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2018年11月3日土曜日 文化祭1日目(1)

 13時前。広乃は待ち合わせ場所に向かって歩道を歩いていると前方に見慣れた背中が見えた。帽子にデニムショートパンツ。薄手の長袖シャツにTシャツをパンツに入れてるなんてダサダサはあいつだ。何人か歩いている大人達に隠れて小走りに、でも密やかに接近するとその背中越しから「わっ」と叫んだ。

「うわっ」と叫んで振り返ったのはユウスケだった。

「わーい、引っかかった、引っかかった」

 わざとはしゃいで見せる広乃にユウスケはあきれ顔。

「なんだ、広乃ちゃんか。驚かさないでよ」

「フフン」

鼻を鳴らして笑う広乃。驚いてくれないと意味がないじゃない。


 ユウスケは広乃のデニムパンツを見た。

「広乃ちゃん、今日は長いパンツにしたんだ」

「衣替えだよ。もう寒いじゃん」

広乃はスマフォの時刻を見た。まずい。

「ユウスケ、急ごう。時間に遅れたら秋ちゃんうるさいし」

頷くユウスケ。こうして二人は待ち合わせ場所へとこの年齢のお子ちゃまとしては大股の早歩きで向かった。


 正門は生徒の家族の他に近隣の中高生やご近所の小学生達が次々と中へ入って行き賑わっていた。パンフレットも配られていたので広乃、ユウスケはそれぞれ受け取っていた。

「秋ちゃん、どこかな?」

そんな事を思いながら周囲を見回していたユウスケ。

すると不意に後ろで「ワッ」と大きな声で叫ぶ子がいた。呆れながら振り向くユウスケ。

「一日に二度もやらないでよ、広乃ちゃん!……?」

振り向いたらそこにいたのは広乃じゃなくて秋ちゃんだった。秋ちゃんもデニムのロングパンツ。女子二人はもう冬支度って訳か。そして秋ちゃんが妙な事で悩んでくれている。

「ユウスケが驚かないとは!」

仕方なくユウスケは説明する事にした。

「途中で広乃ちゃんと出会った時にやられたから。流石に日に二度も驚いたりしないよ、秋ちゃん」

「そうそう。私がやった時のユウスケの驚きようといったら」

そういって笑う広乃。ちぇ。先を越されていたかと思うミアキ。

「そうだったんだ。じゃあ、文化祭探検スタート!」

「おー!」

そう言うと三人揃って校内探検に乗り出した。


 歩きながら広乃がミアキに尋ねた。

「秋ちゃん、お昼は?」

「お姉ちゃんと食べたよ。二人は?」

「ボクは家で食べて来た」

「私も食べたし、って事はみんな、あとはおやつでいいね」

そう言う広乃の声を聞きながらミアキはまずどこがいいかなあと考え込んだ。


 正門で配られていたので文化祭のパンフレットを改めて見ているミアキ。小学生低学年でも読めるように漢字は控えめ・ルビ付き・いい感じ。

 広乃はというと、模擬店っていうらしいけど高校生のオジサン・オバサンたちのやってるお店はいろいろとあった。パンフを見ていても多すぎてどこから行けばいいかわかんないよと思う。

「秋ちゃんは去年も来てるんだよね。どこかおすすめはないの?」

 ミアキはにっこり。おすすめならある。陽子お姉ちゃんから頼まれていた事もあるし。

「おすすめ?やっぱりマナーハウスかなあ」

秋ちゃんがよくわかんない事を言い出した。よくある事だけどさ。問い質さないと、って思う広乃。

「何それ?」

「貴族のお屋敷の意味なんだけど」

これはミアキが小学1年生の時、一緒に探検した姉からの受け売りだった。

「はぁ?なんで高校の模擬店なのに、何それ?意味分かんない」

広乃の頭の周りには?が踊っているようだった。

「んー。行って見た方が早いかも。とりあえずカフェみたいなものだからさ、行こう!」

そういうとミアキに引きずられて広乃、ユウスケが後に続いて中央校舎の2階にあるという3年E組の教室に向かった。


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