表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/78

22.青柳司は認識する

 敬語をやめてほしいと言って数日。

 彼女の口数が極端に少ない。

 口を開いても、ぎこちなく話してすぐにとまってしまう。

 教室で他の群衆相手にしゃべっているときは楽しそうだから、自分相手にもそんな風になればいいと思ったのに。

 今日は目すら合わない。


 ……苛々する。


「そんなに嫌なら嫌って言えばいいのに」

 苛立ちのままに口にすれば、

「拒否権なんてあるの?」

 警戒心しかない視線に、やっと気づく。

「……そっか。俺が言うと命令になるのか」

 力が違いすぎる相手からの要求は、強制にしかならない。

 そんな単純なことにさえ、言われなければ気づけなかった。

「ごめん。敬語やめてほしいって言ったの取り消す。敬語でもため口でも、君のいいようにして」


 ――完全誓言をしてすらまだこんなに遠い。


「俺は君に命令はしないから。嫌なことは嫌って言って」

「……はあ。わかりました」

 彼女が首をかしげながら敬語で答える。


 忘れてはいけない。これが今の距離だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ