8 彼女と
「ぐすん。美月に『しっかりしいや! 』ってどやされたー」
やっぱどやされてるんか。
ちょっと親近感がわくな。
一緒に被害者の会作りません?
「先に園田に話してしもたけど,佐々木さんと神田がうまく行くようにと思て,しばらくまた4人で一緒に会う方向で考えてるんや。きっと,その方がうまく行くと思うし。どうやろ?」
「うん,私はそれでいい。ちょっと最近一緒にいても気づまりやし,4人の方が安心かな」
「二人きりやとお互いに身構えてしまうやろ?」
「うん」
「それに周りの目も気にせんなんし」
「うーん,それは美月が何とかしてくれるけど」
「園田にやらせると後が怖いし」
「えっ,別に頼んだからって,美月から恩に着せられたりしないよ」
「いや,佐々木さんやなくて,周りの女子のことが心配やし」
「ええ~,タカナリ君,私よりも周りの女子の味方するん?」
「いや,そうやなくて,怪我人が出えへんか心配してるだけや」
「キャハ,何言うてるん。いくら美月でもそこまでは……」
「そこまでは?」
「えっと,そこまでは……大丈夫やんね?」
「まあ,さすがに手までは出ださんやろけど,心に一生消えん傷をつけるくらいのことはやりかねん。不登校になる人が出たら大変や」
「もう,ひどいこと言うて,美月に言うたろ」
「ちょっ,やめて,僕の命が危ない」
「ふふふ。でも,ありがとう。いろいろ心配してくれて」
「それに,4人でいたら,僕と園田がアシストできるかもしれんしな」
「そうだね」
「まあ,あわてんとじっくり攻めてったらいいんちゃう」
「うん,ありがとう。そうするわ」