2018年11月4日日曜日 文化祭2日目(11)
ミフユの所に審査員達が回ってきた。代表でまず峯岸さんがオムレツにナイフを入れるとこれまた中は見事なトロトロぶり。
「これ、いい香りがしますけどスパイシーっていうのは?」
「見ていたと思うけどカレールーを一欠片溶かして混ぜてます。あと胡椒一振りして炒めた野菜と合わせてオムレツに仕上げました」
「あー。カレーソースってわけじゃないんですね?」
「そう。カレーのスパイスが感じられるけどカレーソースじゃないです」
最初に佐藤陽菜と峯岸瑞希が一口食べた。
「美味しい。刻んで炒めた野菜の食感も合ってる」
「陽菜はもう少し形容できないの?」
「じゃあ、瑞希はどういうの」
「美味しい。カレールーをスパイスがわりにするってお手軽でいいアイデアだと思う」
陽菜は呆れて笑った。
「瑞希も言うほど私と違いがあると思えないけど」
「意見の相違」
高山リンはというとニッコリ笑って両腕で大きな丸を描いて見せた。もはや余計な言葉を使わずにアピール。
「これ、とろけるチーズを野菜にのっけてオーブンで焼いたんですか?」
「お野菜は湯がいてから。トースターで耐熱食器かアルミフォイルで包んでも行けると思うよ」
ジュースを味わう審査員。
「梨と柿のフレッシュジュースもいいなあ」
「それはヨーグルトをミルク、氷を入れてあるから冷たくていいでしょ?」
「確かに!」
審査員たちは最後に野球部チームの元に戻った。陽菜が鈴木豪に告げた。
「まず君がカレーのルーだけでいいから食べてみて」
「えっ?」
「あなたが作ったものをあなたが食べられない訳ないよね?」
「いや、料理人は食べてもらって料理人」
「黙って一口食べろ」
怒った時の佐藤陽菜は中々の迫力だった。鈴木豪は何故か嫌がっていた。そして外山奏は呆れて首を横に振り俯いた。鈴木豪、万事休す。諦めて一口飲み込んで絶叫した。
「辛い!辛い!水!」
すかさず高山リンが笑顔で食材置き場にあったらしいコーラの500mlペットボトルを渡した。大慌てで栓を捻り飲み込む鈴木豪。更に絶叫した。
「甘いけど辛さがひかない!水は!」
そう言うと鈴木豪はキッチンの蛇口を開くとグラスをに勢いよく水を注いでは飲み干した。何回も、何回も。
「辛いのに甘い飲み物はかえってダメージが増すって」
解説担当の今野創太が言った。審査員にそんなもの食わせるつもりって。高山はしっかり因果応報の図にしてくるし。
「いやあ、そんな辛いの?もう鈴木豪くんの悶絶でいいよね。カレーの試食はパスでいいよね」
高山リンがさも心配している体で言っていて悶絶していた鈴木豪は「こいつ!」という目で見ていたが、審査員たちは「鈴木、こんなの食わそうとしていたのか」という呆れから高山審査員の提案に同意。唐辛子やら胡椒、タバスコの使用を止められなかったらしい外山奏は必死で審査員たちに謝っていた。




