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2018年11月4日日曜日 文化祭2日目(14)

 広乃やミフユがそんな事を考えていると優勝者のピーチチームへの拍手が鳴り止んだ。すると峯岸瑞希が手を真っ直ぐに挙げていた。

「委員長、発言をさせて欲しい」

「どうぞ。峯岸さん」

 瑞希は指名を受けると立ち上がった。

「デザート・サラダなど個別の表彰もできないだろうか?」

 瑞希がそういうと高山リンが慌てて立ち上がった。瑞希はたまに説明を端折る。これじゃ悠太も混乱するし。

「峯岸さんがいい提案してくれたので審査員による個人賞を別に選ばせてもらえないかな。言うほど時間はかからないと思う5分だけ時間を欲しい」

 悠太は審判団の方を見た。今野創太が代表して答えた。

「異論はないけど良ければ審判団も一票投じさせて欲しいな」

ええい、盛り上がってるしな。悠太は決めた。

「審判団と審査員団は準備室で手短に個人賞を決めて来て下さい。景品とかないけど主催クラスからの惜しみない拍手と栄誉って事でいいかな?」

「いいよ」「OK」「早く決めて来て」

そんな声が観客から返ってきた。


 メンバーが準備室に入って5分ほど経過した。亘理悠太委員長は時計を見て高山のやつ、何が5分で済むからなんだよと思っていたらドアが開いて審判団と審査員たち8人が出てきた。

「高山、結果は?」

「それ、厳正なる論争の結果、陽菜が言うって。それを決めるのに3分かかったよ」

マジかよ?

「悠太、それは嘘だから」

陽菜がそう言いながら悠太からマイクを奪った。


 ツインテール女子は威風堂々の体で結果を発表した。

「お待たせしました。合議の上で個人賞ですが3部門設定しました。これから発表しますね」

そういうと陽菜はオッホンと威厳がある風にして見せた。

「まずメイン・ディッシュ部門は料理の技巧を披露されたチームに授与されるものです。小学生はシェフ!チームと古城ミフユチームのダブル受賞となりました。おめでとう!」

 ミフユと広乃、ミアキ、ユウスケの四人に対して拍手がある中で広乃とミフユは勝負がつかないな、これじゃと思っていた。そして、

「続いてサラダ・デザート部門です。こちらは小学生はシェフ!チームでウォルドーフサラダを作ってくれた春田ユウスケくんを讃えたいと思います。みなさん、拍手を!あと瑞希が言いたい事があるというから一言どうぞ」

 瑞希は陽菜からマイクをもらうとじっとユウスケを見た。ユウスケは表彰されてるのにお姉さん怖いかもって思っていたら瑞希の口元が緩んだ。

「デザート・サラダはシェフは小学生チームのウォルドーフサラダの爽やかさは清涼剤だった。春田ユウスケくん、腕利きの同級生達の中で存在感を示していた。その勇戦に敬意を表したい。美味しかった」


 こうして意表をついてユウスケのサラダが選ばれた。独創性があるお料理だった。そのことが称えられたのだ。教室内は再び拍手で満たされた。

「よかったじゃん、ユウスケ!」

「ユウスケ、おめでとう」

とチームメイトの広乃、ミアキから祝いの言葉を言われて顔真っ赤にして「あ、ありがとう」というユウスケに教室内はさらに受けた。


 野球部チームの激辛カレーはピーチチームと外山奏が液体だしなど駆使して和風のちょっと辛めのカレースープとして生まれ変わって参加チームや観客に振る舞われた。辛味のバランスがおかしいだけで食べられないという訳ではない。


 ユウスケのウォルドーフサラダも余った食材を使って追加で作って観客の人たちにも試食してもらい絶賛された。ミフユ、ミアキ、広乃の3人はオムレツの作り方をほかのチームの人に教えたりした。


 こうしてお料理コンテストは終了した。ミフユと広乃が廊下で立ち話を始めた。

「小学生はシェフ!チームの勝ちだよ。個人賞は痛み分けだけどユウスケくんがサラダ・デザート部門単独受賞だし。さて負けた私はどうしたらいいかな?」

「じゃあ、私をミフユさんの妹分にして下さい」と広乃。

「なにそれ?」

「ミアキちゃんとネットで映画見ていたらそういうのがあって」

いわゆる任侠モノらしい。何をこの子達は観てるのかななんて事を思いつつもミフユは応じた。

「いいよ。それくらいおやすいご用。ミアキのベスト・フレンドは私の弟分、妹分って事で納得してくれるならそうする」

「やくそくです」

そう言って広乃にグーを突き出されたので苦笑しながらミフユもグーで返した。そんな二人の様子を見ていたミアキは親友が姉と仲良くなったのをみてうれしく思った。

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