12 彼女と質問
「神田君の趣味って何かな」
「うん?」
「アニメとか漫画もあんまり興味なさそうだったし」
「ああ,僕が教育してるから,漫画も少しは読んでるし,アニメも少しは見てるけど,自分から進んで見るほどではないかな」
「ふーん,タカナリ君が教育してるんだ」
「そういうのをオタク用語で布教ってゆうんやけど,同じ趣味の仲間が増えてくれた方がうれしいから」
「美月も私にお勧めの漫画本を貸してくれるし,それも布教なのかな」
「まあ,そういうことやな。神田自身は,音楽とかスポーツ観戦とかもするみたいやけど,広く浅くって感じなんちゃうかな」
「前はサッカーやってたんだよね」
「今は僕とおんなじ帰宅部やけどな」
「運動神経がいいんだったら,高校でも何かスポーツをすればいいのに」
「それやと,放課後一緒に帰れへんやん」
「あ,そうか」
「佐々木さんはなんか趣味はあるの?」
「うーんとねえ,私も一つのことに熱中してるっていうのはないんだけど,しいてゆうならテニスかな。あくまで趣味だけど」
「へー。でもテニス部には入ってなかったよね」
「うん,部活でするほどではないんだけど,両親が好きで,たまに家族と一緒に練習するの」
「へー,健康的でええなあ。僕はなんも運動してへんし,そもそも運動神経が悪いから」
「ふーん,ボウリングとかは?」
めずらしく佐々木さんが僕のことを聞いてくれた。なんかうれしい。
「何回か行ったことあるけど,たまにストライクが出せる程度で,スコアがよくて100点くらいかなあ」
「へえ,100点も出せたらいいじゃん」
「いや,男でそれは低い方やし」
「そうかあ。神田君はボーリング得意そうかなあ」
「どやろ,まあ,あいつなら何でもそれなりにできそうやけど」
「うん,運動神経よさそうだしね。そういうところもかっこいい」
ちっ,これだからイケメンチートは。
「じゃあ,次はボウリングデートにする?」
「うん,いいと思う。ボウリング場って近くにあるの?」
「駅前のラウンド2っていうゲームセンターにボウリング場もあるから,そこでいいんちゃうかな」
「ああ,知ってる。全国チェーンのとこね。関東にもあったから,友達と言ったことある」
「ほな,また神田に言うとくわ」
「じゃあ,私も美月に」
「それはあかんやん。それしたら僕と佐々木さんが作戦練ってることがばれてしまうで」
「あ,そうだった」
「僕が先に神田に話するし,それからそっちに話持ってくわ」
「うん,わかった」




