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ハーレムエンドのその後で  作者: 雨森琥珀
番外編 黄樹と妻紅
56/78

7.転生者

この話は『色とりどりの世界』の15話から19話までとリンクしています。

本編のみ読んでいる方には少しわかりづらい部分があると思います。申し訳ありません。

本編で言えば11話にあたる話です。

 冬休みが終わってしばらくした頃、緑川が特定の女子とよく一緒にいるっていううわさが流れてきた。

 その女子はあたしの隣のクラスの茶色らしい。

 実際、休み時間や昼休みに緑川がわざわざ隣の教室まで迎えに来て、茶色の女子と一緒にどこかに行くのを何度も見かけた。

 今までこんなことなかったのにどうして?

 ……もしかして、あの茶色の女子あたしと同じ転生者なんじゃない?

 シナリオどおりやってるはずなのにうまくいかないのは、別の転生者が邪魔をしてるせいなんじゃないの?

 一度疑い始めたらとまらなかった。

 だって、あたしがどれだけ怖い思いをして頑張ってきたと思ってるの?

 それが他の人間が邪魔してるせいだったら許せない。

 だってこのままならあたしは確実に死んじゃうのよ?

 すぐ死ぬ茶色に生まれたあんたとは違うの。これは主人公のための物語なのよ。

 その思いのままに、昼休みに隣のクラスに飛び込んだ。

「シナリオどおりにやってるのにおかしいと思ってたのよ。毎日緑川がこのクラスに来てるのはわかってるのよ。いるんでしょ、この中にあたしの邪魔をしてるやつが!」

 見回しても同じような顔のない茶色しか見えない。

「あんたも転生者なの?でも残念だったわね。茶色なんかに生まれたんだから諦めなさいよ。モブごときが主人公の邪魔をしていいと思ってるの?さっさと出てきて殺されなさいよ!」

 邪魔をしている相手さえいなくなれば、シナリオも元に戻るはずだ。

 だけど、誰も自分が転生者だとは名乗り出てこない。

「ふふふ……出てこないのね。どれかわからないなら皆殺しにすればいいのよ。あたしの邪魔をするやつはみんな死になさいよ。ほら、殺しなさい今すぐに!」

 赤色の小鳥を呼び出して殺すように命令したのに、ピイピイと鳴くばかりで動こうとしない。

「あたしの使役獣なんだから命令どおりやりなさいよ!」

 なんでいつもみたいに殺さないの。いつだってあたしの言うことを聞いてたのになんで!

 もう一度命令しようとしたところで、赤い小鳥はふっと消えた。

「ちょっとどこ行ったの?なんなのなんで言うこと聞かないのよ!なにが悪いのおかしいじゃない。シナリオどおりやってるのになんで!死にたくない死にたくない死にたくない……」


 なんであたしばっかりこんな目にあわなきゃいけないの。

 あたしそんなに悪いことした?

 死にたくないって頑張ってるだけじゃない。なんでこんなにうまくいかないの。

 もう立っていられない。

 座り込んだあたしをいつの間にかやってきた黄樹が抱えあげて、あたしの教室まで運ぶ。

「もうやめなよ」

「……やめるって何を?どうすればやめられるっていうの?」

 もう何もわからない。

 誰か、誰か助けて。


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