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2018年11月3日土曜日 文化祭1日目(6)

 ミフユと三人は調理実習室に入った。

「料理コンテストにエントリーしたいんだけど」

「それならうちの委員長が対応してますので。こちらへどうぞ」

 男子生徒がそういってミフユ達を奥の机でレシート類と格闘しているブレザー制服男子のところへと案内してくれた。


 亘理わたり悠太ゆうたは手を止めて顔を上げた。

「あ、古城先輩。なんでしょう?」

「エントリーに来たんだけどね。私は一人で。あとこの子達が出たいって言ってるんだけど小学3年生3人のチーム参加でもいいかな?」

 悠太は三年生の有名人の一人である古城ミフユ先輩のエントリーは大歓迎だった。放送委員会とか新聞委員会にもアピールして明日の集客にもつなげられる。これはうれしい。

 けど、小学3年生のエントリーは話題にもなるけど料理って大丈夫なのか?高校生とかもっと年齢が高いなら本人申告でいいんだけどさ。

 そこに佐藤さとう陽菜はるなが様子を見に来た。クラスメイトにしてバレーボール部女子チーム主将。同じバレーボール部だけど男子チームでは定位置を取れてない悠太は苦手としているクラス主流派のリーダー。頼りにはなるけど、何故か悠太への言葉は総じてアタックになってる。

「古城先輩がエントリーしてくれるなんて。ありがとうございます!」

 陽菜のサーブ、まずはソツのない入り方だった。そしてちびっ子達から話を聞き始めた。

「へー。小学生でエントリーしたい?古城先輩の妹さんなんだ?料理の腕前って何が作れるの?え、写真見てって?うわー、すごいね。これは広乃ちゃんが作ったの?」

そういう会話が続いたかと思うと陽菜は悠太の方を見て腰に手をやった。

「悠太、審判団の3人を集めて話し合って、前向きに」

「いや、陽菜ちゃん、話の流れがわからないんだけど」

「この子、広乃ちゃんはケーキ作りとか実績豊富なんだって。スマフォの写真、すごいよ。私だってこんなの無理」

 うん、陽菜ができるとは僕も思わないしと悠太は思ったが口にしたら命に関わると判断して即座に記憶から抹消した。陽菜は続けて言った。

「響子が作った規程だと学外参加希望は審判団が判断するとか書いてあったはずだよ」

 こういう事はちゃんとすべきという安平響子はサラリと規定書を作ってくれていて、こういう場合の審査方法も決まっていた。悠太に陽菜の決定を止められたりはしない。確かにスマフォに出ている美味しそうなケーキを作って自慢げな広乃ちゃんの写真を見せられると問題はなさそうだし。とはいえ心配な事もある。

「包丁とか大丈夫かな?」

 陽菜はその点もすかさずレシーブして返した。

「ペティナイフだけにすればいいんじゃない?」

 うーむ。……悠太は決定を下した。

「規則で審判団3人を呼んで確認しなきゃいけないので10分ぐらい時間はいいかな?」

 広乃はミアキとユウスケと相談してすぐ頷きあった。そして広乃が代表して答えた。

「待ちますからよろしくお願いします」


 亘理悠太はメッセで審判団に集まるように要請。5分ほどで審判団の男女3人が駆けつけた。すぐ悠太と陽菜が事情を説明すると審判団の3人は協議を始めた。

「ちびっ子だけどいいの?」と栗色の髪がきれいな女子が難しげな顔をしていた。すると陽菜がすぐ広乃達をかばった。

「紅麗亜、この写真見て」

「山上さんは小学生を甘く見ている」写真を見たおかっぱ女子が言った。

「大丈夫じゃない?危険対策は悠太と陽菜ちゃんの言う方向で問題ないと思うし」と言ってくれたのは丸っこい汗っかきな男子の人だった。

 おかっぱ女子が審査団を代表して広乃たちに正式な回答をした。

「小学生チームは包丁はなしでこちらで用意する小型のペディナイフを使う事。それでもいい?」

「はいっ、ありがとうございます」

そう広乃が答える声が教室に響いた。


 こうしてミフユと広乃・ミアキ・ユウスケ連合軍との対決が決まったのだった。


 4人は陽菜と悠太の二人からプリントを渡されて使える食器や食材、ルールの説明など15分ほどで受けて終了した。

「では、明日の健闘を祈ってます」

「頑張ってね」

そういう悠太と陽菜に見送られて廊下へと出た。


 ミアキは姉のそばに行った。

「お姉ちゃん。広乃ちゃんが勝負を挑みたかった理由は私もわかんないんだけど、こうなったからには明日のコンテストが終わるまで敵だから」

 ミフユは笑った。律儀な妹だと思う。

「ミアキだからって手加減はしない。全力で勝負するよ。心配しているのはそれでしょ?」

頷くミアキ。

「広乃ちゃんが家で作戦会議やるとか言ってるから。今日は向こうでお泊まり」

「そうなんだ。お父さんかお母さんにはまだ連絡してないよね?」

「勿論、すぐ電話して許可は取るし。一度家に帰って着替えとか取ってこないと行けないし」

「はい、はい。気をつけてね」

ミフユにそう言われたミアキは姉に手を振ると待っていた広乃とユウスケと階段を降りて行った。

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