になった者には邪神教徒から土地が与えられる。良かったらうちに来て欲しい」
しかし思うが真一は良い男だよなぁと思うシエルであったが、水着職人と第二王女では釣り合わないだろうから、諦めるしかないだろうなぁと思う。
「アルル。お金が貯まったらまた奴隷を買い付けにくる。高い事は言わないでよ?それと」と言う。
「真一さんには3万ゴールドも支払ったんだからスク水職人として働いてもらうよ」
この戦乱の時代にスク水が売れるとも思えないが、何とか領地に広めようと思ったのだ。
リサ伯爵領はリサ市と荒野の街フォートレス村と海岸の人口100人の漁村があるのだ。
「この金でボートを買えば漁村で食料調達出来るんじゃないのか?」と言う物もいるが。
「私は美少女だから宿屋の売り子として雇ってもらうよ。目指せ玉の輿婚」
いきなり受け入れると混乱が起きるので取り合えず300名入国させたら漁村が400名に増えた。
考える事は皆同じである。
どう考えても人口流入で食料事情が悪くなるであろうリサ市で魚を売って生計を立てようと言うのだ。
「俺達何時までシエル様の厄介になれば良いんですか?シエル領の獲物は底を尽きました」
アンドリューのパンによって飢える心配はないが、それでも食料事情は悪くなるだろうと思う。
「難民を受け入れると職が奪われるのよ。あんたらフォートレス村の開拓地に行く気はないよね?」
「ありません。解放されたとはいえ奴隷と一般市民で仲良く出来る訳がない」
どうしても上から目線で見るだろうし、ご主人様と下僕なら兎も角友人としては心を開かない。
「俺達盗賊ギルド作って良いですか?いえ誓って盗みは致しません。みかじめ料が欲しいだけで」
リサ伯爵領4400人からみかじめ料を1人1ディルス取ったら月4400ゴールドの収入だ。
盗賊ギルドは儲かるだろうと思われるし、それだけ儲かれば雑貨屋で儲ける事も出来るだろう。
「許可するよ。でもみかじめ料には税金がかかるのよ?収入の半分は持っていくよ?」
商人から税金をふんだくれば大儲けだが取り合えず将来の為に部下を増やしておこうかなぁ。
「100名は私の部下として兵士に任命するわ。給料はそんなには出せないけど食べ物は保証する」
これでリサ伯爵領の人口は4500名であるが、取り合えず残りの400名も受け入れたのだ。
リサ市が4000名で、漁村が400名でフォートレス村が500名だが兵は120名である。
「じゃリサ市には邪神教徒の大神殿を建設するけど良いですか?兎に角雇用を確保しないと」
リサは許可したが、厄介になったシエルに礼を言うとお土産の食料を持たされて領地を旅立つ。
そしてシエルは増えた信者に奉仕活動をさせると神の力を増す為に酒の販売を始めたのだ。
伯爵の帰還の予定です。